第4章 おまけ
ジョージさんの一件について一通り語り終えた直後、アルは私のベットに腰掛けた。
「かなりふかふかだね」
「それはアルも一緒に選んだんでしょ」
彼の城で暮らし始めてから数ヶ月程が経っている。今の生活にはだいぶ慣れてきた。自分で言っておいてなのだが、これらの家具の一部はアルが選んでくれた。それはとてもありがたかったし、今でも感謝している。
「あ、そうだったね」
彼は少し笑うと途端に目がうとうととし始めて、やがて私のベットで横になってしまった。
「ちょっと、アル!」
「いい、じゃないか、僕は疲れて、いるんだ……」
寝言のような口調で彼はそう言った。それからすぐに眠り込んでしまった。
「アル……」
こうして見ていると彼は寝顔もかっこよかったのだと気づかされる。なんとなく、彼の頭を撫でてみる。前にもこんなことが有ったけ。
それにしても、アルに寝床を占拠されてしまった。どうしたものか。困った。寝る場所がない。お返しに私がアルの部屋で寝てみようとも思いつくが、流石にそれはだめな気がしたので控えておく。
横で寝るしかないのだろうか。仮にも私たちは夫婦である。だからどうってことは無いはずなのだが、なぜだかそれをすることに違和感がある。うーん、どうしよう。
結局それから一時間くらい悩んだだろうか。私は意を決して彼の横で寝ることにした。もちろん服は着てである。
彼の横に入ってみようと試みる。だが、直前で動きが止まる。あれ、なぜだ。胸の高鳴りが止まらない。止まらなくてどうしよう。どうしよう!
すると彼の体が少し動いた。私は一瞬にして彼との距離を取る。
「ふあああ、寝ちゃってた……」
彼はそんなことを言う。少しかわいいと思ってしまった。横を向いた彼と目が合った。
「あ、ごめん。寝れなかったよね」
「う、うん」
「すぐに戻るから。本当にごめん……」
そう言って彼は急ぎ足で私の部屋を出て行ってしまった。
彼は私に胸の高鳴りだけを残して自分の部屋へと戻って行った。残された胸の高鳴りはしばらく収まらなかった。
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