第6話  新しい彼女?

14時頃目が覚めた。この時間はあまり場が立っていなかった。案の定屋上から向いを見ると2卓だけだった。まだ出勤には早かったので、街をぶらぶらし、時々行くおにぎり屋ヘ寄った。そのおにぎりは手づくりで、海老、シャケ、イクラと色んな具材があり  280円均一だった。とても美味しくてユウキは気に入っていた。海老やイクラなんかが人気がありすぐに売り切れるのだが、ユウキはシャケが好きだったので慌てなくても結構残っていた。ユウキはそこの売り子の女の子が好きだった。年の頃ならユウキと同じくらいか、尾張育子と胸の名札に書いてあったので、育子ちゃんといつも呼んでいた。彼女はいつも愛想がよく元気で綺麗だった。時折若い子が一緒にいる時などは手際を教えているようだった。月に1回半額デーをするんだが午前中には売り切れてしまう。この街に来てから週2、3回のペースで来てるから結構顔馴染みなのだ。

「シャケおにぎり3個下さい」

「いつも有難うございます、840円になります」 その溢れんばかりの笑顔に心が癒されもう惚れそうになる。髪の毛が綺麗な黒色で背中まで伸ばしており、ホッペタとオデコがまんまるだった。

“今度デートにでも誘って見るかな”

そんな事を思いながらまた街をぶらぶらするのだった。この辺りは色んなお店が揃っており、生活するには何不便なく暮らせる。おにぎりを食べながら散歩していても全く飽きないのだった。このおにぎり屋の育子チャンと喫茶店の容子は飛び抜けて可愛く、愛想も良かった。その商品の良さもあるけど、そこに携わる人間味の暖かさに人は寄ってくるんだろうなとユウキは感じていた。そんな事を思いおにぎりを食べながら2時間もぶらぶらし、雀荘のビルの前へ着き、エレベーターのボタンを押した。雀荘に入ると既に5卓動いていた。

学生のセットとポンリーのお兄さん方、フリーが3セット、その中に樋口さんが混じっていた。今日は薄水色のスーツに相変わらず綺麗な髪、その他の持ち物は変わらずきれいな姿勢で、惚れ惚れするほどの出で立ちだった。その卓にはメンバーが入っており、すぐにでも出来そうだったが、メンバーが彼女に18000点を打ち込み交代できないという。メンバーがドボンしてすぐにでも交代かなと思いきや、次の局メンバーが3900点をツモ和了り、次の局彼女が満貫を中年男性から直取り。コールドゲーム寸前でまたメンバーが満貫をツモ和了りと、二人の上がり合戦、長丁場になりそうだった。他の卓からお呼びがかかったがこの卓に入りたい旨を告げると、この半荘を見続けた。オーラスメンバーの親。南四局メンバーが2000オールをツモ和了り、南四局一本場メンバーが6000オールをあがり、その半荘は終了した。メンバーが

「ラスト、優勝会社失礼しました」 と小さな声でカウンターに報告した。あとの二人はその半荘で抜け常連の中年男性、ユウキ、樋口、メンバーの布陣。


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