第36話 レオン視点

ティアとアル兄上の結婚式から帰ってきて、俺に国王から与えられた仕事は、アイツらの教育だった。


もちろん、そのつもりだったがアイツらの能天気な顔を見た瞬間疲れがどっと襲ってきた。


「レオン殿よろしく頼む」


ルイ・・・お前が一番心配だよ。


コイツら頭は良いんだよな。

作法も完璧だ。


コイツらがここまで放置されたのには理由がある。


幼い頃から一緒にいた3人はお互いの足りない部分を無意識で補っていたからだ。

それで今までは何とかなってきた。


ルイの暴走は真面目なダンゼルが止め、ライアンの軽率な行動は硬派なルイが止める、ダンゼルの要領の悪さはライアンの軽いアドバイスで事なきを得えきた。


それが別行動になると3人ともがダメ男になってしまう。


まだマシなのがダンゼル・・・無口な分相手を怒らせないからな。


ライアンは誰に対しても軽い。

そのせいで令嬢からは勘違いされ、令息からは敵認定されることが多い。


そしてルイ。

コイツは純粋で真っ直ぐな性格だ。

これは長所にもなるが、この貴族世界では付け込まれる事になる。

それに思い込みが激し過ぎて、突っ走ってしまう。


こんな奴らの教育?

何年かかるんだよ。

それでも次代を担う事になる3人には期待もしているんだ。


基本俺は手加減しないからな。

まあ、3年で使えるようにしてやるよ。





3年の間でまともになったダンゼルはベル嬢と結婚した。

ベル嬢の存在がダンゼルをまともな男にしたと言ってもいい。



ライアンは2年間辺境の騎士団にぶち込んだ。

そこでだいぶ揉まれてきた。

帰ってきたライアンはひと回り大きな身体になって、顔からも行動からも軽率さが消えていた。



そしてルイ。

ティアに思いを告げないまま失恋した。

自分の発した言葉に後悔しながらも反省はできたんだよ。


ただ正義感の強さが足を引っ張る事になった。

間違いを許せない真っ直ぐな性格が3人を引き離すことで現れてしまったんだ。

小さな事も見て見ぬふりが出来ない。

一歩間違えれば独裁者になりかねない。


コイツが一番大変だった。


ルイを貧民街の生活を毎日見せつけた。

仕事がなく親から捨てられる子供。

食べるものがなく餓死するもの。

不衛生で病にかかっても金がないから、治療もしてもらえない。

その時も正義感が暴走しかけた。


「だったらお前が考えろ!この国の国民の命を1人でも多く守れる人間になれ!」


それからルイが変わった。

妥協も覚えた。

予想以上の成長だった。


3人に自分の立場に責任感を持たせる事ができた。


ティーチの結婚式でティアに3人も会わせるのが楽しみだ。

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