その後

第35話 レオン視点

ティアリーゼがアルベルト兄上に嫁いで6年が経った。


2人の子どもを連れてアスパルト家に帰ってきた。

上の子はアル兄上にソックリな4歳の男の子だ。名前はリオン。俺と1文字違いだ。


下の子は2歳の女の子でティアの幼い頃にソックリだ。名前はセレスティーア。


2人とも両親の銀髪と紫の瞳の色を受け継いでいる。

同じ瞳の色の俺が連れていても親子に見えるだろう。


セレスを一目見た父上が離さず、王宮の仕事場にまで自慢しに連れて行った日に、とうとう母上の雷が落ちた。


そんな母上もリオンを離さない。


まあ、俺も気持ちは分かる。

この2人、存在しているだけで可愛いんだよ。

セレスなんてたどたどしい言葉で「にいたま」って俺を呼んで手を伸ばして抱っこをねだるんだぜ。

もう俺の娘でいいんじゃないか?


人見知りもしないから我が家の使用人達からも大人気だ。


両親が寝る時も離さないから俺は少し寂しい。

俺も一緒に寝たい。



相変わらず仲のいいティアとアル兄上。


16歳で嫁いだティアも22歳。

ティアよりも6歳年上のアル兄上は28歳。

2人の今回帰省の目的はティーチの結婚式への参加だ。


以前の婚約者には思い合う相手がいた。

それを知ったティーチが2人を後押しして婚約を解消したのだ。


だがそれで良かったのだろう。


今の相手に出会ってからのティーチの行動は凄かった。

王太子の激務をこなし、必ず毎日会いに行っていた。


何度相手の親に断られてもめげずに婚約申し込みを続けていた。


それも仕方がないだろう。


その時相手は14歳の少女だったのだから。


9歳離れているが彼女の方も出会った瞬間に『この人のお嫁さんになる』と思ったそうだ。


彼女の親には最初は反対されたが、思い合う2人に絆され最後には認められたのだ。


そして彼女が16歳になる5日後が結婚式だ。


25歳のティーチと16歳の幼さが残るワイズ伯爵家のユナイア嬢。


俺も25歳になって、16歳のティアを嫁がせた父上の不安が分かるようになった。

たとえ法律で16歳の婚姻を認めていても、やはり子供だ。


そのティアが2人の子供を産んで、しっかり母親の顔になっている。


今は子供たちを父上と母上に奪われているが、アル兄上と恋人のように2人で過ごす時間を楽しんでいるようだ。



結婚式では見違えるほど変わったルイを見て驚くだろうな。


ホント俺を褒めて欲しいよ。


アイツらの甘さを一から教育を任された俺の苦労を労ってくれ。



はあ、思い出すだけで精神力が削られる。

リオンとセレスに癒されてこよう。

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