第34話 アルベルト視点

私が14歳、ティアが8歳の時に帝国の学園に入るため戻ることになった。


大泣きして私にしがみついて離れないティアを抱きしめながら「一緒に連れて帰る」

ここに来てはじめて我儘を言った。

ずっと側にいたんだ。

手放せるなんてできないと思った。


この時は叔母夫婦に困った顔をさせてしまった。

今考えると、大事な娘だ。幼いティアを叔母たちも手放せなかったのは当たり前だ。

その時の私は何も持っていなかったのだから。

叔母が「アルベルトを信じているわ。立派になってティアを迎えに来てあげて」と笑って言ってくれた。


それからは1年のうち1ヶ月だけ公爵領で一緒に過ごすようになった。


ティアが11歳、心に傷を負った時も慰めながらティアを一生守ると誓った。

この時私は17歳になっていた。

この歳になると守る意味も分かっている。


叔母夫婦に必ず迎えに来ると約束して、帝国で確固たる地位を築き上げていった。


毎年会う度、ティアがどんどん美しく綺麗になっていくのを不安に思いながらもティアが大人になるのを待っていた。



15歳になったティアは王国の学園に入学した。

長期休暇の時、友人を2人紹介された。

ティアにとってはじめての友人はいい子達で安心した。

ティアにちょっかい出している王子はあの時の王子だった。




王国の立太子の義に、帝国代表で参加した。

これが皇子としての最後の公務になる。


王宮の庭園で「迎えに来たよティア」そして膝まづいて「愛しているよ。私の妻になってくれるかい?」とプロポーズした。

何度も頷きながら「ずっと、ずっと待っていたの」と泣き笑いの顔で抱きついてきたティアを抱きしめ返した。

やっとだ!やっと私だけのティアになった。

これからはずっと一緒だ。


それからは早かった。

帝国に迎える準備は出来ていた。


父上と母上は叔母にそっくりなティアを見て驚いていたが、14歳からティア以外は受け入れないことを言い続けた私を信じて婚約者を押し付けることもしないでいてくれた。


結婚前に継承権は放棄した。



自然豊かな領地を与えられ、そこで私の側でティアらしく自由でいて欲しい。


はじめて目が合ったあの時から私にとって特別な愛しい唯一の存在が今腕の中で眠っている。


「ずっと側にいるよ。愛してるティア」

そっと額にキスをする。


~完~




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