第31話
何なんだよ!
この忙しさは!
生徒会の引き継ぎは口頭で教えてはくれず、実践で覚える事だった。
学園内だけで、この忙しさなんだぞ?
兄上とレオンを尊敬する。
毎日、生徒会の仕事を終わった後は、王城で執務までやっているなんて凄すぎるだろ?
兄上は今まで仕事に関しては愚痴をこぼした事がなかったな。
出来て当たり前だなんて凄いプレッシャーだっただろう。
俺は甘すぎる。
自分に甘すぎる。
自分が恥ずかしくなった。
こんな俺のこと誰も認めてくれない。
このままじゃダメだ!
父上も母上も兄上も何も言わなかった。
もしかしたら、気づくまで待っていてくれたのかもしれない。
俺は変わらないとダメだ!
この日から真剣に取り組むようになった。
兄上達がいる間に学ぶべき事は学ぼうと思う。
もちろんライアンとダンゼルも一緒だ!
ティア~俺を癒してくれ
今日のティアも可愛かった!
最近のティアは、マリー嬢やベル嬢以外の生徒達とも笑顔で話をしているのをよく見かけるようになった。
前まで遠巻きに見ていた生徒も、公爵家の権威を振りかざすこともなく、誰にでも身分に関係なく接する、朗らかで優しいティアを知って近づきやすくなったのだろう。
遠い存在だった彼女が近い存在になると、ただでさえ綺麗で可愛いティアの魅力に男女関係なく惹かれるのは仕方のない事だろ。
少し寂しいが、毎日ティアが楽しく過ごせているなら喜ぶべきなんだろうな。
でも、邪な気持ちで近づく不埒な奴は人睨みしてやると去って行く。
当然だ!
ティアを狙う奴なんて認める訳にはいかない!
中には良い奴もいるのは分かってるんだよ!
その中に真剣にティアに思いを寄せているヤツがいることも気づいている。
だが、誰だろうと渡さない!
渡せない!
ティア俺を選んで・・・
もう、明日は兄上たち4年生の卒業式だ。
ティアと過ごして1年になるのかと思うと、あっという間だな。
今では学園内でティアは人気者だ。
誰に対しても変わらない態度のティアは人を見下さない、蔑まない、嘲たりしない本当にいい子なんだ。
困っている人にも自然と手を差し伸べられる、優しい子なんだ。
生徒会の仕事をやるようになって、ランチにも時間が取れず、交流が減ってしまったが平穏な日常がティアには合っている。穏やかに過ごして欲しい。
ダンゼルとベル嬢が婚約したんだ。
仲がいいとは思っていたが、あの忙しい日々の間に行動を起こしていたのには驚いた。
政略結婚の多い貴族で恋愛結婚で結ばれることは珍しい。
ダンゼルもベル嬢も同じ侯爵家だったのもよかったのだろう。
家格を気にする貴族は多い。
ライアンも頑張っているらしいが、まだ落とせていない。
俺もティアに気持ちを伝えたいが、この関係が壊れるのが怖くて臆病になっている。
ティアの目にまだ俺は映っていないのが分かっているからな。
卒業式が終わると2週間の休暇に入る。
その間に兄上の立太子の義がある。
あと1週間もすれば各国から王族、貴族が集まってくるだろう。
海外からの招待客に接待などで駆り出されるが、この国の評価を落とさない為にも恥ずかしくない対応をしないといけない。
また、暫くティアに会えないな。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます