第28話 ティアリーゼ視点

この長期休暇は、興奮の連続だった。


はじめての友達と過ごすことも、領地内のお出かけも、夜念願のパジャマパーティーも何もかもが楽しくて仕方がなかった。

「ティア」「マリー」「ベル」の呼び名にも

パジャマパーティーで決まった。

お友達に「ティア」と呼んでもらえるのは擽ったくて、心が温かくなる。


パジャマパーティーでは、本音で話すことができた。


ルイ様のことを揶揄うマリーとベルに王城の庭園で聞いた会話を聞いてもらった。

彼女たちが憤慨してくれたけど、安心して欲しくて今の正直な気持ちを伝えた。


あの時、凄く傷ついたのは本当。

家族からも、使用人達からも向けられたことの無い悪意はただただ怖かった。


でも今ならあの言葉も仕方がなかったとも思う。

子供だったもの。

彼にとって勝手に候補者がいることが納得出来なかったのだと思う。

それに、病弱、我儘、傲慢だと噂を信じていたのだろう。


でも実際会ったことも、話したこともない、わたくしの事を何も知らない彼に決めつけた悪意ある言葉を忘れることは出来なかった。


その後すぐに候補者から外れたとお父様から聞かされてやっと心が落ち着いたのがわかった。


わたくしがあの時の候補者だったと知っているだろうに学園で知り合った彼は優しい人。

いつも気に掛けてくれる人。

きっと大人になったのね。


それに、学園に入ってから悪意はどこにでもあることを知った。

だから大丈夫。このまま友人として付き合っていけばいいと教えた。




王都に帰ったらお父様とお母様には報告を、お兄様には自慢をしたいと思う。

きっと家族は喜んでくれる。

大切なお友達を早く紹介したい。


家族も邸の皆もわたくしを大事にしてくれている。

でも、学園に入るまで1人も友達がいなかったのは本当は寂しかった。


烏滸がましいが彼ら3人のことも友人と呼べると思う。


お父様が許可を出したことは知らされていなかったけれど、ルイ様とライアン様とダンゼル様の急な滞在もそれはそれで楽しく過ごすことができた。


彼らにも楽しんでもらえたと思う。



また学園で会えるのが楽しみね。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る