第13話

気がつくとすべての授業が終わっていた。

ライアンに声をかけられるまで気付かなかった。

だって仕方ないだろ?

手も触れたし、(小さくてスベスベで柔らかかった!)エスコートもした!笑顔だって何度も見せてくれた!何時間リピートしても飽きない自信がある!

次のミッションを考える為早く帰らなければ!


帰るために中庭が見渡せる渡り廊下を歩いている時気付いた。「何で人がいないんだ?」と

独り言を言ったつもりがライアンとダンゼルには聞こえたらしく、「お前が授業が終わっても動かなかったからだろうが!」と口元をヒクヒクさせながら怒ってきた。

おい!俺これでもこの国の王子だからな!

ま、こんな態度を取られてもコイツらとは物心着く頃から一部屋に押し込まれて遊んで喧嘩して育ったようなもんだもんな、反対に持ち上げるようなヤツならここまで付き合ってなかったと思う。


ちょっと拗ねたフリしながら歩いているとピンク頭が座り込んでいた。

周りには誰もいない。


気づかれる前にスルーしようと3人で目配せして歩いてると、涙を流しながら両手いっぱい広げながらこっちに走ってくる。

おい!歩けなかったんじゃなかったのか?

分かってたけどな!


俺に抱きつこうとしたところを、ダンゼルに止められ何故かショックを受けたような顔をするのはなんでた?

いちいち相手にする気もないので、横を通り過ぎようとしたところで、「私、ティアリーゼ様に虐められているのです。今日も突き飛ばされて転ばされました。」

「はぁ?」

あの可愛いティアがそんなことする訳ないじゃないか!

俺のティアを陥れようと、こんな手を使ってくるとは最低だな!

コイツは敵ってことだな!


「なんでティアがそんなことをする必要があるんだ?」

「貴方は今日はじめてティアリーゼ嬢と会ったはずでは?」

ライアンも呆れたように聞くが

「違います。入学してからずっとです。」

目に涙を溜めて上目遣いで見る!

これはこのような手を使うやつの常套手段なのか?

「私が可愛いから・・・」頬を染めてるけど全然可愛くないからな!


プッ、ダンゼルが「可愛いとはべルベリット嬢のような子を言うんだよ」

「おいおい、マリー嬢のことだろ」ライアンも追従する。

コイツらもう赤髪と緑髪の女と打ち解けてるようだな。

ちゃっかりしてるわ。


「お前が泣こうが喚こうが俺には関係ない」


もう話すことはないと歩き出す。


幸せな気持ちのまま過ごすはずが、ピンク頭のせいで気分は急降下だ!


いや大丈夫だ!

また最初からリピートすればいいじゃないか!


よし!帰ったら脳内作戦会議だ!

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