第12話 ティアリーゼ視点
放課後、約束通り友人のマリー・フラペツ侯爵令嬢とベルベリット・ハイラー伯爵令嬢の3人で医務室に向かっていると前から足を捻挫したはずの令嬢が走ってくるのが見えた。
「あら?彼女はもう足の具合が良くなったのかしら?」なんて話しながら近づくと手前でよろけたのか、勢いよくわたくしにぶつかってしまった。
彼女がわたくしの上に乗る形で転んでしまったが転び方が悪かったのか、手を着いた時に手首に痛みがはしった。
「申し訳ごさいません。怪我をされた足は大丈夫でしょうか?」と聞くと「酷い!私のことが嫌いだからと突き飛ばすなんて!」
「「え、」」わたくしとベルベリット様はとっさに理解することができず固まってしまいましたが、正義感に溢れいつも美しいお顔をキッと歪め「まあ、突き飛ばしたのはあなたでしょ!
だいたい足の怪我も嘘ではないのですか?走ってティア様を突き飛ばすなんて!」
マリー様が仰った。
人が集まりだすと、彼女はポロポロと涙を流し「そんなことしてません。わたしは昼休みに捻った足首の痛みでよろけただけなのに」と周りに聞かせるかのように大きな声で訴えてきた。
「わたくしは突き飛ばしてなどいませんわ」と告げても「酷い酷い」と涙を流します。これではわたくし達3人が虐めているように回りからは見られるのでは、と不安になったところで「なんだ騒がしい」とお兄様が登場しました。
お兄様はまだ座り込んでいるわたくしを見るなり「ティア!怪我をしたんじゃないのか?」と駆け寄ってくるなり軽々と当たり前のようにお姫様抱っこをした。
わたくしも慌てて「大丈夫ですわ、少し手首に痛みがありますが歩けます。」と伝えましたが「何があったかは医務室で聞かせてくれ、2人もいいかい?」とマリー様とベルベリット様に聞いたが2人は真っ赤になって頷くだけでした。
そこへ、「レオ様!わたくしも歩けません」と手を差し出してきたか、お兄様は冷たい目で「お前誰だ?何故俺が許してもないのに勝手に愛称で呼んでるんた?」
わたくしにはいつも優しいお兄様の今まで聞いたこともない冷たい声と見たこともない冷たい目で見下ろしていた「さ!早く医務室に行くぞ!」
その後はわたくしを抱き上げたまま、颯爽と医務室に向かった。診断の結果かなり酷く捻ったようでその時にはびっくりするぐらい腫れていた。
(だから痛かったのね)
治療を受けている横で状況を説明している2人は頬を染めなから、一部始終をお兄様に伝えていました。
「で、アレはだれなんだ?」と聞かれてもわたくし達も名前までは知らないし、今日初めて会った人としか言えず保健医に聞いても「個人情報だから」と教えてくれませんでした。
ピンク色の髪が童顔の彼女にとても似合っていて黄緑色の目は大きくやや垂れ下がっている、とても可愛い女性というよりは、女の子って感じの子だったのに、わたくしを見る目キツかったと感じました。
わたくし彼女を怒らせるようなことをいつの間にかやってしまったのかも知れません。
落ち込むわたくしの頭を撫でてくれるお兄様は本当に優しい。
2人にも「いつもティアが世話になってるね。これからもよろしく頼むよ」とほんのり笑顔を見せたお兄様を見て、また真っ赤になっていた。
帰りの馬車までもまたお姫様抱っこで帰ったのは恥ずかしかったな。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます