第6話 レオン視点
俺の妹は可愛い
3歳の時に母上のお腹が大きくなった。
「レオンに弟か妹ができるのよ」っと、お腹を撫でながら母上が俺に教えてくれてから毎日お腹に声をかけた。
もう、産まれる前からまだ見た事のない弟か妹が可愛い存在だった。
そして、その時は来た!
庭で侍女達と遊んでいるとすごい勢いで馬車が入ってきた。いつも仕事で忙しい父上が王城から帰ってきたようだ。
俺を見つけると父上は俺を抱き上げて「母上が大変だ!」と俺を抱いたまま母上のところに行った。
俺はわけも分からず怖くなった。
母上の部屋には入れず、会うこともできなくたまに部屋から母上の苦しそうな声が聞こえて怯えることしかできなかった俺を父上はずっと「大丈夫!大丈夫」と抱き締めてくれていた。
どのくらい時間がたったのかも分からないそんな時泣き声が聞こえた。
「産まれた!」と父上が言った。そっと父上を見上げると目に涙が浮かんでた。
少しして部屋のドアが開くと、「可愛い女の子ですよ」と医者のような人が教えてくれた。
父上はすごい勢いで母上のところに行くと「ありがとう、ありがとう」「体は大丈夫か?」と泣きながら母上の髪を優しく撫でていた。
そんな様子を見て、俺は妹が生まれるための時間だったのだと理解した。
部屋の入口でつったたままの俺に母上が「レオンお兄様になったのよ。会ってあげて」と声をかけてくれた。
恐る恐る近ずいて母上の腕の中にいる赤ちゃんを見た時、天使かと思った。本当に天使だと思った。
髪は薄かったが銀色の髪に窓からの光が当たって妹が輝いているかのように思えた。
父上が「レオンの妹だぞ、これからはお兄様になったのだから守ってあげるんだぞ」って言った。
そこからの俺は妹をいつでも守れるように、3歳で剣術を始め、何でも答えられるように色々な分野も学んだ。
2歳になる頃には「にいたま、にいたま」とよちよち歩きで俺の所まで歩いてきては足に抱きつく、そして俺が抱き上げると同じ色の目を真っ直ぐに俺に向けてニッコリと笑うんだ。その笑顔を誰からも守る、そう決めた。
それは父上も同じで「嫁にはやらん」が口癖になってる。当然だな!
それからは我が邸の中で大事に大事に見守りながら元気に育ってくれた。
それが、妹が11歳の時初めてのお使いで王城に来た時にあのアホ王子に見初められようだが、妹と庭園を歩いてる時に聞いた「そんなワガママで傲慢な女なんかたとえ婚約者になったとしても大事にすることもないし、いつか婚約破棄してやるよ!」の声に会ったこともない人から悪意を向けられた妹が目に涙を溜めているのを見て抱き上げて帰路についた。
もちろん父上にも報告済みだ。
いつか後悔させてやるからな!と決めた!
何故か世間では妹は病弱のくせにワガママで傲慢だと噂が流れているが、それは父上が誰にも見せたくないがために流した噂だ。
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