第5話
入学が近づくにつれ、やっと会えると思うと楽しみと興奮で眠れない夜が続いた。
そして、今日学園の入学式だ。
俺の心のように晴れやかな入学日和だ。
俺は入学式の新入生代表の為壇上にあがった。
令嬢たちのキャーキャーとうるさい声が聞こえるが、彼女にカッコイイ俺を見て欲しくて目は彼女を探した。
おかしい・・・
この国で銀髪は珍しい。
すぐに見つかるはずなのにいない?
え?え?なんで?
何度も壇上から見渡したが見つからない。
出会った時に、走ってレオンに抱きついたのを見たから体が弱いってことはないだろし、
今日たまたま体調不良で休みなのか?
それとも寝坊でもしてしまったのか?
挨拶が終わっても壇上から降りない俺に兄上が「交代だ」と声をかけられた。
「まだ見つかってない。もう少し待ってくれ」と言ったが兄上の笑顔を見て冷静になれた。
俺の席に戻っても考えがまとまらない。
やっぱり彼女は他国の令嬢なのか?
いつの間にか入学式が終わっていたようだ。
放心状態の俺を幼馴染達が慰めてくれるがよく聞こえない。
でも、ライアンが「ルイの彼女・・・」
え!俺の彼女!いい響きだ!俺の意識はライアンの次の言葉を待った。
「同じ歳なのか?今日入学で合ってるのか?」
その一言で彼女の名前も知らなければ、もちろん年も知らない。
俺が勝手に3年で会えると思い込んでただけだと気付いた。
でも、でも、自信がなくなってきた。
あれは幻だったのか?
俺の願望だったのか?
イヤイヤあの時確かにレオンに走って抱きついていた。
間違いなく彼女は存在している。
待てる。俺は彼女に会うまでは諦めない。
来年だろうが再来年だろうが絶対見つける!
俺が決意も新たに拳を握っている様子を兄上は可哀想な子を見るように目で、レオンが薄笑いしながら見てるのを、この時の俺は知らない。
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