第4話

俺が彼女を忘れることはなかった。


3年前に出会ってから(見かけただけ)王城では何度も何度もお茶会が開かれた。


兄上と、俺の婚約者探しだ。


兄上は誰が見ても容姿端麗、眉目秀麗でお茶会の会場でもすぐに周りを令嬢達に囲まれてしまうが、嫌な顔もせず柔らかい笑顔を見せている。

だか、もう1人令嬢達から遠巻きに見つめられている令息がいる。

あのレオンだ!レオンにも婚約者がいない。

兄上と違い無表情で茶を飲んでいるが、存在感が半端ない。

そのレオンがテーブルに飾ってある花を見てフッと優しい顔をした。誰かのことを思い出したのだろうことはすぐにわかった。

それが誰かも。

周りの令嬢達は顔を真っ赤にして見つめている。


そして俺にも群がる令嬢はいるが、彼女以外の令嬢などお呼びでない!

だから、母上の命令じゃなきゃこんなお茶会など絶対出たくない!

でも、いつ彼女がお茶会に出ることがあった時会えないのがイヤで仕方なく出てはいるが、今だに会えない。

もしかして、この国の令嬢ではないのか?

少し不安になるが大丈夫だ!

また会える予感がする。


3年前に兄上がレオンに確認してくれて、「彼女とは婚約するような関係ではない」とハッキリと言ったそうだが、それは3年前のことだし、今ならその関係も変わったりしてないか何度も確認してしまった。


この春から俺も学園に入学する。

やっと、やっと会えるんだ。

この3年間忘れた日などなかった。

絶対見つける。


彼女の為に、勉強も剣術も頑張った。

マナーだって完璧だ。いつかエスコートする為に幼馴染に頼んで練習相手になってもらった。


もうあとは出会うだけだ!


そして、出会った時にはあの時見た笑顔を俺だけに見せてくれ。


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