第17回「椅子」:少年探偵vs呪いの椅子

 何の因果か、座った者を呪い殺すという曰く付きの椅子を受け継いでしまった。

 事態の解決を方々に依頼したが、血気盛んな奴らが命懸けで挑んでは悉く失敗したため気味悪がられ、とうとう新鋭の少年探偵に泣きつく羽目になった。


 あっさり引き受けてくれた彼は、右足を庇うように杖を突きつつ何の躊躇いもなく椅子に座り。


「終わりましたよ」


 これまたあっさりとそう告げた。


 嘘だろと驚いてみても。


「たかが数百年人を呪い殺した程度の相手、僕にしてみれば敵でも何でもありません」


 こちらはウン千年先輩ですから。


 何処か既視感のある微笑みで彼は締め括った。



 それ以来、椅子は呪い殺すことをすっかり忘れてしまった。まるで別の何かを恐れるように。




【了】

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