第10回「つなぐ」:つないでも、切れなかった初めての

 どうも私は人を見る目がないらしい。


 お付き合いした人は決まって別の人、しかも知人や友達を好きになって私の元から去ってしまう。

 目の前で友達に一目惚れされることも。


 私は好きな人と他人の縁を繋いでばかり。

 彼が運命の人に出会うまでの中継ぎでしかなかった。


 今日だって、ほら。


 手を繋いでいた彼が足を止めて、きらきらした目で別の女性を見ていた。

 見られた彼女もまんざらでもない顔だ。


 ああ、彼も失ってしまうのかと陰鬱となったところで。



「あの人みたいなワンピース、きみに似合う。いや、きみの方が似合う」


 絶対!と言い切る彼に女性は顔を引きつらせ、私は泣いたらいいのか笑えばいいのか分からず、ただ繋いだままの手だけを見ていた。




【了】

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