第9回「育つ/育てる」:そろそろ内にあるものを育てていいかい?
「育たないのよ」
何がとは訊かないでおく。
「胸が育たないのよ!」
そんな気遣いを瞬殺で無に帰すのはやめてくれ。
「自分で揉むのはノーカンなのかしら」とか言いながら空中で何かを持ち上げるように手を動かすのもやめてくれ。
「そういうことは彼氏に頼めよ」
但しその行為で育つ説は迷信かもとは言わない。平和が一番だ。
「頼める相手がいたことないから困ってるの!」
いや、だからって俺に言うのも間違いだということに気付けよ。
やれやれ。
「別に無理して育てる必要ないだろ。俺は小さい胸のおまえも、胸の大きさで悩んでいるおまえも好きなんだから問題ない」
「ひえっ」
初めて聞く悲鳴に顔を上げると、これまた初めて見る赤面がそこにあった。
【了】
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます