第2回「甘い」:わが弟の恋愛事情

「姉ちゃん、振られたんで慰めて〜」

「またあ?」


 ちょうど一回り違いの弟は、母と姉(要は私)が甘やかしたせいか甘えん坊気質に育ってしまった。


 そして、これも母と姉のせいかもしれないが、恋愛対象は一回り以上歳の離れた女性である。幼稚園の先生が初恋なのはまだ可愛い方で、それだけ離れていると、相手は大抵彼氏持ちか既婚者。


 ゆえに弟の恋は、告白前に玉砕するかトラブルになるかの二択である。


 まあ弟の態度からすると、今回は旦那の方が乗り込んでくるなんて修羅場はなさそう、かな。


「あんたは年相応の相手と恋愛なさいよ」


 まだ成人したての癖に。


 対して弟の返しは定型句だった。


「姉ちゃんこそ、早く婿探しなよ」

「毎度やかましい!」




【了】

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