女子3人それぞれの道

吾妻やすけ

女子3人それぞれの道

4月新学期。3年B組新たなクラス替え。そして新たな友。

1965年中学3年生に成った3年B組54名内男子24名女子30名が新たな教室に分けられ、それぞれが決められたクラスに入る。

そこで新たな友と巡り会い友情が生まれる。そして先の見えない長い人生が女3人のドラマが始まる。夢と希望に満ち溢れた未来に女3人幸せを求め羽ばたいて行く。

山田花子「初めまして、私山田花子宜しくね?」「私竹内幸子宜しくね?」「私伊藤知恵宜しく」花子「クラス替えしたばかりなのに、直ぐに修学旅行に行。どうかしているね?クラス変わったばかりで良く皆を知らない。二学期にすれば良いのに?」「3年生二学期は受験が有るので、早めに行みたい」「それにしても早すぎる。クラス替えして2週間目に修学旅行とは?三人で仲良く行きましょうね。宜しく」「三人で友達に成り、仲良く行きましょう。宜しく」

新しくクラス替えに直ぐに友達を作る人も居れば、様子を伺う人も居る。人徳な人も居るがそうでない人も居る。人それぞれ中学生。後に勝ち組と負け組に分かれていく。

東京の中学校の場合修学旅行は関西。京都奈良大阪三都巡り、修学旅行専用電車「ひので号」1959年に登場。所要時間7時間昼間。帰りは夜行で朝に品川駅に着き、その日は学校が休み。長い夜を過ごす電車の旅。今とは違う青春時代の思い出。舟木一夫「修学旅行」昭和38年。学園広場。高校生3年生何れも舟木一夫のヒット曲。

それぞれが進学校に向けて旅立つ3年生。高校の学科は大きく分けて普通科、商業科、工業科、など専門教育を行う専門学科があり、1994年以降は総合学科も創設された。大学へ進学は普通科、事務職には女子が多いので商業科は女子が多く。工業科は男子が多いので男子校。でも少数の女子が居る学校も有る。そんな分けで女3人組も中学3年進路を決めそれぞれの希望する学校に向け勉学に励む。花子「幸子は普通科?それとも商業科?」「私は大学へは行かないのだから商業科を卒業後事務職か銀行にするか?いずれにせよ合格しないことには決められない。」「知恵は?何処にするの?」「私も商業科。高校卒業後は就職するから矢張り銀行か証券会社か保険会社か?入れるところに入る。」「私はそろばんが苦手だから、普通科にするか勉強が好きでは無いので体育が好きなのでそっちの道の学校に行くつもり。でも卒業しても家がそんなに遠いわけでもないし、卒業してからも何時でも会えるから会おうよ?」「そうね」「いいね」と三人は気が有った。

修学旅行 

前日 花子「明日から修学旅行なので、寝る時には三人並んで寝ようね?それと男子の誰の写真が欲しい。幸子は和男君の写真で決まりでしょう。私和男君と仲が良いから写真撮ってきてあげる。」「本当に?」「何時でも良いよ。二年生の時に3対3でスケートに行って手を繋いで滑った時も有る。和男君結構美味かったよ?」「そうなの?」「だから私が写真を撮ると言えばOKしてくれるはず。」「じゃーお願い」「分かった」「知恵は誰の写真が欲しい?」「まだ決めて居ない。強いて言えば体育の加藤先生かな」「加藤先生は女子の中ではダントツ1位。2年生の女子にも人気が高い。でも写真を撮るのは簡単。私のカメラ36枚撮りフイルムは倍の72枚撮りに成るカメラだから負かして遅れ。写真を撮るのが趣味なの。」幸子「なら綺麗な所の写真を撮ってね?そして焼き増し、してね買うから?」「分かった。沢山とるから大丈夫です。」幸子「花子あんた男子のだれとも話出来るの?」「何で?誰とでも話はするけれど?」「本当に。凄いね。私好きな人とは遠くで見ているだけ。迚話せない。知恵はどう?」「私は男子とは今まで話をしたことが無いです」花子「知恵綺麗すぎて男子が近寄れないのです。」「そんなことないです。ただ私無愛想だから」「男子は大半が知恵の事が好きなはず。嘘だと思うなら修学旅行で撮った写真を全て私が廊下に張り出し、欲しい人が居たら焼き増しをして売ってやる。そうすれば知恵の写真は飛ぶように売れる」「それだけは止めて。お願い恥ずかしくて学校に来られない」「分かった」

そして3泊4日「車中1泊」の青春を乗せた思い出の日の出号は京都へ7時間の長旅に出掛けた。

3年B組54名担任藤井32歳社会科教師が悪ガキから目を離さなかった。3人で向かい有って座っている席に一人担任が加わり品川駅から4時間以上席を立たず、話し込む。話の内容は最初は世界のトイレの話が延々と続いた。ある国では縄で尻を拭く。他の国では蒔きで尻を拭く、ある国では川に入り左の手で洗う。日本でも4畳半位のトイレに真ん中にU字型溝みたいな溝に何人かがしゃがみ込み用を足す。終わると用具を使い壺に押し込む。中国のとある田舎に行くと、壁のないトイレ。板が二枚あり、またいで会話をしながら用を足すとか?延々と話し混む。担任「様式トイレはどっちを向いても洋を出すと必ずおつりが来る。どうにかならんもんかな?」などといつまでも話混む聊か飽きが来ていた。

悪ガキ3人「何時まで話を続けるつもりだ。早くよその席にいかねのかな?」と3人は思っていた。が一向に席を立とうとはしなかった。トイレの話が後に洋一と実が世界のあちこちで現実にトイレを経験するとはこの時知る由も無かった。

トイレの話がやっと終わったかと思い。するとつまらぬことわざが始まった。最初に直ぐに受験の時期が来る。今度の夏休みをどう過ごすか?二学期までに決まる。三学期の成績は評価にはならない。そこでタイム イズ マーネ では無くタイム イズ モーネだ?

そうかと思えば豚の尻尾より鶏の頭「鶏口となるも牛後となるなかれ」の担任藤井先生のつまらぬ駄洒落に付き合わされた。楽しい修学旅行もとんだ災難で有った。然しこれは担任の計算で有ったハズ。昭和25年生まれの生徒は長男はごくわずか?次男、三男が多く昭和22年が戦後のベビーブーム「長男が多い歳」その後中を開けて24,25,26,27と戦後のベビーブームが続き次男、三男はタガの外れた子供が多かった。

そこに花子が「遠藤君。席ここなの?写真撮って上げる。」と言い三人の写真を撮り始めた。すると担任が他の生徒の席に移動した。この時遠藤「助け人来る」と花子に言った。「どうしたの?」「来てくれて助かった。品川駅からずっと今まだ監視着き、4時間以上トイレに何度か逃げたけれども戻って来ても何時までも座り続けて、嫌気が来ていた。そこに花子が来て暮れて助かった。このまま京都まで一緒に行のかと思ってぞうとしていた。花子が救いの神。何処かで。飲み物買って上げる。」「それより写真を何枚か撮らせて?中学校を卒業すれば高校は別々になるから。私は恐らく女子高に行くつもりだから?」「卒業しても会おうと思えば会える。家がこすわけでは無いのだから?」「そうね?会おうと思えば何時でも会えるね?」「それより花子。矢張り女子高?」「多分女子高?恐らく普通科。高校卒業後は恐らく手に職じゃーないかな?」「そうーか?分かった。有難う。京都へ行ったら写真撮ってやるから」「有難う」「じゃーな」と言い花子は自分の席に戻った。暫くして又もや担任が戻って来た。

「今日泊まる宿は本能寺ホテル。直ぐ近くに本能寺が有るが信長が死んだ寺ではない。本能寺は何回か焼かれ、今の場所にうった。」実「あれ?社会科の先生見たい?」「並木お前面白い事を言う奴だな?俺は社会科の教師だ。お前には3以上はやらん」「有難うございます。社会科は2以上貰った事が有りません。3頂けたらお袋赤飯炊いて暮れます」と言うと他の席に言った。「実。実にお見事。あっぱれ何処かで一杯飲ませる」などとくだらない話をしているうちに、電車は京都駅に着いた。

其々クラスごとにバスに乗るとガイドが京都タワーを指さし、「あれは何の形をモチーフにして出来ているか分かる人いますか?」実「ろうそく」「その通り。よくご存じで?」「担任の藤井先生におそわりました。」担任「実良く出来た。社会科5遣る」梅沢「適当な叔父さん」和男「これから一年。どうしたらいいの?長いぞ」担任「何か言ったか?」「言え何も言いません。私至って無口です」花子「ガイドさん?駅からホテル本能寺は遠いのですか?」「遠くは無いです」「お腹すきました。」担任「宿に着いたらすぐに食事。其のあとお風呂。10時就寝。明日6時起床。7時朝食を済ませ、8時出発。

食事を済ませ、風呂に入り、布団を引き、恒例の枕投げ。10時に成り担任が回って来て早く寝ろの一言。生徒はおとなしく寝たふり。様子を伺い洋一と実4階の30センチのひさしに降り、手で窓枠を掴み隣の部屋に行き、隣の部屋から教師の部屋を覗き混む。「なんだよ!宴会遣っているではないかな?」「修学旅行は授業の一環だとか能書きを言い自分たちはただで宴会付きの旅行かよー。きっと明日はバスの中居眠りしているぞ」「そろそろ戻るか」と言い部屋に戻ると、他の部屋の生徒もひさしを伝わり好きな部屋で寝て居た。

翌朝8時出発。最初に桂川に行き渡月橋を見学。三十三間堂、健仁寺、清水寺、京都御所を見学した後。すれ違う白人4人組が笑いながらすれ違う。担任が「英語で笑ってた」と言った。すると実「先生今のはフランス語です?飲み過ぎてウイ、ウイと言ってました。白人を見たら全てアメリカ人とは思わないでください。フランシス人も日本に来て前の日に飲み過ぎてウイ、ウイと日本の何処かの叔父さんも飲み過ぎてウイ、ウイと朝洗面所で言っていた叔父さんが居ました。」

夜夕食を済ませ、バスに乗り東山ドライブウェイに行き、京都市を一望できる夜景のスポットの将軍塚展望台へ連れてこられた。その時に初めて夜景の美しさに皆も感動してた。そして洋一またいつか期待気持ちに駆られた。京都の夜景は日本三大夜景には入って居ない。後に洋一日本三大夜景を見に行が、日本の夜景の一番お気に入りは函館の夜景が一番のお気に入りだった。それでも矢張り年を取って再び京都の夜景を見に行き、中学生修学旅行を思い出す。

翌日大阪城を見学し奈良公園に行き、東大寺、春日大社、興福寺、正倉院、若草山、浮雲園地等を見学した後宿に、夕食を済ませ新京極へ行く。宿から近く賑やかな店が連なる場所では有ったが、あちらこちらに先生方の警備が硬く、羽目を外す事が出来なかった。

最終日金閣寺、銀閣寺、宇治の平等院、そして宇治川で富士雄、女子から沢山写真を撮られた。この時富士雄一番のモテ期で有った。其のあと夕食を済ませ京都タワーへ行き、買い物を済ませ、夜行電車日の出号に乗り来た時よりも長い、長い時間を過ごす。朝方品川駅に着く。体はへとへとに疲れ、バスに乗り一路学校へ行き解散。

舟木一夫の歌修学旅行昭和38年。女子3人チーム昭和40年春4月の事でした。

二度と帰らぬ思い出乗せて?楽しい青春の思い出

その後1学期が終わり、夏休みが終わり、2学期が始まり出すと、教室の空気が変わり、受験の雰囲気がひしひしと感じた。それは3年生受験する人全員が同じ空気を感じていたはず。会話の話題は高校の話。何処に行か?学校の偏差値、アクセス、制服、普通科、商業科、工業科いずれにせよ何校かの下見とパンフレットを貰いに、めいめいが学校に訪れ下見に授業中に生徒が居なくなり、グループで願書を貰いに行った。並木「オイ。遠藤俺と工業科受けないか?」「俺図面見たり、書いたりするのが大嫌い。工業科は俺には無理」遠藤「それより俺と一緒に商業科へ行かないか?」「俺はそろばんが大の苦手。金の計算は無理」和男「俺と普通科行って大学行かないか?」「和男バカ言ってじゃないよ。こっちは高校出たら直ぐに働き、一日も早く独立したいのだ?豚の尻尾より鶏の頭。担任の口癖。そのくせ自分はクジラの尻尾。矛盾した話」などと2学期に入ると話題が進学の話に変わった。

花子「幸子。商業科。知恵も同じく商業科。私は計算が苦手だから入れる普通科へ行く。あくまでも入れたなら?偏差値の低い学校へ行く。それでも駄目なら調理師学校へ行くか美容師学校か?入れるところに行」幸子「手に職も良いかもね。花子なら」花子「担任の良く話す、万事塞翁が馬。なる様にしかならない。難しく考えない」幸子「気楽でいいね?」

花子「ケ・セラ・セラドリス・デイの歌の如く。気楽にタイム イズ モーネ気楽に楽しく」「本当に気楽な人ね?」「有難う」

受験が始まる

  最初に花子が受験に挑み、広き門からの入学。受けると大体の人が合格するがマンモス校。1学年18クラス

幸子と知恵は都立商業高等学校。然し別々の高校で有った。成績も二人とも良く出来たが、二人にはライバル意識が多分に有った。其の潤滑油が無くてはならない花子で有った。

見た目も二人より遥かに劣るが、明るい性格、憎めない笑顔。会話の面白さ、体全体から感じる金運誰からも好かれる性格。そして何処か天然。だから男は気楽に話せて悪口も言える。それを一つも気にせず何時も笑顔。

クラスでトップに合格後は呑気に後は遊び転げていた。教室の空気は張りつめている中。一匹の極楽とんぼは太陽の如く明るく楽しく中学校生活をエンジョイしていた。一月遅れでそれぞれの都立校の受験が始まり、一週間後に発表。二人は共に合格そして卒業して4月からそれぞれの高校へ行き卒業した後、花子は居酒屋の定員に成り、幸子は出版会社に就職。知恵は銀行へ入行となり、それぞれの夢は叶った。

      社会人

 4月1日それぞれが社会人と也、新たな道へ旅立った。

豊田UOJ銀行に初入行式に知恵が顔を見せた?すると同じ会場に同級生の原信夫が遣って来て、二人は驚いた。同じ高校の隣どうしのクラス、顔は知って居たが話したことは無かった。信夫は高校生の頃から恋心は有ったが話す勇気は無かった。が然しチャンスが有れば話したかった。

今そのチャンスが偶然にも目の前に有った。思わず和男「あれ。伊藤知恵さんでしょう?」知恵「あら?原さん?」「はい。原です。こちらに就職したのですか?」「はい」「奇遇ですね?私もこちらに就職しました。高校3年間一度も同じクラスにはならなかったのに、同じ職場で会えるとは、考えたことも無かったです。これからも宜しくお願いします。」「私こそ宜しく」などと挨拶を交わし、それぞれの席に着き、頭取のスピーチを聞き新入社員を代表して田中が挨拶をした。

 入行式が無事終わり、原が知恵を見つけ御茶に誘い、親しく会話を楽しんだ。信夫「まさか伊藤知恵さんと同じ職場で会えるとは思いもしませんでした。公務員試験に落ちて、銀行に入れて伊藤さんに会えるとは?公務員試験に落ちて良かった。」「私はUOF銀行と東京NBC銀行の二つ受けてどちらも採用されたのですが?UOF銀行の方が条件が良かったからこちらにしました」「そうでしたか?これからは宜しくお願いします。学生時代から伊藤さんの事は良く知っておりました。学校のマドンナでしたから近寄れず、今日初めて無意識のうちに話をしてしまいました。ごめんなさい。失礼しました。」「いいえ。原君に声を掛けられるまでは迚緊張していました。誰も知って居る人も居なく、心細い思いでした。知って居る人に会えて心強く成りました。今後ともよろしくお願いいたします。」「此方こそ」と話をした後、別れ家に帰った。

 原思いもよらず3年間一言も声もかけられず、高嶺の花憧れのマドンナに、会話が出来た事に、今になって驚いていた。それと原信夫と言う名前までも知って居てくれたことに独りでジン・ライムで酔っていた。「何で俺の名前知っていたの?何時か聞いて見よう」と思った。

     出版社

 竹内幸子は大手出版社に採用され、入社し総合雑誌に配属され、仕事に早く成れるように努力した。

 雑誌の仕事は残業も多く、学ぶことも多かった。それでも憧れの職業に着けたことに、優越感に浸っていた。

    居酒屋

 花子は居酒屋に就職したが持ち前の明るさで皆に好かれ、食べる事にも好き嫌いがなく返事も良く板前からも好かれた。それぞれが就職して3カ月が過ぎ、花子が二人に電話を入れ合う事にした。

 7月7日七夕の日ホテルのスィーツ食べ放題バイキング昼間

それぞれ化粧も慣れて来て、社会人として学生気分も直りつつ、会話も何となく社会人の様な、そうでないような半分社会人、半分学生気分の女3人。話題は恋バナ。花子「4月に銀行の飲み会が有ったの。上司が部下を連れて男5名、女5名連れて来たの。その中に一人の物凄くカッコイイ男が居たの?女の子たちはその男の側に座りたがっていたの、最初の内は良かったのですが?飲み続けているうちにそのイケメンへべれけに成り、ぐでんぐでんに成り女の子達は誰も側に座りたがらず嫌われていたの。私も最初に見せに入って来た時には格好いいと思ったけれども最後はトイレで伸びていた。見た目と大違い。誰しもガッカリしてた。でも私笑ってしまった。だって最初に見た時に女の子目が輝いていたのに1時間もしない内に皆ガッカリした目に成っていたの?これて笑えるでしょう」幸子「内の会社にもそのような類の男の人いるは?見た目は格好いいの。然し良く聞くとマザコンらしく女子からは人気がないの?」花子「マザコンは嫌だね。大嫌いそれならブ男でも男らしく太っ腹の男の方が好き。頭は然程良くなくとも、豪快で稼ぎの良い人の方が私は好き。」知恵「男は見た目が悪い方の人がお金持ちに多いはず。大金持ちの人が内の銀行に来るけど大体が大金持ちの人はブ男です。」貴子「そうか?顔はブラットピット、心はジャン・ㇾノ、懐はオナシスか?いないね。」花子「知恵は銀行勤めで誰がお金持ちか良く分かるでしょう?」「お金持ちはケチなのよ?使わないの。だめ金持ちはつまらない人が多いはず。」花子「店に来る人もお金が無い人の方が金使いが荒いの。金持ちは使い方がみみちいの。そしてやたらとクレームが多いの。やんなっちゃうの」幸子「そういえば金持の取材に行くとやたら細々煩いのが金持ち、お金のない人の方がすっからかんでアッサリしていて取材が簡単に終わる。」

花子「この後銀ブラに行かない?」幸子「良いね。行こうか銀座の焼鳥屋に行かない。内の会社で良く使い店で美味しいのよ?」花子「それ決まり。行こう」といいホテルを出た。

 そして3人は銀座並木通りに遣って来て、細い路地に入り焼鳥屋に入る。それぞれが好きな飲み物、食べ物を注文し又恋バナをし始めた。

花子「知恵。アンタ良い人見つけた?知恵なら男、数多く言い寄って来る男いるでしょう?銀行勤めなら?」「あのね。高校の同級生でクラスが違うけど、顔は見て知っていたの?だけれども高校生の時は一度も話した事が無かったのですが?偶然に入行式で知りあい、話をしてそれ以来たまに仕事で飲みに行ったりすることが有るけれども、お互い若いし結婚には早いし、彼凄く皆から好かれているし、まだ覚える事が沢山あって今の所恋愛する余裕がないのが現状。銀行勤めて以外に残業が多いの?」幸子「出版社は年がら年中残業が有って休みの日には一日中ゴロゴロしている。私は早く結婚して仕事から離れたい。早く良い人見つけ結婚するのが今の私にとつて一番の目標かな?」幸子「花子はどうなの?」「酒飲み相手の仕事。色々なお客が来て退屈はしないが、兎に角客相手は思っていた以上大変な仕事。客相手の仕事は迚シンドイワ。疲れる?私お代わり貰うけど?」「私もお代わり貰う」「私も」と言い尚も恋バナは続いた。その後3人は良く連絡を取り頻繁に有った。

     三年後

 花子の勤める居酒屋へ作業服で5人の男が遣って来た。新入りの定員が接客に着いたが、おたおたしていて、言葉が荒いのでいささか怯えて居たので、代わりに花子が接客に着いた。親方「取敢えず冷えたビール5本急いで。次に直ぐに出来る物。お新香を先に出して」と言いお品書きに目を通し、ビールが出て来たので乾杯をして「トマト、奴、唐揚げ、もつ煮込み、枝豆、揚げたし豆腐、全て3人前持って来て。」「はい。分かりました」と言い下がり出来た順に出して行く。「お姉さん。ビール5本」「はい」と言いビールを出す。「お姉さん?今日のお勧め何かある?」「今日のお勧めはタイのおつくりです。」「其れ持って来て」「はい。分かりました」と言い板長に「タイの船盛を注文した」暫くして出来上がり、客に出した。「この刺身上手い。板長ちょいと呼んでもらえる」「はい。かしこまりました。」と言い呼びに行く。そして板長出向く。「この鯛上手い。お姉さんグラス一つ」と言いグラスが届くと「先ずは一杯」と言い「他に上手い魚有る?今日は生きの良いアオリイカの刺身が有ります」「それお願い」と言い手に千円札を握り、板長にチップを分からぬ様に渡した。板長にっこり微笑み直ぐに作って自ら運んで来た。「お待ち同様です」「まあいいから一杯いこうや。今は然程忙しくは無いのでは?」「はい」「ならグビッと一気に」「はい。有難うございます。お客様は今日が初めてですか?」「はい。そうです。これから宜しく頼むは」「此方こそ宜しくお願いします。何か有ったらこの子。花子と言います。この子に何なりとお申し付けください。」「はい。分かった。花子ちゃんこれからも宜しくね?汚い身なりでごめんね」「いいえ構いません。裸でなければ服装は構いません」親方「残念俺は裸に自信があるのに残念?まあいいや一杯意向や」「はい。有難うございます」と言いビールを注いでもらい、グビッと飲み干す。「花子ちゃん。行ける口だね。もう一杯」と言いつぎ足す。それを飲み干すとごちそうさまです。他にも客が居ますのでと言い他の客にも目を通した。

 そして1週間後の土曜日に5人組が遣って来た。「また来たよ。」「いらっしゃませ」「今日の生きの良い奴は」「それなら私」「なら生き作りで」「それは今日は出来ません。売約済みです。」「なんだ売り切れかよ。花子ちゃん。お前面白い奴だな。なら他に良い物出してくれ」「板長に聞いて来ます。」板長が出て来て「本日は貝の盛り合わせは如何ですか?」「良いね。本ミル有る」「有ります。他にトリガイ、青柳、平貝、ツマは生ワカメです」「それいいね。それを作って」「はいかしこまりました。其の前に牛すじの煮込み先にお持ちしますか?」「それいいね。頼むよ」「はい。あ・・・・それと赤貝も有りました」「それも入れて」「はい。」と言い調理場に行き貝の盛り合わせをこしらえた。その間に煮込みを先に出した。「花子ちゃん牛すじ上手いね。5つお代わり」「はい。美味しいでしょう。有難うございます。私が板長に習い作りました。」「本当に。料理作るんだ。」「はい。板長に習って居ます。板長が言うには、先ずは男の胃袋を掴め。花子は器量が良く無いのだから、男を捕まえるなら、先ずは胃袋だ。と教えて貰いました。だから今一生懸命料理を習って居ます」「それは良い事だ。料理が上手く成っても貰い手が居なければ俺が貰って上げる」「ごめんなさい。私メンクイなの」「お前本当に面白いやつだな。こんど寿司屋に行か。行き付けの上手い寿司屋が有る。行くか?」「寿司屋だけならいいけど?」「心配するな。俺もメンクイだ」と言い皆で大笑いを下。

   社内にて

 幸子残業をやっと終わらせ帰り際に部長が竹内仕事終えたか?一杯飲みに付き合わないかと誘われる。「遅くに成らなければ良いですが?」「遅くにはならない。軽く飲んで帰る」「はい。付き合います」と言い仕事場の近くのスタンド割烹料理店に行き、取り合えずビールを貰いお作りを頼み、冷酒に切り替え部長が「何処から通って来ているの?木場です。」「東京生まれ」「はい。そうです。父と母は鹿児島です」「そうなんだ。俺は生まれも育ちも下北。大学は文系入った頃は出版社が全盛の頃。ボーナスも良かった。給与も良かった。然し最近は文書離れ、栄枯盛衰これも時代か?」「雑誌も目まぐるしい時代ですね」「時の移りが早い。これからはもっと早くなるだろう」「そうでしょうね。ついて行けるかしら」「君なら大丈夫だと思う」「そうですかね?」「遅くならないうちに先に帰っても良いよ。俺はもう少し飲んで帰るから」「ではお先に失礼します。」と言い先に帰った。

 そのころ知恵は職場連中と良く飲んで歩いていた。そしてこの日も飲み会が有った。知恵も入行3年が過ぎ、見た目もダントツ1位。男からの誘いも多いが身持ちが固く仕事に精を出す。それに有名大学を卒業して余り遊んだことも無く、会話も面白く無かった。ただ生真面目な人ばかりが多く知恵にはただの男に過ぎなかった。然し原信夫は他の人とは違っていた。先ず高卒。それと他の人とは遣る事なす事皆違う。先ずタガの外れたところ。会話の面白さ、人を引き付ける話術の上手さ。大学出よりも話は旨かった。それに高身長、二枚目、女性に優しく親切。女性1番人気。スポーツ、アウトドア、食べ歩き、話題が豊富で有った。いつの日か知恵も和男の虜に成っていた。

      寿司屋にて

 花子は、とび職親方高橋隆と待ち合わせをして、親方行き付けの店に6名で遣って来た。「大将。れーの女連れて来たよ?何か変わった物食べさせ遣って?」「珍しい物ですか?では」と言い奥に下がった。その間にビールで乾杯して塩辛のお通しで繋いだ。暫くして「はい。お待ち」「何これ?」「当ててみて?」「何だこれ。上手いね。焼肉のミノみたいなそうでないような?初めて食べた味。然し上手い」他の人も上手いが何だか分からないが取り合いに成った。親方「これお代わり貰える」「残念それでおしまい。それはマグロの皮です。」「何何時も捨てているマグロの皮。そうなんだ!こんなに上手い物を何時も捨てていたのか?もったいない。」「然しマグロの鱗を綺麗に取るのは大変なのです。マグロの鱗は迚細かく固いのです。綺麗に取るのが一仕事なのです。今度来る時には電話をください?鱗の付いたまま上げます。家で綺麗に取って食べてください」「俺一人もん。毎日外食。無理な話」花子「貰ってきたら、私が作って上げる」「それいいね。大将この子器量は今一だけれど性格は良い」大将「この間。お客様とキャバレーに言ったんだけれども、店のナンバーワンの女が来たのだが、器量は今一だけれども、兎に角頭が切れた。その他にも会話の上手さ、豊富な知識。綺麗でお高く止まっている女より、そばに来ていて楽しい」「そういえば何年か前新幹線で出羽三山に行ったとき、電車から観光バスに乗り換えたときに、バスガイドが婆さんのガイドでガッカリしたが、バスが走り出しガイドが話をするとこれが偉く面白い。普通バスに乗ると良く寝る人がいるが、誰も寝ずに話を確り聞いて居る。そして話に落ちが有り知識が広がる。矢張り器量の悪い人は美人に対しての努力が凄い。だからあの年に成っても会社で使って貰える。」「役者もただの二枚目は消えていく。残るのは矢張り芸」「ほんとだ。花子頑張れ」「有難う」次に出て来たもの「これは何」「食べてみて?」「わからない」「赤貝の肝」「これも酒のつまみに良く合う」「これ分かりますか?」「何かの卵」「さて何の玉子?」「イカ」「残念タコの卵です」「そろそろ握って貰えるかな?」「今日のお勧めは、ハマグリ、シャコの付け込み、ハゼ、エンガワ、」「今言ったやつ全部2巻づつ皆に握って」「はいきた」と言い6人に2巻づつ握った。花子「ハマグリ、シャコ、エンガワ美味しい」「分かってるね。流石居酒屋で働いているだけの価値は有る。」親方「花子おみやで何か巻いて貰い家で後から腹がすいたら食べるのに持って帰れ」「有難う。では海苔巻きをお願いします」「花ちゃんは東京生まれ」「はい。木場6丁目6-9だからろくろ首です」「この子本当に面白い子ですね」「でしょう?憎めないのです。居酒屋止めてキャバレーに行か?」「私が行ってナンバーワン成ったら、女のイジメが凄い。だから止めときます」大将「それが良い。女のどろどろの世界は迚激しい」親方「そうだな。居酒屋のチーフの方がいいか?」「はい。親方が来てくれるし、親方楽しいし、見た目はイマイチでも」「本当に面白い子ですね?」と皆で大笑い。そして帰って行った。

     打ちっ放し

 幸子廊下で部長に呼び止められ、休みの日にゴルフの打ちっ放しに誘われた。予定もなくゴルフには多少の興味が有ったが行く相手もいないし、道具も無いし、やり方も、コースに出たくとも一人ではできないし、先ずは打ちっ放しでも良いからついて行くことにした。空いている打席に入り、ボールを先ずは2カゴを買い、クラブの握り方、スタンス、構え方喉を軽く教わり、素振りを2・3回して、先ずは7番アイアンを持たされ、売って見た。すると以外にもボールに当たり50ヤード飛んだ。「竹内さん中々良いね。もっと売って見て」「はい。」と言い約20発位打ち、今度は5番アイアンを持たされた。そして打つと100ヤード飛んだ。「大したものだ。はじめてにしては上出来。では4番はと言い4番アイアンを持たす。すると50の内約半分がスライス15がフック、残りが直ぐに飛んだがごろが多かった。次に3番ウッドを持たすと150ヤード飛んだ。ドライバーを渡し打たせたら160ヤード飛んだ。「竹内様凄いね才能有るね?何か運動してた?」「駆け足は速い方でした。バレーボール、アイススケート、卓球、水泳、バトミントン、等を中学、高校と遊んでいました。」「道理で運動神経が良いわけだ。もっと沢山打ってみて、ボール沢山買ってくるから。それからそのクラブ男用だから長いので、短く持って打つと良い。やり続けるなら女性用のクラブ買って上げる」「今のところは良いです。その代わりクラブ貸してください?」「いいけれど」「また来たいです」「いいけれども。沢山打ち過ぎても明日体が居たくなるから、ほどほどにして、帰りに焼き肉屋に行か?」「はい。良いですね」と言い家に車を置き、行き付けの焼き肉屋に言った。「何を飲みますか?」「そうですね。喉が渇いているのでレモンサワーが良いです」「俺は先ずはグレイプサワーとオイキムチと上カルビとロースとタンとミノ。好きな物は何ですか?」「私はミノが一番好きです。それとタン塩です」「閉めに石焼ビビンバか冷麺か、それともカルビクッパそれとも何にしますか?」「では冷麺が良いです」「俺はコムタンクッパで良いわ。酒のお代わりは?」「ではマッコリいただけますか?」「俺もマッコリが良いな。ボトルで貰います」と言いボトルを貰い「3回打ちっ放し、行ったらショートコースに1度行き、其のあと本コースに行ってみょう。」「楽しみが増えました。」「女の人であんなにボールを打てる人は、初めて見ました。上手くなります。保証します」「部長の教え方が上手いからです。ありがとうございます。」「時間が折り合い付けば、御徒町に行ってクラブを選び手に入れましょう」「良いのですか?」「良いよ。プレゼントするから。」「ありがとうございます。」「いいんだ」「又打ちっ放しに連れていって下さい」「近いうちに行こう。時間を開けすぎると又元に戻ってしまう」「そうですね?」「それと俺が前に使っていたクラブが有るからそれで素振りの練習をすると良い」「早くコースに出てみたいです」「分かった。食べたら帰ろう」「はい。」と言って食事を済ませそれぞれ家に帰って行った。

  鈴木和夫も入行4年、来年は転勤の恐れあり、このままではいかんと思い、積極的に行動を起こし何としてでも知恵を物にしなくてはと強く思い行動に出た。そうでなくとも男は誰しも知恵の美貌に惚れてしまう。

それと毎年春に成ると知恵をめぐって争奪戦が始まる。店の看板。知恵入行以来店に客が増えたことは紛れもない事実であり、豊田UOF銀行都内では知らない男は居なかった。そこで何と言っても同じ高校卒業生。人より有利のはず。考えた挙句出た答えは知ってる友達に、片っ端から電話を入れ、クラス会では無く同窓会を開くことにして、知恵さんを同窓会の幹事に選び、仕事の合間を見ては、知恵さんに近づき話のチャンスを掴んだ。

「伊藤さん。今の所分かって居る人はこれだけです。伊藤さんの連絡取れる人はどれ位いますか?」「私は友達が少なかったから、友達に連絡を入れて友達に探してもらいます」「有難うございます。うちらの学校は女子7割男子3割だったから女子が多くて男子が少ないので男子は肩身が狭くて、男の集まりは恐らく少ないと思い全クラスに声をかけ、4年ぶりに同窓会を開くことにしたので、申し訳ないのですが手っだって下さい。宜しくお願いします。」「はい。私が出来る範囲で手伝います。」「有難う。それで今日仕事を終えたら、友達の佐々木健介と会う事に成っているのですが?佐々木健介は知らないはず、組が違いましたから?」「はい。会えば顔は分かるかもしれません?」「奴とは良く飲むことが有って?彼は今不動産屋に努めて居て今日有って飲みながら、同窓会を開くことに話を進めたいのですが?一緒に来てもらえますか?」「良いですけれども。出設楽斎藤孝子に連絡を入れて来てもらう。新橋駅で待ち合わせをして会いましょう。貴子の方が友達多いので女子の連絡は、彼女にも手伝って貰います」「では幹事として、私と、佐々木と伊藤さんと、斎藤さんがメインで連絡先を見つけ、今のところは日にち等は決めずに、先ずは人集めをしましょう。仕事が終わったら行きましょう」と言い原これで頻繁に知恵と会う機会を作った。

仕事を終え新橋駅SL広場。新橋駅待ち合わせ場所に来てみたら、既に佐々木が来ていた。原「佐々木早いな?仕事暇なの?」「バカなことを言うな。伊藤さんに会えると言うメールを貰ったので、親父が急に具合が悪く成ったと言い、早引きしてきた。初めまして佐々木です?」知恵「初めまして伊藤知恵です。原君とは同じ支店でお世話に成って居ます。これから宜しくお願いします。」「此方こそ宜しくお願いします。」と挨拶を交わし勤め先やら、住まいやら、近況を話題に話していると、斎藤孝子が遣って来て「待たせた?ごめんなさい。」知恵「斎藤孝子さん。此方原信夫君、そして原君紹介して?」「佐々木健介。不動産屋勤務」「佐々木です。これからも宜しく」原「新橋には安くて美味しい刺身を食わせる店が有るけどそこで良いですか?刺身以外にも他の食べ物は有ります。」知恵「原君に任せます。」佐々木「何処でも良い。皆と会話が出来るとこなら。余りうるさくないところにして。」「少し客多いので多少煩いかも」と言い魚を食わせる店に行った。

そしてビールで乾杯をして刺身盛り合わせとそれぞれが好きな物を注文した。

佐々木「今日初めてお二方とお話をするのですが、私の事は覚えて居ますか?」孝子「済みません。覚えていません。」知恵「見たことは有りますが、話すのは初めてです」佐々木「私はお二人を良く覚えて居ます。男子の間では東の横砂。西の横砂と言い男子の憧れの的でしたから?特に伊藤知恵さんは他校の生徒も知って居ます。」「其れって作り話では?」「いいえ。私不動産屋勤務で蔭口で千三屋と言われていますが?これは本当の事です。」原「それは本当の事です。中学の同級生が家に遊びに来て、高校生の卒業アルバム見て、伊藤さんを見ると誰しもが、紹介してと良く言われる。だから俺も話など恐れ多くて話をしたことが無い。と何時も言ってました。」「二人とも営業マンだから口が上手いのね?」「佐々木と同じにしないでください。彼は千三屋ですから。」「私は正直不動産屋。他の不動産屋と同じにしないでくれ」「それより、同じクラスに居た吉野春夫。覚えて居るかな?」「色白で大人しい奴、話をしたことが有ったかな?良く覚えて居ない。」「アイツ去年死んだって聞いた。何でも白血病で死んだとか?」「そういえば男のくせにやけに色が白かった。当時から体弱そうな奴だった。」「これから先同級生は増える事は無い。減って行くばかり、生きている内に一度同窓会を開いて、先生にも来てもらい皆で楽しいお酒を飲みたいね?」「佐々木良く言った。お前幹事やれ?」「バカなことを言うな。ここは原と伊藤さんが幹事を遣って、俺と斎藤さんは脇役、いくらでも手伝う。二人は同じ職場。男性は主に原がメインで女子は伊藤さんが斎藤さんと連絡先を密に取り、ある程度の人数が集まったら、第一回同窓会を開き、そこから又新し情報を聞き出しメンバーが増えるようにすればいいわけで、恐らく吉野春夫が死んだ事も、先生も知らないと思う。」斎藤「私。小野清子さんとたまに会ったり、飲みに行ったり、お付き合いしてて、彼女友達が多いので、今電話してみる。ごめん。外に行って話をしてくるから」と言い表に行った。暫くして戻って来て孝子、原に携帯を渡し「小野さんが、原君と話をしたいって?」と言い携帯を渡され外に行「もしもし初めまして、原です。」「初めまして小野です。私は原君を良く覚えて居ます。人気有ったから女子は皆良く覚えて居ます。私も色々な人に電話で勧誘活動をしてみます。」「有難う。今度近いうちに有って飲みませんか?」「はい。行きたいです。是非とも誘ってください。お願いします。」「分かりました。その時にラインの交換しましょうね。宜しく」と言い電話を切り、席に戻り、このペースでいけば以外に早く同窓会が開けると4人は考えた。

  居酒屋

 花子。ここしばらく親方店に顔を見せず花子気落ちしていた。すると何時もの大きな声で「花ちゃん生きてるか?」と言い店に現れた。「何処で浮気をしていたのよ?此処にこんないい女いるのに。」「実は現場が遠くて泊り掛けの仕事で、俺も花ちゃんの顔が見られず、便秘になっちゃった。矢張り花ちゃんの顔を見ないと、糞詰まりに成る。明日は快調に便が出る。」「何よ。私は便秘薬かい。」「怒るな。花ちゃんの顔を見て飲み食いすると、気持ちが落ち着き飲み食いしても胃腸が元気に働く。花ちゃんは俺のゴーヤみたいなものだ」「何それ。私がゴーヤ?何でゴーヤなの?」「つまり健胃薬てこと」「もっといい例え無いの。例えば地上に降りた天使とか?ハート美人とか、下町の吉永小百合とか?幾らでも有ります。何でゴーヤを引き合いに出すの。今年も嫁さん来ないわ?」「どうだ?俺の嫁に成らないか?」「あちこちの飲み屋で言っているくせに。私は前から言っています。メンクイとハッキリ言っています。」「俺はそうゆうところがお前の好きな所だ。それよりビール5本急いで持って来て、喉が吸い取り紙みたいにガラガラ。早い所ビール頼む。それとお作りも」

花子「板長。親方に上手い刺身を。其のあと一服盛って。分からないように。」と親方に聞こえる様に言った。するとビールを飲んでいた親方。吹き出し笑う。「花。お前本当に面白い奴だね?一杯行こう」「私もさっきから喉が吸い取り紙の様に喉がガラガラ。早く気付いてよ。気が利かないお客だね?」「悪かった。ビール1本遣るから一服盛らないで」「はい。分かりました。板長今日の所は一服いらないそうです」「今の所客は誰もいない。こっち来て一緒に飲まないか?」「良く気が付きましたね。ビール5本持って来て」と言い一緒に飲み始めた。「親方又寿司屋さんに連れて行って下さい。勉強に成ります。」「何時でも良い。花が都合がいい時で、俺が仕事を終えれば良いよ」と話は決まり、一週間後親方花子を連れて寿司屋に行。

 「大将。又連れて来た。何か上手い物作って?」「いらっしゃい。待って居ました。親方から電話を頂きました。」花「親方て顔に似合わず親切なのですね」「然しお前は顔も汚いが言葉も汚い?」「あら?今日初めてそんなこと言われた。それより大将お願いが有るのです。」「なんですか?」「私に仕事教えてください。」「いいですよ。やる気が有れば幾らでも教えます。」「有難うございます。私の休みの日に来ます。それでよろしいですか?」「私の休みの日以外出設楽何時でも結構です。」「有難うございます。では今日は小肌の美味しい刺身の盛り付けを作って見せて下さい。私が頂きます。宜しく」「分かった」と言い小肌三枚とガリと大葉を使い、小肌を先ずは縦半分に切り、小肌、ガリ、大葉を小肌に乗せ、それを6回乗せて先ず半分に切り、切った半分を更に半分に切り、次に切り落とさず半分包丁を入れ、それを立てて木の葉の形を作り、綺麗に盛り付けた。花子「素晴らしい。これ持って帰って写真に取り、バラして見てから食べます。」「それなら最初から動画で取れば?」「良いですか?」「今でしたら他の客もいないので、いかの飾り切りを取れば。今作るから。」と言い作るところを動画で取らせた。「有難うございます。これなら家でも出来ます。イカの刺身はここで頂きます」と言い食べた。すると親方「俺に赤貝の刺身を作って」と言い大将「花ちゃん。赤貝のむき方から教える」と言い貝むきを見せ「これが赤貝剥きの道具」「これは店にも有ります。」「では裂きます」と言い裂いて飾り包丁を入れ妻を引き盛り付け出した後、肝と生姜を刻み赤貝の肝の煮付けを教えた。「これこの前に頂いたやつですね?」「そうです」「これ酒のつまみに合いますね。今日はこれくらいで、この次はメモとカメラを持ってきます」「良い事だ。今の若い見習いには余り居ない。今の若い奴はぼうーとしてるのが多いので私は弟子は取らん。が花ちゃんならいくらでも教えてあげる。見込みがある。」「有難うございます。親方今日は連れて来て暮れて有難う御座いました。今度上手い物を作って恩返しします」「有難う。楽しみにしている。然し一服盛るなよ」「それは分かりません」「いやな事いうね?まあいいドンドン飲もう」「私お酒頂いて良い」「俺も酒の方が良いな。ビールは腹にたまる」などと会話をしながら二人は知らず知らずのうちに親密な関係に成って行った。そして休みの日には花子足繁く寿司屋に仕事を教えて貰い行った。

花が寿司屋に居ると親方は寿司屋に行き、店に入る時には店に、いずれにせよ二人の仲はごく自然に出雲の神が結んだ。

 花子。竹内幸子と伊藤知恵に電話を入れ合う事にして、三人の都合の良い日を選び会うことにした。花子「二人とも元気そうね?見たところ二人とも前より綺麗になったみたい?」幸子「花子も前より綺麗に成ったけど?彼氏できた?」「うん。今年秋に結婚するの。」知恵「それ本と?何処の誰。私たちが知って居る人?」「いいえ。違います。」幸子「何の仕事をしている人?」「鳶の親方。28歳5人を使い親方として働いて入る人。ハンサムでは無いが、豪快で愉快な人。退屈はしない、体も至って元気。それに部下に大変慕われている。元暴走族の総長。5人はその時の暴走族のメンバー。然し今は構成して真面目に良く働き、一生懸命貯蓄して家を持つ気で頑張っている。親方も今の家を建て直し、二世帯住宅を建てるつもりで頑張って働いて入る。仕事は出来る人なの。なんせ元は暴走族のリーダ。負けず嫌い。人の面倒を見のが大好き、本当は気の優しいガキ大将。私には丁度あった人。結婚式には二人絶対に来てね?」幸「勿論来るなと言われても行くけど」知恵「やっぱり一番は花か?思った通り。おめでとう」花「二人は彼氏できた?」幸子「今上司と軽く付き合いが有るが?年も離れ、バツイチ。子供は奥さんが引き取り一人暮らし。まだ今の所良く分からない。」花「知恵は?」「高校が同じで、同じ銀行で働いて入る人が一人いて、最近高校の同窓会の事で良く飲みに行ったり、食事に言ったりしている人が入るけれども?まだ今の所良く分からない。」花「写真無いの?」「この前。皆で焼き肉屋で撮った写真なら有るけど」「見せて」「この人。」「あら。二枚目。美男美女のカップル。これ決まりだは。間違いない。」幸子「これは絶対に決まるは。知恵が駄目なら紹介して、私ならどストライク。身長は?」「178センチ位。中肉。スポーツ万能。お酒好き、店でも人気者」「他の人に取られない内に決めたら?」「何処に住んでいるの?」「生まれは何でも新潟の高田とか?中学生の時に台東区に越してきたとか?」花「結婚決まったら教えて。行くから」幸子「花。結婚式の前にパーティー遣ろうよ?来られる人だけで良いから」知恵「賛成。幸。幹事遣ってね。」「分かった。遣って見る」知恵「花の旦那さん。早くみたいな?元暴走族リーダで鳶の親方。大体の見当はつくが?花をどれ位幸せに出来る人か見てみたい。」「そうね?花は中学生の頃から男子生徒からは人気は有ったし、男友達もダントツに多かったから男子を見る目は私たちよりも数倍目利きのはず。」「だって中学生の頃は男子をそんな目で見て居ないし」「だけれども、話をしていても、この人は良いな、この人はありえない、と思ったでしょう。それよ?それが決めてよ」「結婚も一期一会かもしれない?何年付き合ってもダメはダメ」などと話は弾み、この日は二次会も無く其々が家に帰宅した。

     キャンプ

 原信夫が同窓会の打ち合わせするために、第二段のアイデアを考えた。それは口実。伊藤さんと何処か一泊で行きたいのだが?急いては事を仕損じるの例え。年もまだ23歳慌てる事も無く、さりとてノンビリもしておられず、何としても物に支度。やや焦って居たので取敢えず皆を誘い奥多摩のキャンプ場行くことにした。先ずはこの前のメンバーにラインを送り、金曜日までに確かな人数を決め、車の手配と行く場所。温泉とバーベキューの材料などの決めごとを決め、土曜日に高校の最寄り駅で10時に待ち合わせをして、車二台8名が集まり、奥多摩の河原に遣って来てテントを借り、バーベキューセットを借り、食材は来る前に皆でスーパーマーケットに寄りかい集め、河原に盛って来た。先ずは原が乾杯の音頭を取り同窓会の今までの分かった連絡先や住所。勤め先やらをそれぞれが分かった事を話ながら、簡単なつまみで話し合った。

先ずは佐々木健介が白血病で亡くなった中村保に着いて話を下「A組に居た中村保が去年白血病で22歳で亡くなった?」加藤「富沢今年正月酒を飲んで運転して、交通事故により即死。俺は付き合いが有ったので火葬場まで言ってきた。富沢の奴友達多かったので皆で火葬場まで行ったんだけれども、酔ても辛くて、喪主の弟の顔は見られなかった。親は親より先に行親不孝を火葬場に行かず家で待機。代わりに弟が喪主を務めたのだが、迚辛くて俺も便所で泣いてしまった。彼らとは良く遅くまで飲んで歩いた。良い奴だった」喜代子「私と同じクラスの中村君死んだの?知らなかった?学校出てからのお付き合いは全く無いので今日の今日まで知らなかった。愉快な人でした。何度か話はしたことが有りますが、個人的には付き合いは有りませんでした。」喜代子「同じB組の吉田美代子って覚えて居る。彼女去年結婚したて聞いたわ?同じクラスの高橋敏行君と」知恵「本当に。クラスでは話をして居る所は見た事が無いが?」「何でも何処かの駅で偶然有ってそれからお付きあいが始まり結婚したとか?」「分からないもんだね?」と長々と話混み、温泉に行き、テーブルを原が確保して皆が風呂から出て来るのを待った。先ず最初風呂の時間を30分と決め、出たら皆が集まった所で新たに原が乾杯の音頭を取り、其のあと中村保の冥福を祈り、献杯の音頭を

取りそれぞれの情報を交換した。

 其のあとキャンプ場に戻り、焚火を囲み楽しいひと時を過ごし就寝。

翌日釣り堀に行き、ニジマスを釣り焼いて食べた。

帰り道に玉堂美術館に寄り、日本画を見学した後、手打ちそば屋に寄り、次に吉川英治記念館に寄り、原信夫の下調べに皆も一目置いた。なんてことはない。ただ伊藤知恵にいい所を見せたいがために、キャンプ場、温泉、釣り堀、美術館、記念館などを調べて置いた。

然し信夫吉川英治の宮本武蔵は何度も呼んで愛読書の一冊でした。他にも井上靖の氷壁、丹羽文雄の包丁等を読んでいた。然し信夫の一番の好きな作家は何と言っても文豪アーネスト・ミラー・ヘミングウェイで有った。此の男以外に見た目に寄らず隠れて本を読んでいた。老人と海、誰がために鐘は鳴る、武器よさらばなどが愛読書で有った。

 喜代子が原に「有難う。迚楽しかった?又近いうちに何処か計画立てて下さい。私又参加します」原「有難う。皆が参加してくれたので、楽しい一泊二日のキャンプが出来ました。お礼を言うのは私の方です。遊びの計画で設楽幾らでも考えます。私。男友達の間では遊び人の金さと言われています。どちらかと言えば食べる事と、遊ぶ事がメイン。仕事は東大、早稲田、慶応でのエリート。俺みたいな高卒は何時か何処かに左遷されると思う」

佐々木「銀行首に成ったら、内の店に来ないか?資金繰りが出来るなら?出物の物件を出たときに、安く買い自分で家をリーホームして貸。家賃で返済して、アパート経営して資産を増やし、年老いて来た時に処分して、老人ホームへ行くか?変えて場所の良い所に買い替える。俺はそのために不動産屋勤務をしている?今安い物件を探して買って、DIYでリーホームをして、そこに俺が住み、他の部屋は貸して、自分の家賃と貸してある家の家賃を返済に回し、又で物が出たら買い、貸家を増やす計画で不動産屋に居る。」森田栄子「佐々木様って見た目より、以外に将来の事を考えて行動しているのですね?知らなかった。」原「此奴以外でしょう。高校生の時から少し他の奴とは考え方が違っていた。良い意味で」「俺は次男。家を出て自分の家を建てるのが、俺の生きる道。結婚する前に何としても自分の家を持つのが俺の夢」西岡友子「学生とは違い、それぞれの目標が違い社会人と也早5年目。早い人なら30前に可成りの出世する人も居る。私の中学の同級生で店を持った人が入る。面白い人で人を笑わすのが好きで、仕事場でも好かれ、子供の時から俺は自分の店を持つのが夢と言っていたけれど?本当に23歳で店を出した。」佐々木「頑張って俺も貸家を持つ。出なければ不動産屋に努める意味が無い」西岡「頑張って下さい。不動産の事で聞きたいことが有ったら教えてください。それと原君もお金に関する事は教えてください。その代わり私の小学校の同級生で葬儀屋に嫁に行った子が居るから、何かの時は安く頼んで上げる」原「葬式の前に結婚式を挙げたいのです?」西岡「相手いるのでは無いのですか?」「結婚は相手が有って成り立つものですから?」「原君は高校生の時から可成り持てたはず。居るのではないのですか?」佐々木「それより早く同窓会を決めよう。一回やれば二回目は意外に簡単なはず。」森田「それと2回目の集まり何処か考えて下さい。原君と佐々木君とで女子はついて行きますから」「では富士のご来光は如何ですか?登れなくともいいのです?途中で下山しても良いのです。日本人なら一度はチャレンジしても良いと思います。帰りに温泉に入り何か食べて帰って来ましょう」知恵「私も一度登って見たかったので7月山開きを設楽行きたいです。」佐々木「それに決めましょう。無理に登らなくとも、6合目でも7合目でも8合目でも良いのです。いけるとこまで行けば」原「駄目なら又リベンジすすればいい事。では7月に入ってお天気を見て決めます。雨風が強い時には絶対に無理ですから?幾ら葬儀屋に知り合いが有るからと言っても無理ですから。」などと話をしながら帰って来た。

     ゴルフショップ

 ある日の日曜日。幸子は部長と御徒町で待ち合わせをして、ゴルフショップに来た。先ずは一件目の店に入り下見をした。が一軒目の店には女子のクラブは数が少なく、他の店に行く事にした。

二軒目の店に入ると品数も多く有り、ややお気に入りのクラブが有ったが、グリップのゴムが固く又他の店に行った。

三軒目の店に行が気に入ったクラブは無く、二件目の店に入り部長の考えに従った。「俺のクラブのグリップのゴムは全て取り換えて付け直して有るので、ゴムが柔らかく手が痛くならないのです。俺のクラブで練習をして居たので、他のクラブではゴムが痛く感じるのです。では気に入ったらクラブを買い、グリップの交換をして貰い、出来上がったら宅急便で家に送って貰えばいい。そうしょう?ならば他にも買って送って貰えばいい。他にパターマットを買い、家でパターの練習をすればいい。今日は手袋を持って帰ればいい。ボールとかティーは俺が沢山あるから上げるから買わなくともいい。」「はい。分かりました。良く分からないので宜しくお願いします。」と言い後の事は部長の指図でグリップの交換、パターマット、ヘッドカバー等を買い出来たら家に送って貰う事にして、店を出た。

部長「近くに上手いウナギの店が有るので、うな重でも食べに行かないか?」「はい。良いのですか?」「良いよ。お腹が空いて来た。食べた後映画でも見ないか?」「良いですけれども?余り上野で映画を見たことが無いので」「駄目なら銀座に行けばいい。兎に角ウナギを食べてから?」と言いうなぎ屋に行った。

ビールを貰いお新香とウナギの肝を貰い、其のあとにうな重が出て来たので冷酒に変え食べ終わると不忍池で一服煙草を吸い映画館に入った。

映画を見た後御徒町に戻り、アジアの食材を売って居る店を案内した。地下に有り見たことのない食材を見て回る。貴子「部長これ何ですか?」「これはバナナの花」「バナナの花ってこんな形をしているのですか?初めて見ました。これ食べられるのですか?」「ベトナム、タイ、フィリピンでは食べます。俺も一度食べた事が有るがもういい」「そうなんですか?この蟹は?」「マッドクラブ。泥蟹。マングローブクラブ。日本ではノコギリガザミ」「日本にもいるのですか?」「マングローブ林に居ます。主に奄美大島とか沖縄などのマングローブ林の中に居ますが数は少なく成って居ます。」「これは何ですか?ヤシガニ」「ヤシガニって食べられるのですか?」「勿論。食べられます。ヤドガニも食べられます。」「本当に?」「色々な物が有りますね?流石御徒町色々な物が有りますね?」「そろそろ一杯飲みに行きますか?活〆のハタを食べさす店が近くに有ります。」と言い店に行。

店に入り席に着き「俺は酒を下さい。大吟醸で」「私もそれで良いです」「結構強いのですね?」「はい。家は皆が酒を飲みます。母も毎晩お父さんと一緒に晩酌しています。」「俺も前別れた妻も毎晩酒は飲みましたけれども?義理の母が家が隣なので毎日来て煩くてたまらず出て来て別れた。マスオさん生活は俺には耐えられなかった。養子では無いので苗字は変わって居ないが、男の子が二十歳までは俺の苗字を使い、女の子はカミさんの苗字に変えたと思います。」「離婚して何年ですか?5年目です。一人暮らしは詰まらない。毎晩の様に何処かで飲んで家に帰ります。」「そうですか。」「だから正月休みにオーストラリアのケアンズにゴルフとトローリングで楽しんできました。寒いのが苦手だから南半球が良いですね」「行って見たいですね?」「行きたい?なら夏休みカナダのバンフにゴルフに行か?涼しくて気持ちが良い。それにグリーンフィが安い。それとシャトーホテル。バンフ・スプリング・ホテルに泊まればゴルフコースも有る。良い所だ。「夏はカナダ。冬はオーストラリア良い暮らしですね」「だって一人暮らし。普段つまらない生活をして居るから。子供にも金が掛からないし、全て上げて来たから」「全て、て何ですか?結婚した時に妻の家から隣に住むのならと、土地を貰い住まいとアパートを俺が建て、出てくるときに、家とアパートを置いてきた。土地の名義がカミさん名義だったから。家の名義は俺の物だが、全て置いて家賃で生活費は賄えるし、それで終わった。」「そうだったのですか。大変な苦労が有ったのですね?」「俺にはマスオさん生活は迚無理な事でした」「初めて聞きました。離婚してるとは聞いて居ました。別に珍しい話でもないので然程気にして居ませんでした。」「つまらん話で退屈させて済みません。それよりクラブが届いたら、ショートコースに行って見て、其のあと本コースに行きましょう。」「はい。ありがとうございます。楽しみです。」などと会話を楽しみ、駅で別れ家に帰って行った。

    June bride

 6月は梅雨に入り、雨の日が多いため、鳶の仕事がはかとらず鳶の親方高橋隆が結婚を急ぎ6月にJune bride[6月の花嫁]結婚式を挙げた。

 仲人は隆の恩人で師匠である野崎さんが遣る事に決まり、主賓の挨拶は行き付けの寿司屋の大将に頼み、親戚、建築仲間、元暴走族仲間その他を入れ100名。

 山田家は両親、親戚、居酒屋仲間、女友達その他を入れ50名。堅苦しい挨拶は止め、兎に角気さくな和気藹々の披露宴を執り行われた。

 先ずは披露宴の始まり?先頭に印半纏姿の師匠が木遣りを歌い、其のあとに提灯を持った鳶6名が印半纏を着て前を歩き、其のあとに花嫁、花婿がキャンドルを持ち、各テーブルに火を付けて回り、席に着くなり沢山の拍手有った。

流石鳶の親方木遣りを40年以上歌い続け見事な節回しで有った。

そして乾杯の音頭は居酒屋の板長が音頭を取った。其のあとは自由に任せた。少し経ってから、花子の幼馴染の幸子と知恵がマイクの前に立ち「花子結婚おめでとう。矢張り花子が一番先に結婚しましたね。これは決まっていたことです。知恵が愛の賛歌を歌います。そして私がここに幸ありを歌わせて頂きます。どうぞ聞いてください」と言い歌う。

 歌が終わると元暴走族の仲間が赤ん坊の人形にミルクを加えさせ              ねんねこ半纏に姉さん被りで登場。その姿を見た人達が笑い出す。歌うは浪曲子守唄。逃げた女房にゃ未練が無いが・・・・・・・と歌うその姿が余りにも絵に成り噴き出すが、歌は絶妙に美味かった。歌が終わるとアンコールの声があちらこちらから沸き立った。其のあとは隆が紋付き羽織袴で部下を連れ木遣りくずし歌う。三年間木遣りの稽古に通い腕を磨いた。花子も聞いたことが無く、初めての木遣り崩しに惚れ直した。歌が終わり席に着くと「親方?上手いのですね」「あたぼうよ。べらぼうめこしとら深川育ち銭掛けて習ったんだ。木遣りも仕事の内」「そうでしたね。でも初めて聞きました。カラオケには無いのですから当たり前でしたか?」そして二人はお色直しの為下がり、タキシードと真っ赤なドレスに着替え登場。

花子マイクを持ち歌う。歌は美空ひばりの真実一路を歌った。それがひばりそっくりの歌声。来ていた客もビックリ。聞きほれてしまう。歌が終わると全ての人がスタンディングオベーションで沸いた。アンコールの声が止まらず、アンコールに答えた。歌は矢張りひばりの愛燦燦を歌った。これまたそっくりな歌声。矢張りアンコールの渦が沸く。すると隆親方水原弘の君こそわが命を熱唱して沢山の拍手を貰うと、次に大工の棟梁が尺八を持ち出し親父の海を歌った。これまた受けた。次に屋根やの玄さんが女装しふざけた化粧をして出て来た?一同大笑い。玄さんつかみはOKと心の中でガッツポーズ。歌うは秋元順子の愛のままでを音を外して歌った。すると椅子から転げ落ちてしまう人も居た。兎に角面白い人で、「屋根や止めて芸人さんに成った方が受ける」などとヤジがあちらこちらでヤジが飛んだ。玄さんは職人さんの忘年会、新年会では大の人気者。兎に角人を笑わす事が得意で有った。それもそのはず、若い時には芸人を目指し、何でも人形町末廣に出ていたとかで、宴会ではいなくてはならない人でした。その後も宴会は盛り上がり、最後に花子の友人でフルート教室でフルート教師をしている貞子による春の海を演奏。フルートとエレクトーンの音が会場に鳴り響き厳かに最後を飾った。そして披露宴は終わった。

     エジプト

 新婚旅行の行先は高橋親方の希望でエジプトに行。第一の目的はエジプト建築で有った。

成田空港発カイロ国際空港へエジプト航空で行き、カイロからバスに乗ギザへ行く。道中で沢山の車とすれ違うが沢山の車が夜なのにライトが壊れ無灯火又は片目だけライトを付けて走っていた。親方「花。車を良く見ろ。ほとんどの車が整備不良。日本では考えられない。元暴走族の俺でもエジプトでは運転できない。恐ろしい町だ?」「明日からどうなるの?」

「分からん。パスポートと金は腹巻に巻いて使う分だけは財布に入れ二三か所に分けて持って歩け」「そうだね!これならすられても当たり前。」「ホテル行ったら両替を沢山しとく必要だ。チップに使うから小銭が沢山いる。」「円は使えるの?」「使えるはず。ドルも使える。でもエジプトのギニーに変えとく。その方が無難。先ずは様子を見るに5万円両替しとくか?ドルが10万円分有るし、カードも有るし、旅行用小切手も有るし、盗まれないようにしなくては生けない。」「私の分も両替しといて、5万円分」「分かった。」と話をしているうちにギザのホテルに着き、添乗員から説明と鍵のカードを受け取り、夕食の説明やその他の説明を花子に聞いて貰い、親方はフロントで両替し、更に小銭に交換した。

    ギザの3大ピラミッド

 翌朝車の警笛で起こされる。凄まじい警笛の音が街中に鳴り響き迚怖くて横断歩道が歩けそうもない。凄いこれがエジプトか?と表を見て居ると。花子が「見てみて、女の人が公園の木の陰に隠れうんこをしている?見てほら今出て来た。手を芝生にこすり付けている。紙が無いので、指でふきそれを芝生で落としてる。水が無いので芝で手をふくだけ、道理で札が汚いはずだ。お金余り触りたくないね?」「道理で札がボロボロなわけだ。こりゃあ参った?然し使う時、チップを遣るとき以外は金に触りたくない。余りエジプトの金に交換せずにドルで払う。円が使えるならば円で」「女の人がのぐそとはビックリ?」「よく見ろ?あれは民族衣装男もワンピースみたいな綿で出来た服。あれは男の人。まさか女の人が公園でうんこはしないだろう」「でも女かと思いビックリした。」「それより紙を持たずに手でふき、芝に擦りつけ手をふく。これから先ビックリすることがいくつも有るはず。覚悟して置け。」「そうね?」と言い歯磨きをビールでうがいして、絶対に水は飲まないことに気を付けた。」

 朝食を軽く済ませ3大ピラミッドを見に行。ホテルから近くスフィンクスの前に連れてこられ、最初にラクダに乗せられ、チップを請求され汚い札だから早く使い綺麗な札と交換すると思いきや綺麗な札は無かった。全てボロボロの古い札しかなかった。絵葉書が1ドル「日本円で120円位。」円で買うと100円。ギニーで買うと一番高く130円位。なんだ円が一番いいのかと分かった。暫くして見知らぬ男が近寄って来て、100円玉を見せて何やら交換を望んでいる様子が見て気づいた「Money change?」[yes]と言うので1000円札と交換した。彼らは10枚たまると札に交換したがる。コインは重たいのであろう。次にスフィンクスに行き見ると思ったよりも大きく、スフィンクスから見るピラミッドを見たときに正しくエジプトに来たと痛感した。草木も無く砂漠にどでかい人が作った建造物。一度は見てみたかったスフィンクスとピラミッドを目の当たりにした。「よくこんなにデカい物を人の力だけで作ったものだ?この暑い砂漠の中に公共事業として、王様の墓を作ったものだ」と親方只々感心していた。

 時間が来たのでクフ王のピラミッドの中に入る事が出来た。中は狭く中腰の姿勢で進む。これが意外ときつく大変で有った。其のあと太陽の船博物館。階段ピラミッド。メンフィス博物館などを見学した後。カイロに行き飛行機でルクソールへ向かうが飛行場でトラブルが発生。飛行機が2時間遅れカナダから来た団体が割り込んで入って来て我々が乗る飛行機に先に乗り込み、我々が後に乗り込み、満席に成り席順なんか無し。空いている席に座った。満席に成った所でドアーが閉められ、添乗員と現地添乗員が乗れずツアー客だけが飛び立った。客全員が唖然。ルクソールの飛行場で客どうしで話し合う。タクシーで先にホテルに行か?添乗員が来るのを待つか?意見が分かれた。すると後の飛行機が直ぐに来るとか?すると30分遅れで添乗員が遣って来た。親方「何だ。30分おくれで二人だけで飛行機が飛ぶのなら、何も後の飛行機に乗れば良かったのではないか?」と思っていた。やっとの思いでホテルに着くと、睡眠時間が2時間しかなく、急いで風呂に入り酒を飲み、結局睡眠時間が1時間しかなかった。そして気付いた事がこの旅で一番綺麗なホテルで有った。

 朝食を済ませ、バスに乗り込み、メムノンの巨像、ハトシェプスト女王葬祭殿、王家の谷ルクソール神殿、カルナック神殿などを見学した後。船着き場に行き、時間が来たので乗船した。

自分の部屋に入り、外を見ると幼い女の子が一人手漕ぎボートを上手に漕ぎチップを要求された。隣の部屋の人が食べ物を遣ると対岸に居た子供たちが我さきと大勢の子供が船を漕ぎ集まって来た。それを見ていた他の客もチップを上げたり、果物を上げたり、子供たちの戦争が始まった。それを見てこれはいけないと思い、物を上げるのを止めた。すると貰えないと分かるとてんでに散って行った。そしてこの国は全てが金。馬の写真を撮ってもお金よこせ、パンを焼いて入る人を写真に撮ってもお金をよこせ。店から煙草を借りて来て煙草を売りつけ金をとる。ドライブインに立ち寄ると、どこからともなく人が出て来てチップを要求。チップを遣って中に入ると別な人がチップを要求。払って用をすると便器がつまりあふれて居て使用できず我慢してバスに戻った。トイレの掃除もせずただチップだけを要求して来る。ただ観光客からお金を貰う生活。先祖が作った遺産での生活。これでは国の発展はない。西郷隆盛曰く児孫に美田を残さずのことわざを親方思い出す。そして我が子が出来たら常にエジプトを思い出すことにした。「児孫に美田を残さず」肝に銘じた。

それからしばらくしてから添乗員が各部屋にお風呂の具合を見て欲しいと言って来たので、親方湯船の栓を閉め、お湯を入れて見た。すると排水口と栓の大きさが有っておらず、お湯が流れて行ってしまう。そこで栓を取り換えて貰うと今度は栓がきつく、汚れたお湯が流せない。ペンチを借り栓を抜き、ビニール袋にタオルを詰め栓にした。風呂に入るにも一苦労。軈て船は動き出し、のどかな田園風景が両岸に見えた。川の側は緑が見え、その先は砂漠。ナツメヤシが多く、野菜なども沢山作られ、ロバが運んでいた。夜12時近くに川の水門エスナを通る。川の高低差を水の力で高低差を無くし、水のエレベーターを通り、エドフに着くと、沢山の馬車が待って居た。馬車に乗りエドフ神殿に向かうが他の馬車を抜くたびに、チップの要求された。乗る前にチップを渡したにも関わらず、他の馬車を抜く度にチップを請求される。見学が終わり船に戻り夕食をショー見ながらの夕食で有り、先に親方一人で行くと、入り口の前でスーツをビシッと着こなし、笑顔で親方に挨拶をして来た。親方何も分からず笑顔でNice Me Chuと挨拶した。少し経って花子が遣って来たので親方。花子をエスコートして中に入ろうとしたときにアラブ人が顔色を変え怒りの顔に変わった。

そこで親方「何だ同性愛者か?女と来ていて良かった。桑原桑原」と言い席に着く。 

翌日はコム・オンボ神殿に行き其のあとワニ博物館に行きワニのミイラを見学。次にアスワンへ行き、バスに乗り砂漠をアブ・シンベルへ向かう。サハラ砂漠走り途中で車を止め、サハラ砂漠の砂を土産に持ち帰る。が砂が焼けて熱い。気温が40度を超え車のボンネット上で目玉焼きが出来る。それ程熱い。親方熱さには自信が有ったが、日本の熱さとは比べようがない。アスワンから南に約280Km.やっとの思いでアブ・シンベル大神殿へ遣って来た。エジプト南部、スーダンとの国境近く。この神殿はアスワンハイダム建設時に神殿が水没の運命にさらされ、ユネスコが救済した。大小二つの神殿をブロックに切断。もとの位置より約60上に移動。やたらとデカい?

 翌日カイロに戻り、エジプト考古学博物館に行。そしてツタンカーメンのマスクと再会する。1965年。高橋親方15歳高校1年生のと気に上野の国立博物館で友達と二人で、2時間以上待たされ、ほんの僅かな時間ツタンカーメンの黄金のマスクを見た。その時以来の対面。2度目は日本より長い時間見る事が出来た。その他にも数多くの興味深い展示物を拝見した後。ダウンタウンへ行くがこれまた凄まじい光景が見られた。

 翌朝。朝食に飽きて来ていたので、うっかりサラダだけを全て食べた。その後バスに乗りアレキサンドリアへ行く暫くして胃の具合が悪く成り、下痢を模様した。次第に脂汗をかき、腹痛が起きた。翌々考えたらサラダが原因で有る事に築く。野菜は水道水で洗い、器の下には水が溜まっており、うかつにサラダを食べて居た。歯を磨くにしてもビールでうがいをしていたのに、食べる物が無いのでうっかりサラダを食べてしまった。がバスにトイレが有ったので事は済んだ。バスはドイツのベンツの観光バス。良かった。翌日は日本に帰国。日本に着くなり、真っ先に寿司屋に行き、生魚と日本酒を頂く。親方「食べ物と風呂は日本の物が一番良い」と言った。花子「女は?」「私は人種差別はしません。例え金髪でも?」「歳折でも?」「私は子供と歳折には嫌われます」「要するに若い綺麗なお姉さんが良いのです。」「当たり。」などと何時もの冗談で話が盛り上がる。

翌日も一日休みを貰い、夜に若い衆を家に呼び、土産を配り酒を振る舞い、うなぎ屋から鯉の洗いとウナギの肝焼きと鰻重を取った。

二度目の新婚旅行はエジプトは止めて、ラスベガスのホテルルクソールにしょうかな?それとも、ホテルベネチアンでショーとゴルフとカジノで観光は飛行機でグランドキャニオンだけ見に行き他はラスベガスだけに留まり、勝負師ハスラーに成りスロットマシンやルーレット、カードゲーム、ビンゴゲーム等で一発当てて帰りは豪華に船旅で帰る。

若い衆「女将さん。結婚式と新婚旅行は行ったけど、婚姻届はまだ提出されていないのなら今のうちに別れた方が?」「オイオイ花子は俺の最後の女。やっと掴んだ幸せを壊すな。花子愛しているよ」などと何時もの調子で酒が盛り上がる。愉快な酒で有った。

花子は翌日披露宴に出席してくれた友達にメールを送り、みんなの都合の良い日を聴き、おみあげを渡したく、返事を待った。

暫くして日にちが決まり、花子が勤めていた居酒屋で会う事にした。

当日花子が6時半に遣って来て、板長にお礼のエジプトのお酒を渡した。女性スタッフには香水を渡しお礼を言い。これからは客として店に遊びに来ることを約束していたら栄子と友子が遣って来た。座敷に席を取り、とりあえず3人で飲み始めた。

暫くして、知恵が遣って来て3人に香水を渡し、エジプトの土産話が始まる。花子「エジプトカイロは凄い、家に屋根が無い。車のライトが夜ついて居ない車が沢山走って居る。翌朝早く車の警笛で起こされる。公園で平気でのぐそをして手で吹く。その手を芝に擦り付けて手をふく。その手でお金を数える。」知恵「私。絶対エジプトには行くのを止める。行くならイタリアかフランス、スペイン、ドイツ、カナダ、アメリカあたりが良いな?インド、ベトナム、カンボジア等は私には無理かも」「親方も今度はラスベガスが良いて言っていた。」そこに幸子遣って来た。

花子。幸子に同じ話をした。すると「私も行かない。もしかしたらオーストラリアに行くかもしれない?」花「誰と?」「今付き合っている人と。」「誰と付き合っているの?」「会社の上司と」「いくつ離れているの」「今確か41だから歳の差17歳」「役職は?」「部長。バツイチ」「幸子。まだ若いのだから、他に良い人探したら」「会社にも若い人はいるけれども?つまらない人ばかり。退屈な人ばかり」「中学の時の鈴木和男君は?彼まだ結婚する気が無いから?彼今酒と博打。競馬が好きで土日は馬の尻ばかり追いかけているみたい」「そりゃあダメだ?当分牝馬のお尻を追わない。」花「栄子は居るの?」「いない。誰か紹介してくれない。家付き、カー付き、ばばあ抜き」「家無し、カー無し、二重ババ有りならいるけど」「それなら一生一人が良い」「だよねー」花「知恵はどうなの?」「早ければ今年か?遅くとも来年には答えが?」「そうなの?高校の同級生の人と?」「うん。母親も気に入っているし、父親は何も言わないが、反対はしていない」「相手の両親は?」「まだ有って居ない。新潟へ戻って行ってしまったの。仕事がリタイヤして、故郷が新潟の高田。」花「私前に、高田城の桜を見に行った事が有る。綺麗な所よ。」幸子「私は高遠の桜を見に行った事が有る。高遠の桜は天下一の桜と言うキャッチフレーズで仕事で行ったけれど、凄い車の数で途中で車を降りて歩いて見に行った事が有る。」友子「日本人は桜が好きで、咲だすと何処も沢山の人でごった返す。私は福島の三春の滝桜を見に行った事が有るが矢張り途中で車を降りて約2キロ歩いて見に行ったことが有る。」花「来年は皆で目黒川の夜桜を見に行かない。飲み食いするところが沢山有るし、アクセスも良いし」栄子「それいいね?決まり。桜の便りが有ったら花子が段取りしてくれれば、有難い。」「良いよ。来年3月に成ってから決めるから?メールを入れる。」幸子「知恵の結婚が先か花見が先か団子が先か?」などと会話は続いた。

 現場仕事

 花子嫁ぎ先の姑と気が合い、実の母よ仲が良く、こんなに嫁姑の中が上手く行くとは思って居なかった。しゅうとは無口な人で何も話さず、仏の様な人で花子が何かをするたびに有難うと一言。姑は隆が幼い頃から不良で中学では番を張り、高校に行ってからは暴走族の総長を遣り、警察には度々お世話に成り、高校は退学され、叔父の世話で鳶の世界に入り、親方、先輩に根性が認められ、10年の長き下済みをやり遂げ、28歳で独立。そして暴走族の仲間を呼び集め有限会社高橋組を開業。折しも日本列島改造論の時代とぶつかり、鳶の仕事は面白い様に利益が出た。すると隆親方に成り他人の家に住み込み、親の有難み知らされ、

人が変わった様に働き、親孝行もし、誰からも好かれ結婚をして、真面目に成り、今では町会の防犯課の仕事を任され、警察にも行き貢献していた。そんな隆に嫁が来てくれたことで、母親は肩の荷が下りた。後は一日でも早く孫の顔を見たく花子にも優しかった。

花子暇を見て、作業用服を見に行。ニッカズボン、鳶シャツ、ベスト、安全靴その他を買い出来る仕事を手伝い始めた。

以外に覚えが早く、動きに無駄がなく、親方矢張り人を見る目に間違いが無かった。そして給料日には花子築地に行き魚を買い、刺身の盛り合わせを作った。これには従業員も喜んだ。すると従業員も辛い仕事にも精を出す。すると仕事が増えボーナスも上がった。姑「花ちゃんは我が家に取って福の神だ。親方花ちゃんを大事にしろ。今時あんな子は居ない。飲んで歩くのも良い事だ。アンタたちも花ちゃんの様な子を早く見つけて、独立しなさい。自分が親方に成れば倍働ける。」番頭「分かって居るけど女将さんのような人はいない。俺も欲しいのですが、中々いません。」親方「内のカミさんはメンクイだからな?」花子「親方も相当なメンクイ。私を選ぶとは?」番頭「何時までも寝言を言ってなさい。追いおまえら帰るぞ。これ以上居ると悪酔いしそう。」と言い家に帰って行った。

 犬を飼う

 隆は犬が子供の時から好きで良く捨て犬を拾って来ては飼っていた。そんなある日ペットショップへ行き、一匹の犬と目が合い互いに一目惚れをして勝って来た。シェパード犬で生まれて3カ月。雄で名前は太郎と懐けた。元気でやんちゃ坊主。隆はとても可愛がり朝夕散歩をさせ成長を楽しんだ。が成長が早くみるみるうちに大きく成り、何でも噛んでしまう。

特に革靴が好きと見え冠婚葬祭に履いて行く新しい靴。隆と花子の靴をかじられ台無しにされてしまう。これには隆も叱り太郎を外で飼う事にした。するとその日の夜、大きな声で吠える。隆が吠えるのを注意するが泣き止まず、このままでは隣り近所に迷惑が掛かると思い、家に入れた。すると太郎すぐさま花子の側に行き寝しまう。隆「そこは俺の寝る所。お前はこっち?」と言い収納スペースに入れ鍵をかった。すると又吠え出す。迚大きな声で吠えるのでなられず同じ部屋で寝た。

  それから7カ月

 太郎も大きさは成犬並みの大きさに成り、いたずらも激しく成っていたった。が隆は幼い時の自分を見ているようで迚喜んでいた。

隆が仕事が忙しく朝散歩に連れて行かれないときには、花子が連れて行くが太郎の力が強くゆうことが聞かず苦労をしていた。そんなある日の事、東京に大雪が降り、太郎は大喜び、散歩に木場公園に連れて行くと、トイプードルの美れいなメス犬を太郎が見つけるや否や物凄い勢いで走りだした。花子雪の公園を太郎に引きずられてトイプードルの側に行。近くで見ていた人は大笑い。太郎の初恋でした。トイプードルの飼い主は若くて綺麗で毛皮のコートを纏い、「お怪我はありませんか?」「はい。雪の上で助かりました。1年過ぎたばかりなのにこんなに大きく成り力も強く成り、私では手が終えますん。」「この子。訓練所に入れたらきっと利巧な犬になれます。これだけの体と綺麗な目をしています。私が思うに警察犬に設楽国の為に働くと思います。是非警察犬にしてください。」と言い去って行った。

 その日の夜、隆が仕事を終え家に帰って風呂に入り、夕食の時花子が「今日木場公園に散歩に連れて行くと、綺麗なトイプードルを見るや否や、私を引きずり回しトイプードルの側に走って行き、トイプードルのご機嫌取りに一生懸命に成っていた?まるで親方の若い時のようでした?」「太郎も恋を知ったか?太郎も俺に似て良い男だからきっと持てるはず?」

「すると私みたいな美人の嫁が来るの?」「もっと美人の嫁が俺が見つける?」「トイプードルの飼い主が太郎を見てこの犬は訓練所に入れて立派な警察犬にすると国の為に成ると言って暮れた」「それは太郎を一目見た時から俺は警察犬にしょうと思い買って来た。」「何時訓練所に?」「何処に連れて行くか思案橋?」「たまに会いたいし?」「早く一人前に成ってほしいし。」「今度の日曜日に見に行かない?」「そうだな?」と言い訓練所に行くことにした。

   訓練所に視察に行

 訓練は家庭犬、協議会犬、災害救助犬、警察犬等様々な分野に別れていた。隆迷わず災害救助犬に決めた。そして別れの日が来た。隆、太郎とのしばしの別れ、涙を流し水杯で別れを忍。「立派な救助犬に成って来い。良いな?」と言い連れて行く。その日の夜、二人で酒を飲みながら花子「今頃寂しくて泣いているのかな?」「暫くは泣くだろう?気ままな暮らしから毎日訓練の日々。俺の修行したことと同じ道。辛くても帰れない。辛抱するしか道はない。だけれども立派に成って人助けが出来たら有難い。それまでの辛抱だ?」

  花子に子供

 結婚をして早3か月。花子に子供が出来た。夫隆は大喜び。姑も花子の妊娠を知り、今まで以上に花子に優しく接してくれ、花子は夫にも優しくされ、幸せそのものであった。

 そして10月に入り、伊藤知恵からの結婚式の挨拶状が送られて来た。式は11月15日土曜日11時。花子すぐさま知恵にラインを送る。その次に幸子にもラインを入れ連絡を待った。

 暫くして幸子から電話が入る。幸子はまだ招待状を見ておらず、花子の知らせで知った。出席は勿論の事。そして花子が妊娠していることを知らされた。

それを聞いた幸子少しばかり焦りが出来た。

心の片隅で「部長で決めるか?」と呟く。「家も有るし、車も有るし、姑もいるが家を建て替え、二世帯住宅にすると言うし、結婚すれば仕事はしなくとも良いし。決めるか」と呟いた。

   11月15日土曜日結婚式

 この日は知恵と信夫の結婚式。式は滞りなく終わり、披露宴が始まる前に信夫が一人紋付き羽織袴で出て来た。そこに信夫の友達佐々木健介が同じく紋付き羽織袴で遣って来た。すると知恵の女友達5人が、てんでに花婿が二人いる。どっち、どっち?とざわつく?無理もない。知恵の彼氏とは面識もなく、会うのはこの日が初めて。

健介の実家は呉服屋。貸衣装も遣っており、単に家に有る貸衣装で受け狙いで遣って来た。それを見た信夫、又健介にやられたか?と思う。が忙しい最中。スタッフに呼びだされ、控え室へ行く。その間に招待客は会場に通され、決められた席に着く。

 そして披露宴が始まる。文欽高島田が知恵にはとても似合った。誰しもうっとり知恵の一重の切れながらの目が迚日本的な女として魅力的な花嫁と高身長でイケメンの信夫がキャンドルサービスで客席のテーブルに火を付けて回ると、誰しもが僻んだ。二人の姿は絵に成った。其のあとはごく普通の披露宴で有った。

二次会は花嫁、花婿は別々な所で二次会を遣った。信夫の二次会の席に健介がボルサリーノの帽子を被りスリーピ―ススーツで現れる。又もや一番目立った。信夫又もやしてやられた。

二次会はごく親しい友達だけのパーティー形式。ざっくばらんなパーティーで楽しいひと時を過ごした。

 一方知恵の女子チームはガールズトークに火が付き質問攻め。花子「ご主人。背が高くイケメンね?職場でも持てたでしょう。でも知恵程美人は居ないはず。今日は迚綺麗だった。お世辞じゃなく本当に綺麗だった。」友「もう一人もフェイクの花婿さんは?」知恵「あの人は同じ高校の同級生で信夫の友達。高校生の時から迚目立つ存在で、迚面白い人なのです。だからあのような格好で来たのです。彼の家は呉服屋で次男なので不動産会社で勤めて居て、彼は何時の日か自分の店を出すつもりで頑張って居ます。」友「彼女いるの?」「いるはず。彼は迚人気者で、将来の事も確り考えている。信夫と健介は銀行と不動産屋。恐らくお金の借り方。信夫は都内に家を持つのが夢。二人は良い関係で付き合ってる」「そうなんだ」花子「新婚旅行は何処に行の?」「寒いのでハワイへ行きます。明日の夜成田から。」「信夫。エルビス・プレスリーの大ファンでブルーハワイの虜に。だからハナウマベイやノースショアやダイアモンドヘッド、サンセットクルーズ、カウアイ島で二人だけの結婚式を考えているみたい。エルビスに感化されて、その他にも乗馬をするとか?バギーで観光するとか?4泊6日で迚ハードなスケジュールを考えている人なの」幸「良いわね?退屈しないで?良いは」花「お土産はマカデミアナッツで良いから」「分かった」幸子「私もブルーハワイは見たけれど、エルビスの映画の中ではブルーハワイが一番良かった。最後のハワイアンウエディングは憧れる。迚好きな映画です。」花子「ビートルズが出る前はエルビスが断然トップでアメリカではキングと言われ、今でもアメリカンの歌の代表。映画の代表はマリリン・モンロー。これからの時期ヨーロッパ旅行は寒いのでハワイ、オーストラリア、ニューカレドニア、カリブ海の島あたりが良いと思う。」などとガールズトークは続いた。

  翌日はゆっくりと朝を迎え、お風呂に入りお茶を飲み、リンゴを頂き又横になる。そして早いが箱崎からリムジンバスで成田に行き手続きを済ませ、スーツケースを預け、鮨を食べに行く。燗酒と鮨を貰い、のんびりと時間が来るのを待った。初めての海外旅行。子供の頃からの憧れのハワイ。信夫の時代はハワイが一番人気。しかも日本航空。2時間待ちも苦では無かった。そして搭乗のアナウンスが有り機内に乗り込む。時間よりやや遅れたが離陸。

信夫憧れていた夢のハワイ、興奮冷めやらぬ眠れず只管酒を飲んでいた。やっとの思いで眼下にオアフ島が見えた。そしてホノルル国際空港に着いた。が あいにくのラッシュ時間。思ったよりも出るに時間がかかった。バスに乗り込み、各ホテルに回り二人が泊まるシェラトン・ワイキキホテルに着くが時間が早くチェックインが出来ず、部屋に通され、管内の説明やらオプショナルツアーや他にも長々と説明を聞かせれた。信夫飲みすぎ、寝不足、無駄な説明に飽き飽きしていた。やっとの思いで解き放たれた。荷物はフロントに預け館内の視察に行。エレベーターに乗ると白人の小学生高学年の子供が早口で信夫に話かけて来た。信夫酒に酔っていて、聞き取れず「Please speak more slowly」すると「I,ve been from Canada for 6 days」[That,s good]と言いエレベーターから出て行った。最初に最上階の高級レストランを見に行。そこにはグランドピアノとグランドハープが置いて有り、眺めも素晴らしく信夫ここには2度来てもいいと思った。

 次にバスに乗り、アラモアナショッピングセンターに行きウインドショッピングを楽しむ。知恵はブランドのスカーフを見っけ手に入れ、信夫は煙草とワインを買い軽く食事を済ませ、観光を兼ねてホテルまで歩いて見て回り、チェックインの時間が来たのでホテルに戻り、風呂に入り、ベットで横に成り疲れを取った。

夕食はハワイアンショーを見ながら食事。だが疲れと飲みすぎとハワイアンショーは退屈で眠く成り、余り楽しめずホテルに戻り風呂に入り、ワインを飲んで就寝。

朝目を覚まし、ベランダから見るダイアモンドヘッドと海は迚美しく総会で有った。時間が来たので観光に出掛ける。先ずは一度行って見たかったハナウマベイに行。信夫これぞ映画ブルーハワイのロケ地。だがしかし映画のロケから数年が経っており、映画の時のインクブルーの色が映画で見た時よりも、インクブルーが薄かった。だがまちがいなくハナウマベイで有った。その後島のあちらこちら見学した後ホテルに帰り、其のあとは二人でバス乗り場に行きダイアモンドヘッドへ行くことにしてバスを待って居ると。大きなリムジンが止まり、一人15ドルでダイアモンドヘッドの登り口まで乗せていくと言われたので、30ドルを払い中に乗ると沢山の人が相乗りしていた。ドライバーに国は何処と尋ねると、フィリピンと言われた。そういわれてみればホテルのベットメイキングのスタッフはフィリピンの人が多かった。

 登山口で下ろされ山に登る。標高232mの高さの山では有ったが、気温が高く結構な汗をかいた。

山から下りて町をぶらつき、ワイキキガンクラブの看板を見つけ、店に入りシューティングをする。先ずはごく普通のガンを借り打つ、知恵構えて打つと何とど真ん中。隣の的に。係の者が来て、貴方の的はこちらの的です。と言われ大笑い。その後何発も打つが的には当たらず、当たってもかする程度。然し信夫は結構中心に当たり、スタッフに褒められた。そこで信夫スタッフにマグナム48を打たせてと頼み打たせてもらうが、銃口から火が吹き物凄い迫力に驚いた。その後一旦ホテルに戻り最上階の展望レストランに行き、ワインとアメリカンステーキを食べ、本場ストリップショーを見に行。二軒ばかり梯子をして知恵が疲れたと言うので部屋まで連れて行き、信夫は一人クラブに行き、2件梯子をして部屋に戻り、風呂に入り、ワインを飲んで寝た。

翌朝。飛行機に乗りカウアイ島に行。ワイルア川を船に乗りシダの洞窟に行き展望デッキでフラとギターの弾き語りを見た。済んだ声に魅了された。その後は乗馬を信夫一人で堪能。信夫は子供の頃お爺さんが飼っていた農耕馬を乗って居たので馬が好きで子供の頃は毎日の様に馬と触れていた。その後はオアフ島に戻り、路面電車に乗りあちらこちらを見て回り、夕暮れに成りサンセット・ディナークルーズに行。ワイキキのイルミネーションとライブと食事に酒。寒い日本に帰りたくない気持ちにされる。船から降りてその後ショーを見に行が信夫はエルビスの歌声が耳から離れず。ブルーハワイの歌が流れても気持ちが入らず、ガッカリしていた。矢張りキングは凄い。と感心した。

 翌日はバスに乗りオアフ島一周バスの旅に行。このバスが島一周2ドル50セントで島内を見て回れた。広いパイナップル畑、ノースショアの美しい海、そして海老の養殖が盛んなカフクの町でガーリックシュリンプを頂き、半日を過ごし、午後は信夫は一人ゴルフに行き、知恵はホテルの中で買い物をした。

 夕飯はホテルの展望レストランに行き、グランドハープの演奏を聴きながら、夜の海を眺めロブスターにワインをいただき最後の夜を過ごした。信夫これから厳しい冬を迎える日本に帰らず来年春が来るまで、ハワイに居たかった。翌日は10時にチェックアウトをして、バスが迎えに来て飛行場へ行き、土産を買う。其のあとは長いフライト。信夫只管飲んでいた。そしてやっとこ家に着き、風呂に入り酒を飲み爆睡。

そのころ花子は腹も幾分大きく成り、夫隆が顔に似合わず迚優しく花子を見守って居てくれた。義理の母は何でも私がするから、お腹の子供を大事にしてね?と言い迚皆が花子を大事にしてくれた。花子つくづく男は器量ではない。男に取って大事なことは稼ぎと、優しさ健康で家族思い。花子自分が選んだ人が間違いないと確信した。

翌年

 竹内幸子は上司榎本一郎と5月に結婚。新婚旅行はオーストリアに行。幸子の希望を一郎は答えた。ウィーン・シュヴェヒャ―ト国際空港へ向かう機内の中で、オーストリア人に声を掛けられる。話を聞くと日本旅行の帰りとか?5度目とか?日本大好き夫婦もんが今回の旅行で広島、宮島が迚良かった。と話をしてくれた。

そして飛行場からはシティ・エアポート・トレインでウイーン・ミッテ駅までノンストップで行ける。と教えて暮れた。そして手荷物受取所で荷物を待って居ると、先ほど話かけて来た夫婦もんが待って居て荷物を受け取ると三番ホームまで案内してくれ、ホテルを聞かれたので教えた。

そしてホテルについて10分位した時に部屋に電話がかかって来た。矢張り親切なオーストリア人からの電話で有った。一郎と幸子は感心した。一郎「オーストリア人って日本人に親切なのかな?」と呟く。幸子「光子と言う香水が有る位だから」「そうなの?男は香水付けないから知らないが?日本からハプスブルク家にお嫁に行った話は知って居るけれども、光子の名前がついている香水の話は知らなかった。然し映画カサブランカに出て来るオーストリア人で、モロッコ・カサブランカからアメリカへ亡命した人は光子の子供とか聞いた事が有るけど確かではない。」「そうなの?」「いずれにせよ東京牛込納戸町の骨董商の家に生まれている。そのせいで日本とは親日国で有る。」「それより旧市街へ行って見ようよ?シュテファン寺院へ先ずは行ってから、先の事はそれから?」「そうしますか?」と言い路面電車の1日乗車券を買いシュテファン寺院へ行った。そして幸子念願のザッハトルテとウィンナーコーヒーを食べたくカフェに行く。幸子は大喜びで有ったが、一郎はウイーン郊外のホイリゲに行き葡萄農家が営むワインレストランに行きたかった。ケーキを食べた後、国立オペラ座、そして楽友協会のホールにはニューイヤーコンサートの会場として有名な黄金のホールに行くと席が空いていて、日本円で約3000円で見る事が出来たのでコンサートを聞いた。

 翌日は一郎ウイーンで一番行きたかったプラーターに有る大観覧車に乗りに行く、乗り換えが面倒なのでタクシーで行った。此の観覧車は映画第三の男でロケに使われた観覧車。オーソン・ウェルズ、ジョゼフ・コットン、アリダ・ヴァリの映画一郎はこの映画と映画音楽が迚好きでウイーンに行ったらここだけは必ず行きたかった場所で有った。

 着くなり大観覧車に乗りに行く。空いて居たので直ぐに乗れたが、動き出すと木製で出来ており、ギシギシ音がする。そこに風が強く吹き観覧車を揺らす。そして観覧車が止められ、風にあおられギシギシ揺れる。1897年6月21日に始動した。迚年代物でゆっくりと回転し時々泊まる。少し心配になるがなれると大変景色が良く、ウイーンの森も見えドナウ川も見え、美しき青きドナウの曲が流れた。ヨハンシュトラウス2世によるウインナ・ワルツ。王宮舞踏会。オペラ座舞踏会2月3日社交界にデビューする若者達を披露する大舞踏会が見たいが2月のウイーンは迚寒くチケットも手に入らず夢の又夢。ニューイヤーコンサートと同じく手に入らず諦める。

 大観覧車を乗った後にホイリゲに行。一郎は前にホイリゲの一軒の店の店主と知り合い友達に成った。ホイリゲ酒場で有り、葡萄農家で有り、ホテルも営んでいた。

路面電車で終点のホイリゲで降り、店は直ぐ近くに有る。

 一郎は自分の姉がウイーンに行くと聞いて、ウイーンに行ったらホイリゲに行き店に立ち寄る様に頼み日本の土産と一郎の写真を1枚持たせ行かせた。

姉が店に入り店主に写真を見せ。店主「My friend」姉「My Younger brother I have kept souvenirs」

おみあげの包みを開けた「Japanese kitchen knife. Thank you very much .Nice to meet

You]と言い姉と姉の娘を葡萄棚のテーブルに案内されワインと前菜とステーキを出してくれ、お代を聞くと要らないと言われ二人で一郎の存在に驚く。

そして今回もまた日本酒越乃寒梅を手土産に持って行く。すると主人が自家製ワインを次々と出してきた。「What is recommended dish」[It is a calf saute][please give me veal saute and salad] と言い料理が来るのを二人で待った。そしてこの店の近くの店に以前アメリカ合衆国の大統領クリントンが来た時に移した写真が店の前に飾られていた。食事を済ませ明日の夜部屋が空いているかと尋ね、空いていると言われ泊まれるか?と聞くと一部屋空いているがバスタブが無い。と言われたが、シャワーは使えると言われ、翌日泊りに行。

 そして夕飯には大変気を使ってお勧めの料理が出て来た。お客も沢山居たので余り会話も出来ず、恐縮していた。

 朝早く起きホイリゲの町を探索する。お洒落の家が沢山有り、チェコ、ハンガリーとは経済格差が目で見て分かった。

 10時にマスターに別れの挨拶を済ませ、ウイーンに戻り荷物を預け、電車に乗りバーデンに行。先ずはバーデン・ハイ・ウィーンカジノに行がカジノは午後からと言われ、止む無く。温泉街バーデン・ハイ・ヴィーン。ユネスコ世界遺産に行き、温泉とサウナに入る。一郎と幸子は先ず温泉に入る。温泉は男女共用で水着を着てはいる。其のあとサウナに行くと知らない人からサウナは水着を抜いて、すぽんぽんで入る。と言われすぽんぽんに成りバスタオルを巻サウナに入った。周りを見ると女もすぽんぽんで入っていた。これにはおったまげ。そしてウイーンに戻りハプスブルク家の夏の離宮、シェーンブルン宮殿に音楽を聴きに行く。一郎着飾ってタキシードで行くと。他の客にチケットは何処で買うのですか?と聞かれる。スタッフに間違われた

 翌日。

 オーストリア第二の都市グラーツに行。グラーツを見学。翌日幸子が一番行きたかった町。それはザルツブルクへ行く途中ハルシュタット湖に寄る。大変綺麗な湖で買い物とティータイムを取り、ザルツブルクへ行く。宿を決めホーエンザルツブルク城に行き、食事を済ませ時間が来たのでお城の謁見の間でコンサートを聴く。流石音楽の都。何処で音楽を聴いても、日本ほど高くない。城から城下を見下ろす。下にはザルツァッハ川が流れ、沢山の教会が点在する。その中にノンベルク女子修道院が有る。此の修道院から遣って来た家庭教師マリア「ジュリー・アンドリュース」が遣って来て、トラップ家に嫁ぎ、家族でアメリカに亡命する。そしてマリアが書いた小説がミュージカル映画に成る。実話を元にしたミュージカル映画なのだ。そしてアメリカでもトラップファミリー・シンガーズとして舞台に立ち戦後オーストリアに帰国した。

 翌日

 二人は翌日サウンド・オブ・ミュージック・ツアーに行。シャーフベルクへ上る蒸気機関車に乗ったり、ミラベル庭園のペガサスの泉、逃亡シーンに登場したペータースフリートホーフ等とモーツァルトの生家。ザルツァッハ川でクルーズを楽しみ翌日ウイーンへ戻った。

 ウイーン

 明日日本に帰国。そこでシェーンブルン宮殿を観光して歩くことにした。するとなんと3階4階は賃貸マンション。時代の移り変わり。

  映画カサブランカに登場する「ラズロ」は日本人光子の子供。リヒャルト・クーデンホーフ・カレルギー別名栄次郎。妻イルザがカサブランカからアメリカへ亡命。

サウンドオブミュージックと同じオーストリアからアメリカへの亡命。どちらも名作で有る。幸子はサウンドオブミュージックの聖地ザルツブルクへ行くのが夢で、一郎はカサブランカのラズロのルーツ。クーデンホーフ光子が日本からハプスブルク家に嫁ぎ、ラズロを産み映画に成る。それを知って見る映画が一郎に取って映画がより一層楽しかった。

 そして翌日日本に帰国。

   太郎が救助犬に

 救助犬に成った太郎が暫くしてサンフランシス地震の災害救助犬として、選ばれ出動することに成り、日本から5頭の中の1頭に選ばれ海外遠征に行った。隆嬉しくて花を買い親方の墓に知らせに行。「親方。太郎が選ばれてサンフランシスに災害救助犬として、救助に行きました。手に負えないやんちゃ坊主が日本を代表して5頭の中の1頭に選ばれたのです。大した奴だ?俺とは全く違う。行って生存者を見つけ人助けが出来たら有難いね?親方も太郎を見守って下さいね。よろしくお願いします。」と言い家に帰った。

 翌日テレビのニュースでサンフランシスの被災地からのニュースを見ていた時に、太郎が老人を見つけ手柄を上げた。其のニュースを見た隆と花子は大喜び。社員を呼び鮨の出前を取り大はしゃぎ社員A「あの太郎が手柄を取った。俺の靴を噛んでボロボロにしていた太郎が、人を助けた。帰って来たら新しい靴を買ってかじらせて遣るか。やっぱり俺が夜散歩に連れて歩き調教したからだ。俺は太郎が何時か何かをするとは思って居たがこんなに早く手柄を上げるとは思っても見なかった。」社員B「俺が面倒みたからだ?」社員C「太郎は俺に一番なついでだ。太郎は何時か手柄を上げると俺は分かって居た。」等と酒が入りてんでに能書きを語っていた。

 そして数日後日本に帰国。隆と花子は太郎の凱旋を祝い、写真屋に行き隆と花子と太郎の記念写真を写し、事務所に額に入れ飾った。

 暫くして高橋組一行と太郎を連れて外房へ釣りと海水浴を楽しみにして出掛けた。先ずは磯釣りを楽しむが連れず、引き潮に成り、モリで岩陰に入る小魚を狙うがそれもダメで?上げ潮に成って来たので、泳ぐ事にした。暫くしてから断崖絶壁の上から男が飛び込んだ。隆はそれを一部始終見ていた。すると飛び込んだ男は荒波に揉まれ岩に叩き付けられ意識が無いようでただ波に飲み込まれていた。

隆。太郎にロープに浮き輪を付け断崖絶壁の上から救助の為にダイブをさせた。人間が飛び込み救助するには迚無理な事で、何処に岩があるかも?水深がどれくらい有るかもわからず、此処は太郎しかできないと決め、太郎に頼み救助に当たらせた。その間に消防署に連絡を入れ救急車を手配した。警察署にも連絡を入れ、太郎に後を任すと、太郎は浮き輪を溺れている人に浮き輪を付け、隆の呼ぶ方向に泳ぎ人命を救った。それが地元新聞に乗り又もや太郎と隆が書状を頂いた。隆「お前を始めて見た時から、お前は人の為に成る犬だと直感で分かった?有難う。明日親方の墓参りに行こうか?親方大喜びするぞ?嬉しすぎて太郎を迎えに来たら、今はいけません。とハッキリ断るのだぞ?いいな。分かったな」等と太郎とコミュニケーションを取った。

   ラスベガス

それから5年が過ぎ、花子には男の子が二人出来、知恵は女の子が一人できた。が幸子には子供が出来ず聊か焦っていた。一郎が50を過ぎて居て、定年も近く成り、幸子も早く母親に成りたく子宝祈願に暇を見ては出掛けた。

 其のころ花子は子供を保育園に預け、家の仕事を手伝い、家事、炊事、洗濯、子育てと色々仕事をこなした。

此のころは仕事が忙しく、利益も右肩上がり。先ずは貯蓄に回し、従業員全てが年に一度の海外旅行の積立金。月に2万の積み立てをしていた。

 年が明けて1月1日とび職高橋組10名内二人は子供。行く先はラスベガス。4泊六日。泊まる宿は子供がいるので、サーカスサーカスホテル カジノ&テーマパークへ行く。

行く前に成田で和食レストランで鮨を食べ酒を飲み、小宴会を遣って時間を潰した。其のあとウイスキーを買い機内に持ち込み飲んでいた。

 花子は亭主にも子供にも恵まれ、仕事も順調に続いていた。ロサンゼルス空港に着き、LAを観光。ハリウッド大道り、サンタモニカ、ビバリーヒルズ、グリフィス天文台等を見学した後ディズニーランドの有るアナハイムに行き泊まる。

 翌日朝食を済ませ、ディズニーランドへ行く。子供も大人も大はしゃぎ。中でも花子は子供と大はしゃぎ。写真を何枚も取りお土産を買いまくり、笑顔が止まらない。それを見て居て隆がほほ笑む。夜に成ってエレクトリカルパレードと花火を見て宿に戻り爆睡。翌日は飛行機に乗りラスベガスへ行きホテルに荷物を預け、サーカスを見に行。その後は別行動。カジノに行。

 子供と花子はショッピングを楽しみ、隆はスロットマシンに行。すると金髪の女性がドリンクを持ってきたので、隆はチップを日本円で1000円を遣ると30分たつか経たないかしてまた来た。すると隆又1000円を遣るとニコニコ笑顔で10分もしない内に又ドリンクを持ってきた。その時隆のスロットマシンが777のラッキーセブンが当たり日本円に換算して約10万円が出て来たので、カクテルガールにコインを一つかみ握り上げた。するとハイボールを2杯おいて「Thank you」[You are welcome]と言った。ほんの僅かして又当たりコインが増えた。すると又もやカクテルガールが酒を運んで来てハイボールを2杯おいて行く。隆又もやコインを一つかみ上げる。「Thank you」[You are welcome]と言いこれでは飲みつぶれてしまう。と思いコインを持って部屋に帰る。すると花子がカジノに行きたく待って居た。花子「子供たち寝かしつけた。親方はもうカジノには行かないの?」「金髪のねえちゃんに酒で殺される。俺はもう寝る。カジノに行きたければコインを持って行って良い。負けても構わない」「負けても良いのね?」「良いよ。」「ではやりに行きます」と言いカジノに行。そして深夜2時頃部屋に戻って来た。「ああ面白かった。明日も行きたい。グランドキャニオンの観光は行かず、カジノに居た方が楽しい。だから明日はグランドキャニオンには行かない。行きたい人は行く。ラスベガスで遊びたい人は残る。」

 翌日高橋ファミリーはストラトスフィアラスベガス天空のアトラクションに行き350mのタワーに登りラスベガスの町を見学。其のあとストリップ大通りを歩き、色々なホテルを見学しながら、隆が大好きなエルビスのモノマネ「レジェンズ・インコンサート」を見に行。見かけだけでなく本物そっくりの歌声。隆感激帰りにDVDを買いサインをしてもらう。其のあとは別のモノマネショーに行。先ずはブルース・ブラザーズのショー、これも見応え有った。次に小柄なセリーヌ・ディオンが出てくると笑いが起きた。迚可愛いセリーヌ・ディオンで有った。ホイットニー・ヒューストン、のモノマネ、マドンナ、最後にエルトン・ジョンが最後を飾った。腹式呼吸で良く通る声で感動を与えてくれた。

その後1946年にベンジャミン・シーゲル「愛称バグジー」がラスベガスにカジノホテルフラミンゴ。隆映画で見たバグジーの作ったカジノに行き、スロットマシンで遊ぶ。子供はプールで遊び花子は子供達を見ていた。1時間も遊び稼いだコインをドルに換えホテルに戻り風呂に入り夕食は日本食レストランに行き和食と日本酒を飲みホテルに戻る。

子供を寝かせ隆は部屋で水割りを飲みだす。と花子がカジノに行きたがり、先ほど稼いだドルを花子にやり、花子は嬉しそうにその金を持ってカジノに出掛けた。其のあと隆の部屋に電話が鳴り若い衆二人が是から部屋に行っても良いかと電話をしてきた。「いいとも。」と言うと直ぐに遣って来た。この二人小型機でグランドキャニオンを見学に行き、飛行機が思ったより揺れ、具合が悪く成り帰って来て今まで寝ていたと言う。「そんなに飛行機揺れたのか?」「もう二度と小型機は乗りたくない。他の人も皆酔っていた」「行かなくて良かった」「正解。ラスベガスで遊んでいた方が良かった。酒飲んで良いですか?」「ドンドン飲め。明日は帰るのだから?カカアはカジノで楽しんでいる。俺は子供の見張り。でも昼間ショーを見て来て楽しんで来た。来年はタイ・バンコクとパタヤビーチにでも行くか?冬だから温かい所が良いだろう。」「そうですね。今回も飛行機以外は迚良かった。飛行機だけが外れ、でもいい経験しました。」「何事も勉強。元暴走族が単車を乗り回し、人に迷惑を掛け怖い物無し、喧嘩上等のはみ出し者が飛行機に乗り震えていた。これ絵に成るな?」「やっぱり地について居ないとダメです」「俺もそう思って行かなかった。グランドキャニオンは見たいが小型機は乗りたく無かった。何時か又バスでグランドキャニオンとヨセミテ国立公園、西部劇映画の聖地モニュメントバレーは行くつもりでいる。正月休みの他に冬は寒くてダメ。

ゴールデンウイークか盆休み、取り合えず来年はタイ、バンコクにでも行こう」「良いですね?水上バイクと射撃とお釜ショー」「他の連中は何をしている?」「多分カジノに居ると思う」「あいつら博打好きだから、今晩寝ずにカジノに居るかも?」「まいいや。明日は帰るだけだから?飛行機に乗ったら寝てればいい事。その方が良いかもね?」「帰りの土産は酒と煙草。他は要らない。」「ここに居て暮れ。カミさんを見て来る?あいつも勝負師ハスラーだから帰ってこない。」と言いカジノを見に行。そして花子を見つけた。「出てるのか?」「先ほど出ていたが、今はダメ」「台を変えてみたら」「この台に成れているから」「遅くとも2時で部屋に戻れ」「分かった。2時までには帰る」「他の連中は?」「知らない。何処かでルーレットかカードゲーム。博打好きだから、なんにでも手を出す」「兎に角道楽者たちだから明日まで遣るか?金が尽きて部屋に戻るか?どっちか?俺は部屋に戻る。雄二と克己が酒を飲んでいるから」と言い部屋に戻り、30分程付き合い寝た。

 翌日親方は皆の部屋に連絡を入れチエックアウトの時間にロビーに集合と言い、ロビーで皆が来るのを待った。そしてラスベガスの飛行場に行。と飛行場ロビーにスロットマシンが置いて会ったので、博打好きはすぐさまスロットマシンを遣りに行く。親方も暇つぶしにやる。すると30分で220ドルに成り、酒6本と煙草4カートを買った。花子と子供はチョコレート、スカーフ、香水、バック、等を買い機内は熟睡

翌日夜6時に花子が勤めて居た居酒屋で新年会を開いた。

 転職

 ある日の事。知恵の父のぐあいが悪くて、知恵子供を連れて二人で病院へ見舞いに行き、帰りに母親の体を心配して実家に泊り掛けで出掛けて居たので信夫一人で行き付けの寿司屋で一人で酒を飲んでいた。そこに良く来ていた運送会社の社長に何度か店で有って居たので話しかけられた。「今日は奥さんとお子さんはどうしました?」「今日は実家に行きました。父親の具合が良くないので見に行きました。」「それは大変ですね?」「一人で家で食事しても詰まらないので、此処にきて話相手に成って貰っています。」「私もね。今家の経理と税理士がグルで店の金をごまかし遊びの金に使いこみ、二人を首にして此処の大将に誰か良い人いないか相談しに来たところなのです。」「会社は近いのですか?」「はい。自転車で来ました」「そうですか?今度の日曜日帳簿見て上げましょうか?私で良ければ?私の名刺です。」「豊田UOF銀行の方ですか?私の会社でもお付き合い有ります。これ私の名刺です。今後とも宜しくお願いします。今は融資の係ですか?」「はい。そうです。」「そうですか。色々聞きたいことが有りますので今度の日曜日に会社に来て帳簿を見て頂けますか?」「はい。いいですよ。どうせ妻もいないことだし」「では今日は一緒に飲みましょう。私におごらせてください。大将原さんに何か本日のおすすめ品をドンドン出してください。今日は良い人に会えた。矢張りこの店はいつ来てもいいな?」大将「此方の原さんは高2の時に簿記1級を取り、特待生で学費免除。都市銀行にもすんなり入行。そして今は融資係エリート社員。

そして知恵さんは器量が良いので銀行の受付嬢として採用された。独り者男子に取ってマドンナ的存在。それを仕留めた原さんは鼻高々。理想のカップル。羨ましいの一言。」社長「それは羨ましい。私も以前此方の店でお目にかかった事が有ります。その時に美人な人だな?と思いました。」「そんな事は無いです」「いや大変美人です。」「有難うございます。日曜日に会社の事務所に行けばよいですか?さっき頂いた名刺の住所は私が住んでいるアパートから5分位しか離れて居ません。トラックは良く見かけて居ます。」「私の会社の近くですか?」「はい。近くに住んでいます」「それは良かった。どんどん今日は飲んで食べてください。大将酒のお代わり下さい。」「はい。」そのあとも意気投合して酒は進んだ。社長「大将。今日は店を終わりにして、俺の行き付けのコーリャンクラブ行こう?チマチョゴリの衣装を着た美人のおねちゃんが沢山いる店に行こう。俺が招待するから?」大将「それは楽しそうですね?」「では決まり」と言い店を閉めてコーリャンクラブに出掛けた。

 店に入ると直ぐに社長お気に入りの女性が遣って来て、「スゥさん久しぶり。何処で浮気をしていたの?家の店にもっと来てくれないとダメよ?」「此処の所仕事が大変でそれどころではない。今日はお客様を連れて来た。他に女の子二人ばかり呼んで来て?それとボトルでマッコリ2本とホンオフェを出して」「はい。少しお待ちください」と言い調理場に下がった。そこに二人のチョゴリを着た女遣って来た。原の側には若くて綺麗な韓国女性が付いた。が大将の側にはフエイクのチョゴリを着た女が来た。大将「オギソバニ」女「韓国語分かりません?」「日本人?」「はい。」「やっぱり。コウリャンクラブの方が稼げるから?」「はいそうです。」「見た目は分からないから良いか?」「日本のクラブより時給が良いか?」「はいそうです」社長と原は美人のホステスが来たので嬉しいが、寿司屋の大将に付いたホステスはかなりの年増。そこで歌うことにした。歌はサランヘを韓国語で歌った。するとガラリとホステスが寄って来た。「お客さん韓国の人ですか?」「いいえ日本人です。」「韓国語上手ですね?」「韓国人の人が隣に住んでいて、良くコウリャンクラブに行くから、韓国の歌覚えました。」「どんな歌知っていますか?」「アリラン峠、黄色いシャツ、釜山港へ帰れ。何年か前に船で釜山と済州島に鉄砲撃ちに行った事が有ります。キジ撃ちに行きました。」「黄色いシャツを歌いませんか?」「良いよ。1番をお姉さんが歌い、2番が私が歌います。3番は一緒に歌いましょう」と言いステージに行き歌った。これが大いに受けた。大将ホステスに大うけ?すると社長「そろそろ帰ろうか?明日早い事だし」大将「そうですね?明日早くに市場に行かなくてはいけませんから?」と言い3人は帰って行った。

     日曜日

 原は10時に会社に遣って来て、帳簿を拝見した。すると直ぐに粉飾決算が見つかり、全ての帳簿がペナルティや手口が見抜けた。原「これは大分前から遣って居ましたね?これだけ働けば利益はもっとあるはずですが、お中元、お歳暮代がかなりの金額。経理の人がかなりの品を買い、自分の懐に入れています。それと接待交際費が多すぎます。恐らく愛人につぎ込んで使っていたのでしょう。」社長「それで何時も身なりは決まっていたのか?」原「博打はしていませんでしたか?」「競馬をしていた」「かなり遣っていたはず」「見抜けなかった俺が馬鹿だった。」「経理の人は誰か身内の人が遣ったら如何ですか?」「娘が二人いますが?一人は嫁に行って、もう一人は家でピアノの教師をしています。」「その人に経理を遣って貰えませんか?」「計算は苦手です。ピアノ以外は全て苦手です。」「そうなんですか?でもこれだけの売り上げが有れば、もっと車を増やし、会社を大きくすることが可能のはずです。」「原さん。銀行止めて内に来て貰えませんか?倍の給料を約束します。」「家内と相談をしないといけません?」「はい。分かります。」「私も転勤が近いはずです。東京からよそへは生きたくないのです。」「銀行員の方は転勤が有るから大変ですね」「はい。」「ゆっくり考えて下さい。此れお子さんに上げて下さい。」と言い箱に入ったメロンを暮れた。

家に帰り妻と相談をした。妻は銀行を止め子育て中。夫一人で単身赴任は出来ないこと。信夫も妻と子供を置いて単身赴任は支度もない。妻も実家の両親が心配で地方転勤は望まない。少し時間を掛けて考える事にした。然し高卒。後ろ盾も無く名門大学を出ているの出なく、地方に転勤、転勤の繰り返し。それより給料が良く、転勤が無くマイホームを一日も早く都内に家を持ち、あと一人子宝が欲しかった。一月考えた挙句銀行を止め、運送屋の経理と配車係を遣ることにした。家から5分近くて便利。それに銀行への融資問題は得意の分野。社長に気に入られちょくちょく寿司屋に連れて行かれ、帰りにはお土産を頂き順調に過ごしていた。

     交通事故

そんなある日の事。ドライバーの一人がヤクザのベンツと事故を起こす。するとヤクザ者が会社に遣って来ていちゃもんを言って来た。

「社長を出せ。お前ら雑魚には用はない。サッサと社長を呼んで来い。」原「今社長は病気の為病院に入院しております。話は私が伺います」と言い名刺をだした。「お前で話は通じるのか?」「はい。社長から全て任されています」「分かった。全ての請求をお前が遣って暮れるのならば」「出来る範囲で有ればします。無理な場合には弁護士を通して解決させて貰います」「分かった。俺の名刺だ。先ずは俺の足となるベンツを用意する。レンタル料金はお前の会社で支払え」「分かりました。お支払いします。」「次に車を買う。それまでの間レンタカーで我慢する。」「はい。よろしくお願いいたします」「今日はこれで帰るが、俺からは逃げられないからそのつもりでいろ。いいな?又来るから」と言い帰って行った。其のあと原は社長に話をする「帰って行った。これからもちょくちょく顔を出しにくるでしょうね?金が目的だから」「警察に全て報告するか?」「事故の時警察に事故の報告はしてあるので。早く解決するにはお金をある程度出して和解をして貰うのが良いと思います。金目当ての事故です」「アイツらは事故を起こして車を乗り換え、段々と良い車に乗り換える考えで遣って居る事。」「明日皆にベンツの側に寄るなと言って聞かせます」「そうだな。これも事故か」信夫は彼らの手口が分かって居たので、然程怖く事も無かった。信夫が銀行勤めしていた時に、得意先のお客にその筋の客がいて、その手口の裏話は聞いて知って居た。なのでここは時間を掛けず保険会社に急がせ、早めの解決をすることにした。

すると以外に早く和解が成立した。が其のあと信夫に上手い話で近づいて来た。「内の組の帳簿を見て暮れないか?今の会社より高い金を払う。約束する」「今すぐには答えは出ません」「急がなくとも言い。今日は夜空いているか?空いていたら俺の店で飲まないか?ご馳走するから?」「今日は無理です。又何時か」「いやね。車のことで気分良く解決してくれたので、お礼の気持ちで行ったまで。怖がらせてごめんよー」「ありがとうございます。今日は約束が有るもので」「分かった。またいつか?それとさっきの話考えてくれよな?稼がしてやるから」「「ありがとうございます。考えさせてください」と言い別れた。

 一週間が過ぎて組員Aが遣って来た「今近くまで来たので、貰った物で悪いがジョニ黒を上げようと思い持ってきた。飲んでよ。」「良いのですか貰って?」「原さんには良くして貰い有難うよ」「此方こそ事故で迷惑かけて済みません」「もうよくしてもらったか、何とも思って居ない」「ありがとうございました。」「又来るね」と言い帰って行った。

 そんなやり取りを半年も経ち、原も金が欲しく成り、誘われるまま飲みに行く。そして帰りにはこずかいを貰い。その金で知恵にバックや指輪やら買って稼ぎの良い所を見せた。そして暫くして組員に成り、取り立てや麻薬の密売、売春、その他金に成る事は何でも遣った。すると穏やかな目が三カ月も過ぎると立派なヤクザモンの目つきに成っていた。そして知恵は子供を連れた実家に帰った。

原信夫は知恵の為に稼ぎの良い仕事に転職をして最後に人生をダメにしてしまった男が一人ここにいた。愛するが故に自分を見失う事に成った原信夫その後は酒浸りの人生。ホームレスに成り雪の降る寒い夜凍死した。その後警察が身元を探すが分からず無縁仏にされた。

誰もが羨む美男美女の結婚と元銀行員の二人。同じ高校の同級生で同じ銀行の同期。信夫が知恵に純粋に惚れて居たことは間違い無かった。が良い格好しが仇と也自爆した。

 其のころとび職高橋の家に隣から、家を買ってくれないか?と相談を持ち掛けられた。隆も花子もこれは良い話と思い買うことにした。聞けば倅が家を建てたく今の家を売って三世代の家を建てるために、家を売ってそのお金で三世代の家を作る計画でいるので、是非売るのなら高橋さんに買って頂きたく相談に来たと言う。

 それを聞いた親方気持ちよく買わせて頂きますと答え、話はとんとん拍子で決まった。すると花子「親方相談があるのですが?」「何だ?買った家をリーホームして、季節料理の店を出すのはダメですか?父と母を二階に済ませ、母と二人で店を遣りたいのです。勿論利益は家に入れ親にはこずかいを遣りたいのです。」「花子良く言った。早速リーホーム使用。それとおまえは調理師免許を持っていたよな?」「有ります。居酒屋で2年働き試験を受け取りました」「今では無いが先行き一つの建物にする。土地が大きく成れば3階でも4階でも出来る。仕事に張り合いが出た。お前の好きなようにリーホームしろ。電気、水道、ガス、その他の手配は簡単に出来る。任せてくれ」「内装は自分でやりたいの?電気、ガス、水道は頼んで遣って貰います。それより親を引き取ると言えば、兄夫婦が大喜び。母親も喜びます。二人は気が合いませんから。話したら何時から遣るのと急がされる。」ハハハハハと花子笑う。

そして一ヶ月で店は開店。兄夫婦から開店の花輪が送られた。そして建設業仲間からも開店の祝い品が送られた。そして隆家を売って暮れた御隣さんにも開店の喜びを知らせた。すると店に生家が送られて来た。そして落ち着いたころに見せに足を運んでくれた。元家主も住んでいたいえを綺麗にリーホームして住んで暮れる事に感謝していた。

そして花子と母親の料理と花子のカラオケが評判に成り店は連日連夜大繁盛。そこで花子ショータイムを設け毎日ショー見せるとこれまた大うけ。しまいには親方までもショーに出ることに成り、町一番のカラオケ居酒屋と成る。矢張り女は器量だけではないと花子を認めた。

 其のころ幸子に子供が出来た結婚して10年目。待望の男の子で有ったが、難産の為幸子の体に原因不明の病気に成り、良く寝ていた。あちらこちらと病院を回るが原因が分からなかった。

 そして出版業界に活字離れの時代が遣って来て、榎本一郎は遂に窓際族に成る。次第に会社を無断欠勤。家で朝から酒を飲み妻幸子に当たる。軈て出向。更に幸子に当たる。がこの体子供を連れて家にも帰れず只管耐えた。何故器量吉の二人が幸薄く不幸な生活を送るのか、花子も今の幸を時には怖く感じた。

所詮幸せと不幸は紙一重。明日の事など誰もが分からない。

  中学校同窓会

 鈴木和男が花子が店を出したと聞き、同級生4人を誘い花子の店を訪ねた。既に25年の月日が過ぎ40歳に成る。花子。和男を見て直ぐに分かった。「あら和男君?」「分かる。そんなに変わって居ない。それと中島君、中村君、菊池君、こちらの人分からない?」「でしょうねー以前は髪の毛が有ったから。」和男「俺も最初に有った時ビックリした?名前を聞いた。すると関正弘と言われ?随分老けたね?て言ってしまった」「関君なの中学の時何時もしちさんに綺麗に分けて何時も櫛を持っていて絶えず髪をとかしていた関君?」「今はすかす髪が有りません?」「でもはげた関君カッコいい?ハリウッドスターのブルース・ウィリス見たい」「今日は沢山飲むぞ」と言い話が盛り上がり、和男が「どうだろうか同窓会を遣らないか?」関「いいね?俺以外にもはげてる奴は居る。俺28歳でつる。光頭会から誘いが来た。40だと早い奴は光頭会からお誘いが来る。」和男「刺身の盛り合わせと他に何か作って持って来て、それと取り合えずビールで乾杯」「はい。今ビールを持ってきます」と言い3本持って来て25年ぶりに乾杯した。

 刺身の盛り合わせを花子が作り運ばれて来た。和男「これ花子が作ったの?」「そうだけど。」「たいしたもんだ。これだけに出来れば」「居酒屋と寿司屋の親方について修行しました。料理が好きでしたから」「他にショータイムが有ると聞いてきた」「今日は主人に負かし25年ぶりの友達と一緒に飲むの。いけない?」「いいけど。でもショーも見たい?」「分かった。後で遣ります。それより同窓会の話が気に成って?多分幸子と知恵は来ないと思う。二人は今分け有りなの?それ以上は言えない。ごめんね!」菊池「俺バツ2なの。今三度目」和男「俺はバツイチ」関「俺は一度も結婚したことが無い。3度目は羨まし。一度も無い俺から見たら羨ましいの一言。今の奥さん飽きたら俺に回して。」「10年経つと飽きる」「今何年」「1年目」「まだ9年先か。長いな?」花子「皆で手分けして人を集め早くやろうよ?」信夫「1回遣って、来てくれた人から又新しい住所か電話番号を聴き人数を増やそう」「それが良い」そしてショータイム先ずは主人の挨拶「本日は花子の同級生が25年ぶりに会いに来ていただき、誠に有難うございます。私からのプレゼントとしてむぎ焼酎吉四六1本を差し上げたいと思います。」と言い焼酎1本花子に渡し、ステージ衣装に着換えに行き、島の合羽に三度笠片目に眼帯。脇に長ドス歌うは「旅姿三人男」を遣った。これがまたうまい。良く似合う。次に大利根無情と赤城の子守唄を歌い、後は花子に負かす。歌は愛のままで

そして物凄い化粧をして出て来た。口からはみ出した真っ赤な口紅。八重歯一本に黒く虫歯に塗り、鼻の脇に大きなホクロ。桂を付け紫色のドレス。首には縁日で買った安物のネックレスを付けて人前に立つと、それだけで客は転げ回り大笑い。すると花子「私に惚れても無理よ?私には立派な亭主が居るの」と言い歌い出す。だがしかし歌い出すと客は聞きほれた。歌は兎に角上手かった。歌が終わるとアンコールの声が鳴りやまず、仕方なくアンコールに答えるためにこの姿では合わないと思い、一度下がった。その間に主人が繋いだ得意の木遣りくずしで。そして化粧をまともにまとめ着物に着換え、そして出て行き歌うは「みだれ髪」を歌った。全ての人が聞きほれていた。歌が終わると又もやアンコールが来たが今日はこれにて終了と言い友達の席に行き、皆で昔の話で盛り上がった。帰り際に信夫「近いうちに又来る他の奴にも教える。花子が歌と料理が抜群に上手いと会った人に言って置く。この次は何を聞かせてくれるか?楽しみだ。」「ここはカラオケ居酒屋。皆さんが歌って楽しむところです」「でも花子のショーを見たら、誰も歌う人はいない」「歌は上手い、下手は関係ないのです。音楽は音を楽しむと書いて音楽です。楽しむ事が大事な事です」信夫「花子。お前は子供の頃から性格の良い奴だったけど、今も変わらず良い性格をしている」「それは主人が良い人だからです。私なんか主人の足元にも及びません」「また点数上げたな」「今日は皆さん本当に来てくれて有難うございます。又懲りずに来てください。お待ちしております。有難うございます。」と言い店先で分かれた。

 1ヶ月後

 5人が再び遣って来た。和男「又来たよ。今日は同窓会の開催日を数人で検討して先ずは9月の終わりか10月の始めの日曜日11時頃。場所は未定。人数により大きさ、アクセス、その他色々と話し合い決めていく。そこで相談なんだけど、こちらの店で集まり、話し合い決めていく事は可能かな?」「内は構わないけれども。カラオケの音がうるさくない?」「そこで相談なんだけど。店を開ける1時間前に開けて貰い、飲物だけ出してもらえれば、有難い。後は普段道理に営業してもらえればうちらもカラオケで遊べる」「店としても有りがたい。と同時に皆さんと会える機会が増えるから迚有難い話です」「では決まり。店は5時から?」「はい」「では4時に来て良い」「それで結構です。1時頃から仕込みが始めますから。」「あれから俺たちもカラオケボックスに通い始めた。今日は知らない人の前で初のデビュー。後で三度笠とカッパ他に衣装を貸してね?」「色々な衣装を作ってあるから好きな物を使って」「そうと来たら早く飲んで、酔っぱらってから出ないと恥ずかしい。良くシラフで愛のままで、が良く出来たね?然しあれは浅草の演芸ホールでやれば絶対に受ける事間違いなし。あの晩夢でも見て笑っていた。」関「花ちゃん。セーラー服有るの?」「有ります」「貸して、それとお下げ髪の桂貸して、口紅は100ショップで買って来てある。と言い控室に行き変装をして出て来た。ハゲ頭がお下げ髪に成ってブスの女の子が選んだ曲は石川ひとみ「まちぶせ」しかも凄い音痴。一同大笑い。関受けて笑顔。アンコールの声が。

花子が言っていた歌は楽しむもの。こんなに皆が笑顔に成るとは思ってもいなかった。信夫「オイ関。お前も寄席に出た方がいいんじゃないかな?俺も遣るかな?衣装を借りて酒も飲んだことだし、上さんにも逃げられたことだし、もう捨てる物など何もない」と言い支度に行き、準備が出来たので舞台に上がった。歌は「旅笠道中」を歌う。歌が終わると

マスターが出て来て「俺より上手く歌うのは禁止」と言って笑わせた。関「マスター何か一曲お願いします。」と言うと「では。」と言い着換えに下がり、少ししてリーゼントの髪型をして桂を被り、何処かで見つけたエルビスの衣装を着てサングラス姿。歌は「好きにならずにいられない」を歌った。これが兎に角上手かった。アンコールの声が出たが後は客に任せた。そこで関が着換えに行き、ねんねこ半纏に座布団をくるみ、桂を被り手ぬぐいを被り出て来て、一節太郎の「浪曲子守唄」これまた物凄い音痴。それが大うけ、涙を流し笑い転げる花子。花子「関君家の秘密兵器としてちょくちょくそれやってよ。絶対に受ける事間違いなし。」マスター「皆でどさ回りをするか?」と冗談を言った。すると関が「もう少し練習をしなくては。」「練習を設楽ダメ。今のが最高に良い。上手く成ったら面白く無い。今のが最高」すると余りしゃべらなかった中島が「ギター借りて言い」と言った。花子「いいけれどそんなに良いギターではないよ。それでも良いのなら」と言い持ってきた。すると中島ポケットからチューナーを取出し音を合わせた。そして歌い出す。乾杯を見事に歌った。誰しもが中島がギターを弾き歌うとは誰もが知らなかった。信夫「能ある鷹は爪を隠すか。大したものだ。ますます同窓会が楽しみに成って来た。」中村「早く同窓会開こうよ。大いに盛り上がりましょう」中島「そうですね?25年ぶりで皆はどう変わったか見たいものですね?」花子「恐らく、知恵と幸子は来ないと思う。それより先の事は言えないけれど?」信夫「でもいつか来られたら、皆で歓迎して遣ろう。一緒に学校へ行った中だもの。友達なんだから。人はどんどん減って行く。何人かは亡くなっているはず。」関「はげても生きているだけで丸儲けか?」花子「これから良い人見つけなさいよ。家の店にもひとり者の女性が沢山来るから。そしてあの芸を見せたら決まるかもね?女はイケメンばかりが好きと言う物ではなく、面白い人の方が持てたりする事も有ります。私もイケメンよりも今の家の人の方が好き」マスター「花子はてっきりメンクイで俺に嫁いで来たと思って居た。」一同大笑い

 二日後。関が一人で遣って来た。

 「今晩は。一人だけれど良い?」「一人なら大丈夫。特に下半身半分は立ち入り禁止」「口が有るから酒は飲める」「で設楽カウンター席へどうぞ」と言いカウンター席に座り「ハイボールと刺身の盛り合わせを作って」「はい」と言いハイボールと自家製の塩からのお通しが出せれ「この塩辛花ちゃんが作ったの?」「そうです」「上手い。金払うからもう一つ暮れない。俺塩辛が大好きなんだ」「イカの良い物が有るときに作ります。イカの塩辛は腹端が良くないとだめだから。矢張り秋が良いですね。今よりも腹端に油が盛りますから?」「このイカでも十分頂けます」「出設楽秋に成り作ったのを食べてみて、作って毎日味を見て、今が最高と言う時に電話を入れます」「それは有難い。お願いします」「はい。待って参りました。今日は穴子の良いのが入りました。天ぷらは如何ですか?」「穴子の天ぷら前に穴守稲荷の店に行き、羽田沖の穴子の天ぷらを食べた事が有ったけど、旨かった。それと小柴の漁港の穴子の一本揚げの天丼を食べに行った事も有る」「食道楽なのですね?」「独り者だし、もてないし、旨い物を食べて酒を飲んでいる時が一番の幸せの時なんです。然し歌の面白さを花ちゃんに教わりました。皆さんが笑ってくれるのが迚楽しいのです。花ちゃんが言うとうり音を楽しむ音楽にはまりました」「では今日は何を遣って暮れますか?」「大将。鳶の親方でしたね?ならばスコップ三味線でじょんから女節に挑戦したいと思って居ます」「それは面白い。是非遣りましょう。今スコップを持って来ます。それと私が成人式に来た振袖が有ります」「そんな高価な振袖は生けません?」「いいのよ。家には娘がいないし私が振袖を着る歳では無いのです。これからは皆に来てもらい宴会を盛り上げて貰えば何よりもうれしい事。後で着つけて上げる」「有難うございます」と言いショータイムを待ちながら一人で飲んでいた。8時に成り店のショータイムの時間が近づいた頃には店は満員。先ずは大将が「北の漁場と喧嘩辰」の2曲歌った。其のあと関が花子に全て着せてもらい化粧をしてかつらをかぶりスコップ三味線を持って客の前に経つと同時に笑いの声が起きた。そしてカラオケの伴奏に合わせ、スコップをビールの栓抜きで叩き歌い、踊る。これを見たお客は腹を抱え笑い出す。ショーが終わるとアンコールの声が鳴りやまない。しかし下がった。化粧を落とし席に戻るとママ花子が一人の女性を紹介した。「此方三浦さだ子さん独身。山形生まれ。」「初めまして。今のショー迚楽しかった」「有難うございます。何を飲んでいますか?冷酒です」「ママさん俺にも冷酒を下さい。」「はい分かりました」と言い冷酒がだされた。「良かったら一緒に飲みませんか?」「私で良ければ」「勿論です。女性の知り合いがこちらのママさんだけです。中学の同級生です。今後とも宜しくお願いします」「此方こそ。それより先ほど見せてくれたショーは何処かで見たことが有るのですか?」「いいえ。私は何かを見て居ても全てが可笑しく見えてしまうのです?良く似顔絵でデフォルメの様に見ているうちに漫画の様な可笑しく見えて来るのです。その時の思い付きです」「私も一人でテレビを見ていて、先に物事を考え面白い事を考えてしまい、一人で笑い出す時が有ります。」「私は全てが笑いに変わってしまい、お通夜とか法事には向かない性格です。」「今度ヒデとロザンナの愛の奇跡をデフォルメ調で歌いません」「私歌は下手くそですけどいいのですか?」「上手くては関さんのキャラが死んでしまいます。関さんは音痴だから良いのです。」「ではお酒もう1本飲んだら近くのカラオケボックスに行って、練習をしますか?」花子「それは良い。出来たらうちの店で披露して」関「一週間後に出来たら披露します」と言い二人はカラオケボックスに行き2時間特訓を下。

関「これからも宜しく。ママに聞いて貰えば私の事は分かります。明日またカラオケボックスで7時に会いましょう。其のあと花ちゃんの店に飲みに行きましょう」「はい。今日はごちそうさまでした。明日また会いましょう」と言い別れた。

 翌日カラオケボックスで1時間愛の奇跡を練習をした後花ちゃんの店に行。

 「ママ。今日は二人で来ました。」「あら鈴木君が一人で来ているけど」「なら一緒の席でかまいません」と言い鈴木の席に行き、一緒に飲もうと言い二人が交わる。「此方鈴木君。此方三浦さだ子さん。うちら三人中学の同級生です」「近くに皆さん居て良いですね?私は山形出身ですから何人かは東京、千葉、埼玉、神奈川に居ますけれども余り合う事も無いので花ちゃんの店に来るのが一番の楽しみなのです」関「花ちゃんは子供の頃から性格が良く沢山の友達がいました。今私もママに会いに来るのが一番の楽しみです。それとマスターも良い人なので」「私もマスターの様な人が好きです」信夫「ここに来る前に二人で何処かに行っていたの?」関「実は今二人でショータイムの時に二人でヒデとロザンナの愛の奇跡を遣るためにカラオケボックスで特訓をして来たところなのだ。」「ジャー練習の成果を見せて遅れ」「まだ途中」「どうせ何度やっても上手くには歌えない。それより面白く見せるのが関だろう。アンタは天才本番には強い。捨てる物が何もないから何時でも出来る」関「では花ちゃんと相談して面白い衣装が有るか聞いて見る。あれば出来る仮装行列みたいなものだから?見て笑える衣装と後はアイデアで遣り倒す」と言いさだ子と関と花子が下がり、衣装を見立てて出て来た。関は白のズボンに白のシャツ首からネックレスをぶら下げ頭には白色のターバン姿にギターを持って出て来た。一方さだ子はミニスカートに真っ赤なブラウスを着て音楽が始まる。すると二人はヒデとロザンナに成り切り歌う。そして関がアモーレアモーレミオと叫んだ。お客は笑い出す。すると関ギターを持って踊り出す。更に笑いが起きた。和男「アイツは笑いの天才だ。門仲のチャップリンだ」「花子。関君は凄い。人を笑わす天才。このまま行けば瓢箪から駒が出るかも」「それいいね。そっとしておこう」「それが一番良い」と二人は納得

 花子「私。同窓会の事知恵と幸子に電話を入れて見たら、矢張り二人とも来られないと言う事で、同窓会のハガキは出さない方が良いと思う」「そうだね。何時の日か笑顔で会える日が来ると思う。それまではそっとしておこう」二人が歌を終え降りて来た。すると花子が下がり着換え舞台に立った。着物姿に姉さん被り。歌は島津亜矢の「梅川セリフ入り」然し花子は何をやらしてもこなす。この人も天才で有った。終わるとご祝儀が飛んだ。思わず信夫と関もご祝儀を投げた。関「花ちゃんは良い女に成った。やっぱり性格のせいかな」信夫「恐らく持って生まれたものだろう。長く付き合えそうな気がする」「そうだね!ここが秘密基地かもね」「でもここは増えていく事間違いない。マスターも良い人だから益々繁盛していく。良い事だ」関「少しだけれども住所と電話番号が分かって来た。然し猪俣が3年前に交通事故で亡くなったと聞いた」「俺も中田文明がガンで死んだと聞いた。早いね」花子「友達は減って行くばかり。会える時には有って置きたいね?」「その党利。明日は我が身かも知れないから」と言い帰ることにした。関「さだ子さん。明日はここに来ます。良かったら来てください」「はい。有難うございます」と言い毎日のように二人は花ちゃんの店で有っていた。

 10月3日第一日曜日11時同窓会の会場前

 鈴木和男と花子が会場前に受付と書いたテーブル席に座り、花子が女性の点呼記録簿の係を遣っていた。光陰矢の如し。25年の月日はあーと言う間に過ぎ、会って名前も顔も思い出せない人がいた。そして入口の前に関が立っていた。そこに遠藤が遣って来た。関「久振り」と声を掛けた。遠藤誰だか分からず戸惑い考えた。関「遠藤君だろう?」「そうだけど。」まさか校長先生でもないし、校長先生が俺の名前を知って居るはずがないと考えて居たら「分からない。関正弘」「え?関正弘。あの中学生の時何時も胸のポケモンに櫛を入れ休み時間トイレの鏡の前で髪をしちさんに分けていた関正弘?俺校長先生かと思った。実は俺。桂なんだ」「俺も桂なんだ」「その桂を被る勇気が凄い」「後で一緒に飲もう」「久振りに会えて酒を酌み交わせるとは同窓会に来たかいが会った。」「鈴木和男が受付を遣って居るから?花子もいる、中島もいる、中村と菊池も来ている。」「分かった。25年ぶりか?時のいたずらで変わって分からない人に会える嬉しさと怖さ」「遠藤君は余り変わって居ないから誰もが分かる」「でも最初に驚かされた。また後で」と言い受付に行き、「鈴木生きていたか?」「まだ息をしている」「それは良かった。花子ちゃんの活躍噂で聞いた。」「アラ本当。25年ぶりの再会久振りね?元気そうで?」「同窓会を開いて暮れて有難う。死ぬまで会えないと思って居た。あの世に行ってハスの葉っぱの上でお盆に会えるかなーと考えていた」「もうすでにあの世に行って三途の川で桜を見ながら茣蓙をひいて宴会をしている人も居るかもね」「何人かは亡くなって入る人も居る。愛子ちゃん覚えて居る」「小学生の時に4年から6年までの3年間同じクラスだった。」「あの子28歳で子供を残してガンで亡くなったの。かわいそうでたまらない」「そうなの28歳で、子供の頃元気だったのに分からないものだね?」「他にも、蓑田君は交通事故で亡くなって居ます。他にも西野春夫君は自殺したと聞いております」「結構亡くなって入るのですね?」「今日又色々な話が聞けると思います」「良い話が多いといいですね!」「そうですねえ」「11時に成ったら会場に入れるのですね」「此方のスタッフさんが扉を開けたら好きな席に座って下さい。それまでは暫くの間空いて入る椅子に座って待って居てください。まだ来ていない人がいます。後15分で中に入れると思います」「ではまた後で」と言い関の側に行き、話こんだ。

 同窓生138名中72名が出席。勿論後から遅れて遣って来たものがいた。そして担任の先生が3名出席してくれた。

 最初に幹事の鈴木和男が「本日の司会及び会の進行役を務めさせて頂きます。」と挨拶をして「先ずは。乾杯の音頭を関君からお願いします」と言いシャンパングラスにシャンペーンを注ぎ関が「僭越ながら乾杯の音頭を取らせて頂きます。では乾杯」と言うとそれに続き皆が乾杯と言った。其のあと皆があの人誰?同級生に居た。あの人は入口に立って居たのでこちらのスタッフさんだと思って居た。関君と言っていたけど、もしかして野球部に居た関君。七三に髪をとかしていた関君なの?25年の年月は長かったの?それとも時のいたずら等とてんでに話が沸いた。其のあと関が空いて入る席に着き、関が加納勝子に「遠藤君に校長先生と間違われた。其のあと彼が俺桂を被っているのだ。と言われ俺も桂だよと言うと。勇気がいる桂だね?て言われた。遠藤君て面白い人だね?」それを聞いた遠藤が「中島が俺の側に来て、最初にいきなり遠藤。結婚しているの?と聞いてきた。25年振りに合って最初に発する言葉が結婚しているの?と聞いてきたので何か訳アリと思い、俺バツ2だと言うと中島が小さい声で俺バツイチ何だ。と言ってきた。やっぱり分けアリかと築いた」

暫くして中島が遣って来た「遠藤にだまされた?遠藤がバツ2と言うから俺バツイチと言ってしまつた。遠藤にだまされた」遠藤「内のカミさんメンクイで俺と結婚できなければ死ぬと言われ、人助けで結婚したんだ。これも神様の思し召し。この間姨捨山に連れて行き置いて来て家に帰ると玄関に三つ指ついてお帰りなさいと挨拶された。それくらい夫婦円満なのだ?」

 其のあとは先生方の挨拶。そして其のあと一人一人の近況報告が始まり次々と報告が有った。そして遠藤の番が来た。「早い物で25年が過ぎた。昔から良く光陰矢の如しと、言いますが?光陰矢の如しとは?光陰とはあー矢の如しだな?と言っています。それと担任の口癖が豚の尾っぽより鶏の頭に成れ。だそうですが本人はクジラの尾っぽに。本当は鶏口となるも牛後となるなかれと言った諺。だまされ鶏口に成ったが今では先生の様にクジラの尾っぽが良かった」と言った後「この後3人に寄るショータイムが有ります。期待して待って居て下さい」と言い下がると?すると担任が遠藤に抱き着いてきた「お前だけだ?俺の言ったことを覚えて居たのは」と言いと隣の席に着き長々と話こまれた。

 そしてショータイムの時が遣って来た先ずは中島がギターを弾き乾杯を歌った。結構な受けでした。其のあと関がセーラー服に三つ編みの桂を被り凄い化粧をして「まちぶせ」を調子はずれの声で歌うと女性に大うけ。涙を浮かべ大笑い。大いにわかした。其のあとは花子が紫のドレスで桂を被り真っ赤な口紅を口からはみ出し、鼻の脇に大きなホクロと歯には黒く虫歯を描き安物の大きなネックレスを付けピンヒールを履き出て行く。一同大笑い。歌うは「愛のままで」を歌う。歌が始まるとシンーと也皆は歌に魅了されていく。歌が終わるとスタンディングオベーションが起きた。皆が口々にアンコールの声が聞こえた。然し花子は歌わず下がった。すると遠藤が関を連れて皆の前に立ち「関君のまちぶせはいかがでしたか?実は関君のまちぶせと浪曲子守唄は聞いてビックリ、花ちゃんの店での秘密兵器だそうです。その他にもこのはげた頭が夜布団の中で秘密兵器に成るそうです。何でも坊主良いからねてみやしゃんせ、どっちが頭やらお尻やら。だって。試したい方はお持ち帰り有だそうです。」と言い笑い取った。そして同窓会は終わると2次会をカラオケボックスで遣る事に成った。聞くと最初から二次会はカラオケボックスで遣る事に決めてあったとか?二次会には約35名が行くことに成った。当然遠藤も誘われた。

先ずはビール乾杯をした後、ギターを持ちとんぼを歌い、盛り上げた。鈴木和男がメリージェインを歌い中村が安奈を歌い、菊池が北の旅人を歌い、ついに関にリクエストが回って来た。関着換えの時間を貰い、花子と二人で準備に罹った。暫くしてねんねこ版点にキューピーの人形にミルクをくわえ、ガラガラ持って出て来た。一同大笑い。流石秘密兵器門仲のチャップリン。天才的なひらめき、歌うは「浪曲子守唄」が途轍もなく音痴。それが売り、大いに受け終わると案の定アンコールの声が。然し関「こんどは遠藤に何か歌って貰おう」と言い出す。遠藤「貴方と花ちゃんの跡は誰が何やっても受けない?花ちゃんに何か歌って貰おう。」花子「ではみだれ髪を歌わせてもらいます。その代わりに遠藤君も何か歌って下さいね?」「分かった。何か歌う」そして花子の「みだれ髪」が歌われた。シーンと聞いて居る。皆が聞きほれていた。歌が終わると盛大な拍手喝采。アンコールの声が有ったが、マイクを遠藤に渡し次お願いと言い席に着く。遠藤曲を選んだ日本の歌ではダメだと思い「太陽は燃えている」エンゲルベルト・フンパーディンクの曲を歌った。すると英語の発音も良く、声も似て居て大変旨かった。皆が驚いた。

 ある日の事

 親方高橋に電話がかかって来た。「もしもし、高橋です。」「もしもし、野崎だ。実は俺施設に入った。子供に面倒はかけられないから」「何処の施設に入ったのですか?」「木場の施設だ」「わかりました。近い内に上さんと会いに行きます。元気で居てくださいね。何を持って行けばいいですか?」「決まっている。ハイオク」「何時ものハイオクですね?」「そうだ。頼んだぞ」「分かりました。持って行きます。では」と言い電話を切った。

 仕事を終え家に帰り、カミさんに親方が施設に入った事を話した。花子「何時行きますか?」「今度の休みに行」「何を持って行きますか?」「決まって入る。ハイオク。何か良い入物無いか?ウイスキーとは分からない入物に移し替えて持って行く。後は寿司屋の湯呑茶碗で飲む。俺も前に足場から落ちたときに、親方がハイオクを差し入れに持って来てくれた。あの薬が一番良い。夜も良く寝れるし、特効薬だ?」「タガの外れて入る人の考えは面白い」「だって内蔵は何処も悪くない。怪我だよ。ただじっと寝て居られない。つまらない。飲んでいれば気が紛れる。」「では2リットルのウーロン茶のペットボトル。中身を空けて、移す。」「それで良い。決まり、後は頼む」と言い風呂に入った。

 お見舞い

 お見舞い当日。高橋夫婦は用意して有った荷物を持って、親方の見舞いに行った。

「お元気そうで安心しました。」「そんなに長くは生きたくないよ。然し倅の世話には成りたく際し、とは言え一人ではもう何もできない。仕方が無いので施設に入る事にした。婆さんに先に行かれたから。男が後に残るのは辛いものだ。あの世に行ったらたらふく文句を言ってやる。それよりハイオク持って来てくれたか?」「勿論です。今用意します。」と言い寿司屋の湯のみにウイスキーと氷と炭酸水を入れ、二人で乾杯を下。花子が乾き物を用意して持って来た。そして花子が窓とドアーを開け空気の流れを確保した。これは誰もが見てもお茶を飲んでいるとか思えない絵で有った。高橋「やっぱり個室はいいね?俺の時は相部屋だったから、お隣さんから催促された。」花子「ウーロン茶のペットボトルに入れて来たからウーロン茶にしか見えないから、このまましまって置けば見られてもウーロン茶だと思います。又次に来る時に持って来ます。」「有難いね。倅夫婦よりずうっと気が付く。」「親方。早く退院して家の店で飲みましょうよ?」「出来たらそうしたいものだね。若い時の様に辰巳芸者を上げて、陽気にかっぽれでも歌い、踊り其のあとぽっくりと行きたいね」「誰しもがぴんころを願いますが、中々難しいかもしれませんね?」「内に何人かの見習いが来たけれども、隆お前が一番教え甲斐が有った。良く辛い修業に耐えて良く頑張った。有難うよ。」「親方に鍛えてもらったから、今日の私が有るのです。私に取って親方は二番目の親父です。長生きしてください。又ハイオク持って来ます」と言い受付に行くと?花子の小中学生の同級生の田島が受付に居た。思わず花子「田島君では無いのですか?」「あら。山田さん」「はい。そうです。今は高橋です。久しぶりですね?この間中学の同窓会を開いたのですが?田島君の連絡先が分からず、連絡が出来ませんでした。」「それは大変ご迷惑をお掛けしました。私分け合って此方の病院に婿入りしました。これ私の名刺です。」「副院長さんですか?」「はい。医院長は妻です。」「そうなのですか?301号室の野崎さんは私たちの大恩人です。宜しくお願いします。近い内に又来ます。今日の所はこれで帰ります。次に来た時に話を聞かせてください。」と言い帰って行った。

 久しぶりの電話

 榎本幸子からの電話が花子に掛かって来た。「もしもし、花子?幸子です。久しぶり元気?」「私は至って元気。貧乏暇なし」「噂聞いたわよ。お店繁盛しているみたいね?良い事だは」「有難う。所で幸子の健康はどう?」「余り良くない。気晴らしが出来ない?主人がうつで子供が内気でそして産後体の具合が余り良くない。本当は働きに出た方が体の為にも良いと思うが出してもらえないから?」「何もしていないと一日が長く感じる。そしてつまらない。私には迚無理。働いてお小遣いで好きな事にお金をつかっている時が一番楽しい。」「人は生き抜きと気晴らしが大事ね?つくづく花子が羨ましい。」「内の店に関君良く来てくれるの?覚えて居る」「良く覚えて居る。73に髪を分けていた子。野球部でピッチャーを遣っていた人」「そう。その彼兎に角面白いの。家の店に来てセーラー服を着て物凄い化粧をして石川ひとみのまちぶせを歌うの。するとお客が腹を抱えて大笑いするの。あの人今門仲のチャップリンと呼ばれているの。一度見て笑ってストレス解消設楽良い薬になると思います。その他にも鈴木和男君、中島君、中村君、菊池君他にも同窓会の跡来てくれる人も居る。それとこの間だ施設で田島君と会った。今は婿入りして浅岡を名乗っている。近内に又合うつもり、施設に仲人さんが入院しているので」「そうなの?花子は子供の頃から人好きあいが多かったから、客商売には向いていた。」「今度時間を作って遊びにおいでよ。きっと鈴木君喜ぶよ?彼今一人だから良く飲みに来ます。」「うぅんそうなんだ!知恵どうしているのかね?前に話した時運送会社の経理の仕事をしていると言っていた。似合いの良い夫婦に思えたのに分からないものね?」「何時でも良いからおいでよ」「分かった。じゃね。」と言い電話を切った。

 見舞い

 二人して見舞いに行く。隆は先にハイオクを持って部屋に行き、花子は浅岡に会いに行く。そして浅岡から施設の催し物を聞いた。すると「カラオケや舞台、ピアノ、ダンス、日舞などの娯楽設備が有り、毎週日曜日にボランティア活動の人が遣って来て、楽しい時間を作って暮れます。」「それて誰が遣っても良いのですか?」「はい。ただしあくまでもボランティアでお金は出ません」「お金は良いのです。301号室の野崎さんに見せたいのです。何時ならやらせてもらえますか?」「今予定表を見て来ます。」と言い見に行。5分ぐらいして戻って来た。「3週間後の日曜日なら空いてます。」「その日で結構です。やらせてください。楽器、衣装等持ち込んでも良いのですね?」「勿論です。」「時間は?」「1時から3時までです。」「分かりました。では3週間後の1時に来ます」「来るのは30分位前に来て、色々な設備をセッティング等の準備が有ると思います」「もしよろしければ今日見させて頂けませんか?」「それは簡単な事です。では見に行きましょう。」と言い演芸ホールに見に行。「凄い。立派な舞台に音響設備。立派なカラオケ。これ全て使っても良いのですか?」「はい。ここに有るものは全て使って下さい。」「ありがとうございます。関君覚えて居る?」「彼とは同じ野球部で一緒だったから良く覚えて居るけれど、中学卒業後は会った事が有りません。」「一緒に連れて来ます。会ったらビックリします。と同時に彼物凄く芸達者なの楽しみにしていてください」「それは楽しみだ。待って居ます」「有難う。野崎さんに知らせに言ってきます」と言い301号室へ行った。

 「親方。良い話出来ました。実は3週間後の日曜日。此処の演芸ホールで私たちショーが出来るのです。私の仲間連れて来てショーを遣ります。親方も出てください。木遣り、都々逸、かっぽれを歌って、踊って皆に喜んで貰いましょう。」隆「それは良い。親方陽気に遣りましょう」「有難う。花ちゃん。良い冥土の土産が出来た。時間を見て木遣りの練習をする。声が出ない」隆「では家の若い衆連れた揃いの半纏を着て、親方の木遣りに相槌を入れる。俺たち結婚式の時に親方が先頭に立ち木遣りを歌い若い衆が家の家紋を入れた提灯を持って会場を練り歩く姿は今でも忘れません。」「いやね。俺の方が楽しんだよ。家で10年辛抱して独立してそして結婚。そこで祝いの席での木遣りのパレード。そして今度は此処の施設でみんなの前で披露できるとは思っても見なかった。」花子「私の同級生の芸達者を連れて来ます。おかしな人です。見たら必ず笑います。家の店の秘密兵器です。」「それは良い。馬鹿馬鹿しい事を遣る事がいいのだ。大いに馬鹿馬鹿しい事を遣って見せて遅れ、今はりこうばかりで面白く無い。馬鹿馬鹿しいのが良いんだ。」「楽しみだね。今日はこれでかえります。ショーの前に一度来ます。」「有難う。又来てくれ。ハイオク持って、待って居るから有難う。」と言い家に帰り、仲間に連絡を入れた。すると店が開くと同時に関が遣って来た。関「本当に田島の施設で出来るの?彼とは中学の野球部でバッテリーを組んでいたので良く覚えて居る。懐かしな?彼は養子タイプで有ったな?」「大いに笑わせてね?」「花ちゃんの愛のままでの方が面白いと思うのだけれどもな?」「いいえ。関君のあの化粧とセーラー服でまちぶせには迚叶わない。それと浪曲子守唄この二つは門仲の重要文化財です。」等と話をして居ると、中島と中村が二人で遣って来た。「もうすぐに鈴木と菊池も来る。皆張り切っている。それと出し物を考えている」花子「中島君は乾杯ととんぼで良いと思う。それから中村君は島津亜矢の梅川で勝負。今日から特訓」「まだ酒飲んでない。飲んでから練習をする。シラフでは迚出来ません」「今日サンマの油が乗ったやつが有るけど?」「それで良い全員に焼いて、他には?」「米ナスの田楽はいかがでしょうか?」「それも全員」「後は先ずビール2本で乾杯。其のあとめいめいが好きな物を頼むから」と言って居たら鈴木と菊池が遣って来たので二人分を追加して一緒に食べた。そして歌の練習を始めた中村「花ちゃん先ずは見本を見せて。島津亜矢の梅川を」「この歌は難しいの?それより中村君のアイデアで勝負した方が面白いと思うけれど?」「先ずはどんな歌。歌って聞かせて?」「分かったでは歌わせて頂きます」と言い歌う。皆聞きほれていた。歌が終わり皆唖然。中村「こんなの無理。花ちゃんが遣れば絶対に受ける」「私は秋元順子の愛のままでとひばりのみだれ髪を親方のリクエストが有るので」関「中村俺を見習え、女物の着物を着て桂を被り、汚い化粧をして姉さん被り、そして音程がガタガタ。それ考えただけで既に笑える。上手く歌うな人を喜ばせる事が俺たちの芸なんだ。俺たちは人前に出れば顔を見ただけで笑う。それが売りなのだ誰も俺たちの歌など上手いとは思って居ない。俺たちが出来る事は笑わす事だけ」「関てすごい!流石門仲のチャップリン奥義を極めいてる。師匠恐れ入りました。」「では稽古に入ります後で関手直し宜しく」「取り敢えず歌って見な」「では」と言い日本酒をコップ一杯クビリと飲み腹をくくり遣って見た。すると以外に面白かった。関「後は化粧をして、着物着て桂をかぶり歌えばウケるの間違いなし。俺より笑いを取らないでね?」菊池「俺は何が良いかね」「菊池君どうだろ?股旅演歌は縞の合羽に三度笠衣装有るし、旅姿三人男なんて良いんじゃない」「それいい。片目に眼帯付けて森の石松。これで決まり。」鈴木「俺は何を遣ればいいかな」「内の人のタキシードを着て英語で知りたくないのを歌って見ては?」「菅原洋一の日本語の歌なら知って居るけれど」「YouTubeで調べれば直ぐに出て来るけど?私はコニーフランシスの知りたくないのが好きなの」「歌って聞かせて」「聞きますか?然し彼女みたいにセクシーには歌いませんけれど良いですか」「聞いたことが無いので比べようが無いです」「では歌わせてもらいます」と言い歌う。すると「凄いお見事花ちゃんが歌った方が皆さん喜ぶ」「私は愛のままでとみだれ髪を歌うのです。だから鈴木君がタキシードを着て歌ってください」「俺毎日カラオケボックスで遣る事にする。今日は飲んで帰る。これはえらい事に成った。会社へ行って仕事をしている場合では無くなりそう」関「然し良く歌知って居るね?感心下」「歌と映画だけは人より知って居ますけど勉強は知恵と幸子には及ばない」「然し一番幸せなのは花ちゃんが一番幸せそう?」「夫に幸せにして貰いました。全て夫の働きで有難い事です。こうして店までも出さしてもらい感謝しています。両親も世話に成って二階でやっかいに成り、十階の身です。」「二階でやっかいで十階の身か最高の親孝行だね。」「はい。主人の御蔭です」「花ちゃんは本当にハート美人ですね?常に夫を立てていく、だから店も繁盛して行く」関「プログラムは花ちゃんが考えて?」「大まかなプログラムは頭の中に出来ているので、パソコンで作りコピーして渡します。」「お願いします。決まれば後は従います。」「ありがとうございます。宜しくお願いします。慰問が終わったら家の店で打上げを開きます?ノーギャラですから酒と肴は出させて貰います」「有難う」「その時に親方も連れて来ます。外出許可を貰って連れて来て皆で飲もうと思います」「それは良い事だ」「楽しみだ。早く来ないかな?」などと言い帰って行った。

      慰問

 開演30分前に行き、副院長の浅岡と25年ぶりの再会をして、浅岡も皆の手伝いを下。機材の使い方は慣れており、照明器具を主に遣って貰い、その他の事も色々手伝って貰えた。1時。時間道理に開演。照明を落とし、親方が先頭に立ち、隆以下5名が家紋入りの提灯を持って木遣りを歌い会場を練り歩く。シィーとした会場を年季の入った声が響き渡る。其のあと明かりがともり、皆さんに顔を見せ、さのさ、木遣りくずし、最後に7名で奴さんを披露した。終わると盛大な拍手が有った。次に鈴木がタキシードを着て知りたくないのを歌い、中島がギターを弾き乾杯ととんぼを歌い、中村が梅川を遣ると受けた。其のあと菊池が股旅演歌を披露した。歌は旅姿三人男縞のかっぱに三度笠片目眼帯。脇に長ドスを指して出て行くと「待ってました」とヤジが飛ぶ。菊池気を良くして歌う。するとアンコールの声が有り大利根無情をセリフ入りで歌った。受けた。其のあと隆親方がエルビスの好きにならずにいられないを歌うと大いに沸いた。そしてアンコールの声が?隆次にこの胸のときめきを歌うこれまた美味かった。隆はエルビスの大フアンで有ったので、子供の頃からレコードが擦り切れるまで聞いて居た。次に関の番が来て、おさげがみにセーラー服、顔はめちゃくちゃな化粧をして出て行くと、椅子から笑いこけたり、涙を浮かべ笑い出す人やら。歌う前から大盛。歌うとそれを上回る笑いが起きた。歌い終わると案の定アンコールの声があちこちから聞こえ、一度下がり今度はねんねこ版点にキューピーの人形にミルク加え姉さん被りの姿で出て行くと、それだけで大いに受けた。歌は浪曲子守唄を歌うが途轍もない音痴。歌い出すと皆が腹を抱え笑い出す。関大満足。終わると「来月また来てね。お願い」とヤジが飛んだ。これ以降関ドはまりに成って行く。最後に花子がトリを取った。酷い化粧に紫色のドレス、安物の派手なネックレス。歌うは秋元順子の愛のままでを歌う。真っ暗なステージの真ん中に立ち浅岡が花子にスポットライトを照らす。そこにはどえらいブスが立っていた。するとそれを見たお客が大笑い。そしてうたが始まると笑いは無く皆が聞きほれていた。終わると皆がアンコールの要求。一度下がりきものに着換え桂を被り暗い舞台に立ちみだれ髪の伴奏が始まる。そしてスポットライトが花子を照らす。歌い出すとシィーと静まり返った。中には涙を浮かべる人も居た。終わるともの凄い拍手が起きた。最後に花子お礼と挨拶とメンバー一人一人の名前を読み上げ皆さんに頭を下げた。そしてショータイムを終え親方を連れた花子の店に行き、打ち上げを行った。花子がビール次いで隆が乾杯の音頭を取った。其のあと浅岡がお礼を言い次の予定を考えていた。次に親方が挨拶を下。「隆、花子本日は有難う。これで良い冥途の土産が出来た。冥途に行ったら婆さんに今日の事を言って聞かせる。きっと羨ましがるだろうな?そして楽しいショーを見せて貰った。有難う。本当に今日は楽しかった」と言い挨拶に変えた。鈴木「最初に揃いの半纏で木遣りを歌い練り歩く姿は矢張り深川ですね。深川の心意気を今日見せて貰いました。有難うございます。お客さんも皆見とれて居ました。良い演出でした。この次も始まりは木遣りが先頭ですね?オープニングには最高のスタートですね?」そして花子の母親が料理を作って持ってきた。「どうぞ召し上がってください。飲み物は何にしますか」菊池「お母さん俺たちでやります。」と言い焼酎ボトル3本と氷、ウーロン茶、等を勝手に持ち出してんでに作り、飲みながら友達を誉め会った。親方「関君。君の芸は金が取れる。浅草の下手な芸人よりよっぽど面白い。俺はあのばかばかしさが好きだ。流石門仲のチャップリンだ。あれだけ人を笑わすことが出来るあなたはきっといいことが有る。あのばかばかしさが人生に大事な事。」「有難うございます。木遣りの名人にそのような嬉しい事を言って頂いて恐縮です」親方「他の皆も本当に良かった。又花子と来て大いに盛り上げて暮れ」花子「歌いたい人どうぞ歌って」鈴木「次に歌う歌の練習をさせて頂きます。先ずはエンゲルベルト・フンパーディンクの曲で太陽は燃えている。を歌わせてもらいます。」と言い歌う。次に中村「誰か故郷を想わざるを歌う。」花子「しめ鯖の鮨出来たわよ?食べてみて。」関最初に手を出す「これは上手い。良い油の乗り方している。俺の大好物。」「よかった」菊池「俺もサバには目が無い。油の乗ったしめ鯖の握りうまいよね」中島「男は青魚好きな人が多い。体にも良いし」花子「親方何か一曲歌って下さい。」親方「では。歌わせて頂きます。三橋美智也の男涙の子守唄。聞いてください。」と言い、そして舞台に上がり歌い出す。そして詩吟を歌い、其のあとも歌い切った。」一同拍手喝采。菊池「親方若い時に相当持てたでしょう。」親方「俺は何時も泣かされていた。俺は女を泣かしたことはない。何時も泣かされていた」隆「親方は若い時門仲の長谷川一夫と言われ、町を歩くときには棒でかき分け、ごめんよ、ごめんよと言ってかき分けながら歩いてた。そのくらい持てた」親方「隆の話をまともに聞くな」関「然し、顔も良いし、声も良い。女がほっとく訳が無い。羨まし。私は今だ独身。持てる人が羨ましい。」と言いトイレに行。すると親方が「俺も関東のつれしょんにいくか?」と言いトイレに行。「関君。俺はこれで帰る。これを花子に渡して暮れ。俺から渡すと、花子は絶対に受け取らないから?関君から渡して暮れ」と言い茶封筒を渡された。「俺が帰ってから渡して暮れ頼んだぞ」と言い席に戻り親方「隆、花ちゃん、そして皆さん今日はお世話に成りました。俺は施設に戻る。花ちゃんご馳走様でした。有難う。」と言いタクシーに乗り帰った。其のあと関「花ちゃん。これ親方から預かりました。」と言い渡す。花子中身を見る。「え。10万円置いて行った。大将どうする?」「貰って置け。親方はそうゆう人だ。後で何らかの形で返すから今日の所は貰っとけ」鈴木「流石深川の鳶職の親方。生きですね?」隆「親父さん本当に今日が楽しかったと思うよ。終止笑顔で見ていた。それに人前で木遣りを披露したことが良い思い出に成る事でしょう。今日は皆さん有難う御座いました。それでは一本締めで」と言い閉めて終わった。

   親方の死

 翌日朝7時。親方の家からの電話が鳴った。花「もしもし高橋です。」「もしもし野崎です。親方いますか?」「はい居ります。今変わります」と言い変わった「もしもし高橋です。」「実は今しがた親父が無くなりました」「え。本当ですか?」「はい。担当の方が肩を叩き起こそうとしたら、穏やかな顔で死んでいたそうです。医院長の見立てでは老衰だそうです」「今は何処に居ますか?」「葬儀屋に連絡を入れたところです。」「わかりました。今から私もそちらに行きます。」「お願いします」「花子。親方亡くなったて。文雄に電話を入れてから俺は親方の側に多分一日中いる事に成るだろう。」「後の事は大丈夫です。何か有ったら電話を入れるから。後で私も行くから。」「お前は後から来ればいい。取敢えず先に行。あとから来い」と言って出て行った。

 隆親方を見るなり泣きながら「親父さん色々お世話になりました。此の御恩は決して忘れません。有難うございました。後の事は倅さんと一緒に遣りますから安心してください」と言い倅と話し合う。30分を過ぎた頃葬儀屋が来た。倅が話し合い、先に家に帰りかたずけをする。その間隆が仏に付き添い、後の始末を待って居た。終わると葬儀屋の車に乗り親方の家に行。そして隆が倅にお寺さんに連絡を入れ来てもらい枕経を上げて貰うようにお寺に連絡を入れるのを手伝っていた。そして酒の準備鮨の出前、お茶の準備やら細やかに隆が先頭に立って動いた。倅は仏の側にいて来る客の会いたいをしていた。子供は一人なので倅が挨拶に来るお客さんのあいたいが仕事でした。後から花子が遣って来て、客にお茶を出したり、灰皿を出したり迚良く気が付いた。

 翌日6時セレモニーホールでお通夜が執り行われ、受付は2ヶ所で建設業関係者と一般との2ヶ所に分けられ、隆と若い衆が建設業の受付を行い、一般の方は近所の方が行い、スムーズに行われた。そして最後に来て頂いたお客様の人数は751名で如何に親方の人望が有ったかを知る事に成った。

 翌日11時葬式が執り行われた。昨日と違いお客様は168名で全てが終わり出棺の時に高橋組の頭を先頭に若い衆が8名が印半纏に身を包み、霊柩車が警笛を鳴らし、いざ発車と同時に親方隆が木遣りを歌う。それを見て涙する人も居た。そして礼服に着換え後から火葬場に行き、仏さまをセレモニーホールに持ち帰り忌中払いをして、それぞれ帰路に着いた。

  四十九日法要

 11時からお寺で行う四十九法要。白木位牌から本位位牌に魂がえする大切な法要を行われた。あっという間に四十九法要の日が来た。御経が読まれ、お線香が上げられ法話を聞いた後納骨。全てが終わり会食会を花ちゃんの店で行われた。倅さんの希望で陽気にやりたいと言われ?慰問に行った連中も招待された。

12時から3時まで店を貸切亡き親方を忍会として隆と花が骨をおった。最初に息子が挨拶をして、隆が献杯の音頭を取り、会食は始まった。

 トップに隆が親方の遺影に頭を下げ、「これからも、親父さんの歌った歌を引きついて、歌って行くつもりです。皆さんは知らない事ですが?親方は若い時に命綱を付けずにあの東京タワーを工事した一人です。聞けば年は24歳朝6時から夕方6時まで、風は風速15メーターまで仕事をしていたようで、死亡1名1958年6月30日。鳶職人が強風に煽られて高さ61mから転落した。333メートルの世界一の電波塔。すべて手作業で建設された。オートバイを乗り回し粋がって喧嘩をしていた俺が迚恥ずかしく思えた。命を付けず高さ300m以上わずか30cm程の足場でのな作業誰もが出来る仕事ではない。偉大な鳶職の親方でした。尊敬以外に何物でもない。今日まで色々教えて下さりありがとうございました。」と言い惜別の歌を歌う。感情がこもり倅が涙浮かべ聞いて居た。二曲目は男涙の子守唄を歌う。親方のレパートリーの一曲でした。

 次に関が陽気に、顔を黒く塗り桂を被りドレスを着て出て来た。一同拍手「親方慰問先では大変お世話になりました。其のあとこの店でご馳走様でした。私はお笑いしかできませんので宜しくお願いします。」と言いザ・ロネッツのBe My Babyを歌った。マラカスをもち踊り長柄歌う。一同転げだす。すると遺影も笑い落ちた。それを見た一同が爆笑。流石、関、門仲のチャップリン。次いで中村がメイドインバハマのフエイクドレット付きジャマイカ帽子を被り、サングラスをかけStand By Meを歌った。其のあとは男五人が顔を黒く塗りランナウェイを歌った。これは受けた。其のあと花子がこの世の花を熱唱した。拍手喝采。其のあとは高橋組の若い衆が次々と歌い、四十九法要会食は終えた。

    久振りの再会

 幸子が花子の家に久振りに遣って来た。花「久振りね?元気?」「余り体調は良くないけれど、これぞと言った病気も無くつまらない毎日。気晴らしも無く、然程会話も無くただ子供との会話だけ?一日が長くただ退屈な日々。人間忙しい時、休みが欲しいと思ったが?毎日が暇だと忙しい時が羨ましい。何もすることのない人生はセミの抜け殻見たい。寂しい物です」「内に遊びに来ればいいのに。鈴木君、中島君、中島君、関君菊池君は良く来てくれます。田島君覚えて居る?今養子に入り浅岡を名乗って施設の副院長をしていて、そこにこの前慰問に皆で行ったの。大いに盛り上がり、大変喜ばれたの?楽しかった。前に鈴木君の事話を下よね?今一人で寂しいから良く飲みに来ています。それと関君覚えて居るでしょう?彼今見たら誰だか分からない?遠藤君は25年ぶりに有った時には校長先生かと思った位の代わった姿で迚ビックリしたそうです。」「あって見たいですね?中学卒業して25年が過ぎ皆変わっているでしょうね?」「先ず知恵が変わって、自殺をした人、交通事故で亡くなった人、養子に行く人、マスオさんの様に成った人、人生色々島村千代子さんの歌たように色々あります。上手いチーズでワイン飲まない?気晴らししょうよ。」「良いね。頂くは」と言い飲みながら幸子の憂さを聞いてやる。幸子次第に気持ちが明るく成り、次の同窓会には行きたいと言ってきた。「是非来て皆も喜ぶと思う。それと関君のショータイムを見れば必ず元気が出ます。彼今門仲のチャップリンと言われています。多分近い内に結婚します。恐らく仲人はわたしたち夫婦が遣ると思います。披露宴はこの店でやると思います。もしその時に出席出来たら来ない。大半が同級生です。面白い披露宴に成ると思います」「来てみたいですね」「そんなにご主人に気兼ねしなくともいいのではないのですか?」「仕事が変わってから、人が変わってしまいました」「知恵も幸子もめんどくさい人と一緒に成ったね?内の人は単純で簡単で気楽で助かるは?私も同じだから腹が余りたたない。平凡な暮らしが私には会っている」「平凡が何より。知恵に会いたい、そして昔の様な話が出来たら良いね?」「何時の日か出来ると良いね」などと言い幸子は帰って行った。

 6月の花嫁

関淳一と佐藤八重の結婚式が富岡八幡宮で執り行われた。関のご両親と淳一の三人と佐藤家両親と兄と八重と仲人高橋夫妻の9名が神前結婚式を行い、披露宴は会費1万円で飲み放題食べ放題3時間の披露宴。花嫁花婿を入れて50名のパーティー。先ずは会の進行役に

鈴木に寄る乾杯の音頭を取って貰い、高橋が仲人の挨拶。次いで花子による主賓の挨拶。花子がそもそも二人の仲を取り持った間柄。然し関の友達は全ての人が知っており、何時の日か二人は結婚するだろうと待って居た。花子の話が終わると、中島がギターを持ち出し乾杯を歌う。其のあと遠藤が「フランク永井のおまえに」を歌った。中々の出来でアンコールの声が出たが下がった。すると菊池が関の十八番の「浪曲子守唄」を歌う逃げた女房と歌い続けた。一同大笑い。関の十八番を横取り、関も大笑い。次いで中村がまちぶせを歌う。これも受けた。そして花子が旧姓竹内幸子を呼んで有り、皆をビックリさせる為に飛び入り参加で、ライトを消しスポットライトを当て、愛の賛歌のイントロが流れ幸子がライトに照らされ歌った。一同だれだ?分からない。同級生。見たことある?分からない。と言った色々の声がした。歌い終わると拍手喝采。明かりがつき花子が隣に並び、「誰だかわかりますか?」と尋ねた。すると鈴木が「もしかして竹内幸子さんですか?」と言った。「はい。竹内幸子です。ご無沙汰しております。中学卒業して早25年を過ぎ皆さん御変わりございませんか?今日は花子に誘って頂き大変うれしく思います。関君ビックリ町で有ったら絶対に関君とは分からなかったでしょうね?今日は結婚おめでとうございます。後でショー見せて下さい。楽しみにしています」と言い花子と会い席をして皆を紹介してもらう。次に八重の兄が出て来て真室川音頭を歌う。山からけっころ出したる松の木丸太でも世に出て妻と名が付きゃまんざら憎くない。愉快な兄でした。其のあとは旧姓田島が出て来て施設のPRを話。祝い船を歌った。其のあとは八重の友達が祝い酒を歌い。花子が「愛のままでを化け物の化粧に紫色のドレス、ネックレスを付けての十八番を披露」幸子。おおうけ涙を出して笑う。最後の鳥は関に寄るショータイムいつもの通り姿で出て来るとヤジが飛ぶ。「待ってましたハゲタカ。」「よう。門仲のチャップリン」「後家殺し」等とヤジが飛ぶそして「まちぶせ」が歌われると皆が大笑い。初めて見た幸子笑い転げた。歌が終わり着換えに行。其のつなぎに親方がエルビスの「好きにならずにいられない」を歌い、遠藤がヒッピーの姿でギターを持って花のサンフランシスコを歌い繋いだ。支度が出来上がり出て来た。例の姿で歌うは浪曲子守唄。歌い出すと幸子涙を浮かべ笑い転げた。普段笑う事も無く寂しい毎日を送り過ごしているので、久振りに友達に会い楽しい時間を過ごし、大いに笑い昔の友と同じ時間を過ごしたことは花子が暮れた楽しい一日でした。披露宴は終わりに成るが誰もが帰ろうとはしなかったので、花子が皆が気のすむまで話し込んで良いと言った。

   開店三周年

 花ちゃんの店三周年を迎え日頃世話になっているお客様を三日間かけて招待下。初日、二日目、が終わり最後の日が遣って来た。最後の日には勿論中学生の同級生が大半をしめ隠し芸のオンパレードで大いに盛り上がり、それぞれが芸を磨きアイデアを考えた。

 最初に花子の挨拶が有り、其のあとに特別ゲストを紹介下。花子「本日紹介したいゲストはこの方です。分かりますか?」鈴木「もったいぶらずに早く言ってよ?」「では紹介します。伊藤知恵さんです。」そして登場した。一同ビックリ。そして拍手。鈴木「良く来てくれました。会える日を待って居ました。」「私も要約吹っ切れました。かなり時間が掛かりました。然し時間が解決してくれました。」鈴木「今日は三周年の祝いの席です。過去の事は忘れて楽しんで行って下さい。楽しいと言えばこの人。見ただけでは分かりません?本人に登場してもらいます。本日の出し物は誰しもが知りません。本日初のショータイムです。では本人に登場してもらいます。」と言い下がった。そして出て来た。本日の井出達はチャイナドレスに白塗り付け眉毛を2枚重ね、真っ赤な口紅。頭にはラーメン丼を被り出て来た。それだけで大うけ。そして歌が始まる。夜来香のイントロが始まると関が中国の扇子を持ち踊り出す。そしてデタラメの中国語で歌い出した。これが又受けた。歌が終わるといつもの様にアンコールの声が出たが一度下がった。すると遠藤が出て来て知りたくないのを英語で歌った。すると知恵の胸にグサと来た。知恵皆の温かい心使いに今までの自分が恥ずかしかった。其のあと又関が今度はチマチョゴリの衣装に桂を被りサランヘを歌う。デタラメの韓国語で音程は度外れ。皆が大笑い。歌が終わると花子が「この人誰だか分かる?」知恵「分かりません。」「では化粧を落として貰いましょう。少し時間を下さい。その間歌を一曲歌はせて貰います。」と言い花子この世の花を歌った。皆が聞きほれていた。歌が終わり関が素顔で出て来た。関「伊藤知恵さんお久しぶりです。誰だか分かりますか?」「いいえ。分かりません」「野球部でピッチャーを遣っていた?」「嘘。関君?」「そうです関です」「変わりましたね。」「はい。次は松原のぶえの蛍を歌わせてもらいます。私はちなみに仕事場では逆蛍と言われています。蛍は尻が光るのですが?私は尻が光るのではなく頭が光るので逆蛍なのです」と言い蛍を真剣に歌った。すると音痴は嘘で実は大変上手かった。一同あっけにとられた。知恵きずかされる。なんと素晴らしい人生を送っているのだろと教えられた?

己の欠点をされけだし、笑いに変え人を笑わせ回りに入る人を明るくし、そして自分も楽しむ。それを知って何と自分は小さな生き物だと諭された。人生失敗しても良いのだ。常に前向きに生きる事をすれば良いのだ。と教えて暮れた。そして皆さんが明るく親切に接して暮れ今まで友達に会う事が怖かった己の弱さに恥じた。もっと素直な気持ちに成り、もっと早く花子に会い話をすれば、もっと早くに楽しい人生が有ったはずと思った。

 花子が知恵に「何か歌わない」と言う。「では。すずめの涙を歌はせて貰います」と言い歌った。感情がこもり哀愁をおびたつややかな声に一同拍手。花子「どう歌った感想は?」「詰まらない考えをして居るなら歌っている方が気が晴れる。楽しい。」「今は三人暮らし?」「そう。母と私と息子」「息子さんにも手が掛からない歳でしょう?」「そうね。」「出設楽時間空いて入るときに、店手伝って暮れない。時給払いますから?」「有難う。ここなら自転車でも通える。夜7時から10時までなら働けます」「それで良いです。何時から来てくれますか?」「明日からでも」「有難い」と言い花子マイク持って皆さんに「お知らせが有ります。聞いてください。明日から知恵が私の店の手伝いをしてくれる事に成りました。どうぞよろしくお願いいたします。」鈴木「それは楽しみ。美しい物が見られるのですね?化け物ばかりでなく、正当な美しい物が見られるのですね。では美女と野獣のショータイムを考えましょう。知恵さんと関で美女と野獣ショーを遣れば必ず受ける」関「それならロミオとジュリエットとやりましょうよ?俺がロミオを遣ります」と言うと。一同大笑い。鈴木「貴方はあくまでも門仲のチャップリン」関「俺以外にロミオがはまり役は居ないと思うのに?」花子「先ずは二人で恋のバカンスでも歌うは」知恵「皆さん明日から宜しくお願いします」遠藤「知恵が明日から来たら、店に入り切れない程客が殺到してしまう。入れ替え制にするの?それとも店を広げるの?」知恵「遠藤君そんなあり得ない馬鹿馬鹿しい話をしないで」中島がエルビスの「この胸のときめきを歌い出す」其のあとに花子が「人生いろいろ」を歌った。そして最後の曲はマスターが吉幾三の「別れの時は」をしんみりと感情を入れ歌った。知恵教えられた。男の価値を?益々花子の人徳さを知る。見栄を張らずごく自然に生きてる。何故今までそれにきずかなかったのか?側に良い見本が有ったのに?

 翌日7時に知恵が出勤すると、同級生7名が待って居た。遠藤「こっちに来て飲もう。飲むのも仕事」「今来たばかりです。もう少し後で」花子「良いから一杯飲んでからでも」「はい。分かりました」と言いグラスを持って皆の所に行。知恵「奥さんはお元気ですか?」遠藤「妻は横断歩道でひかれて死にました。」「え。済みません。嫌な事を聞いて」「良いのです。事実の事ですから。自殺した人も居ます。ガンで闘病生活を送っている人、二度離婚している人、仕事で中国へ行ってる人、沖の永良部に養子で行った奴、奥さんが若い男と駆け落ちして逃げられた奴。昨日花ちゃんが歌った人生いろいろですね?」花子「遠藤君愛の奇跡をデュエットしませんか?」「いいね。歌おうか?」と言い歌った。関「知恵さんの昨日のすずめの涙良かった。あの歌俺歌っても良いかな?」「私の歌ではないのです。誰もが歌えば、作られた方に印税が入ります。嬉しい事です」「では時間をいただき化粧をしてきます。」と言い花子に手伝ってもらう。パンストを鼻から用意して有りパンストを履き中に色々な物を詰め込み膨らませドレスを着て化け物の化粧をして出て行くと大いに沸いた。例の如く調子はずれで歌うその姿は野獣のショータイム。遠藤「智恵さん彼は天才。次から次へと出し物を考える。学校では頭は使わず。今は次から次へと良く頭が回転する。彼の頭の中は何時もおかしなことばかり考えているのだろう。面白い奴ですね?」「楽しくて良いですね」「人生を楽しむ達人ですかね?」花子「来月の慰問の日が決まりました。第三日曜日午後1時です。新しい出し物を考えて来て下さい。期待してます?ちなみに内の人ははしご乗りを披露するつもりだそうです。若い衆を連れて行きやるそうです。」「それは楽しみ、江戸300年の伝統儀式すぐそばで見られるのはお年寄りには楽しみです。」関「俺にもやらして暮れませんか?」親方「コントでやるかい?下にマット弾いて梯子からずり落ちる」「そうなんです。みっともない姿で落ちる。如何ですか?」「良いと思うが怪我しても知らねえ」「短い梯子でやるのですよね」「室内でやるのだから勿論短い梯子を作るけど」「短い梯子にマットを曳けば大丈夫でしょう」「何だか俺たちより受けそう。面白くやって」「有難うございます」「他には出し物が決まって入る人いますか?」中村「俺。女子新体操リボン持って女性の水着を着て」関「それ受ける。いいよー」花子「おばあさん、笑い過ぎて殺さないでね?」「笑い転げて天国に行けたら最高の死に方。これ以上の良い死に方は無い。」花子「知恵あなたも何か披露して?故郷を歌うとか?以外に故郷を歌うと皆さん歌ってくれる。地方の人が多いから。」知恵「私オカリナを吹くから花子歌って暮れる?」「それいいね。それやろう」「なんか楽しく成って来た。花子有難う」「お互い楽しく行きましょう」「そうね」花子「きっと何処かの隅で親方が見ているから頑張りましょう。3週間有るから何か考えて来て下さい。今日はこれにて解散」と言い店を終えた。

 そして店は毎日大入り。知恵も家で塞ぎ混んでいた自分がちっぽけな人間だったことに築かされた。もっと早くに花子に会に来ていれば、楽しい毎日が有ったはず。でも今が幸せに思えた。そうなると知恵。幸子の事が気がかりに成った。そして知恵、幸子を慰問先に連れて行くことを花子に提案した。花子「それいい考えね?年老いて寂しく施設に入る人、楽しく施設に入る人それを見せて何を感じるか?是非誘いましょう。」「私も幸子に会いたいし?私から先ずは連絡を入れて見る」「お願い」と言い連絡を入れた。

  電話連絡

 知恵、幸子に電話を掛けた。すると夫が出て今寝ています。と言われた。知恵感づいた?これはかなり束縛されているな?と感じた。そして「又掛け直します。」と言った。すると「様子を見て来ます?」と言い、見に行。暫くして「もしもし幸子です」「私。知恵。暫く振りね。何処か体の具合が悪いの?」「そうなの。今度具合が良い時に私から電話掛けます。今日はごめんね。」と言い電話を切った。知恵も気づいた?幸子も今幸せでないことを。ならば皆の力で助けて上げようと考えた。此処は絶対に慰問に連れて行くべきと考え、翌日花ちゃんの店で皆に相談した。鈴木「それはかわいそう?然し難しい。マイナス思考の時は声をかけても、帰って落ち込む。」花子「此処は浅岡君に電話で、浅岡君の施設で催し物を開催してその時に花子一座が慰問に行くので見に来てくれたら皆も喜ぶので来てくれないか?と浅岡君頼んでくれないか?」「俺で良いなら電話を掛けても良いけど」「お願い」と言い浅岡翌日電話を入れると、夫が電話に出た。「もしもし私、幸子さんの同級生の田島ともうす者ですが幸子さんおられますか?」「妻は今寝ています。今日は無理です。」「そうでしたか?分かりました」と言い電話を切った。

 翌日花ちゃんの店に皆が集まり、浅岡が昨日の電話の経緯を説明下。すると花子「急いては事を仕損じる。の例え暫く様子を見ましょう。様子を見て知恵に連絡をするかも?今度が駄目ならその次も有るしそれでも駄目ならその次に、何度もチャンスは有ると思うから、待ちましょう」鈴木「菊池。何をやる気?」菊池「花ちゃん。赤いグラスをデュエットして貰えない?」「いいけど。普通では面白く無い。何か衣装考えて遣る。」「いや今回はあくまで二の線で、だから花ちゃんはドレスを着こんでバッチリメイク。これどう思いますか?」「かえって笑えるかもね」中村「知恵さん。俺と麦畑をデュエットとしてくれませんか?」「私で良ければ」「勿論です。では今ここで練習をしますか?」「はい。練習をしますか?」と言い始める。すると中村大はしゃぎして歌い踊り出す。するとそれが途轍もなく面白い踊りで知恵可笑しすぎて歌えなくなった。遂に中村も脱皮が出来た。人間ええかっこしいはダメだと築いた。花子「私梅川を遣らせていただきます。」「これは見ごたえありそう」中島「ジャー俺関白失脚で行く。これなら地で行ける」関「なら俺は花ちゃんの十八番の愛のままでをやらさせていただきます。これはなんかん。自信は有りません。然しチャレンジする価値は十分有ります」浅岡「何か必要な物が有れば用意します。」「有難う。出来ねば出る前にハイオクを一杯頂けると、すんなりと出やすい。本当は恥ずかしい。シラフでは?」「分かった。ではお茶のペットボトルに入れとく。」「持つものは矢張り友だね。」と言い家にそれぞれ帰って行った。

 一週間が過ぎた頃知恵の携帯に幸子か連絡が有った。「もしもし、幸子この間はごめん今日は主人がいないので話が出来る。」「今大丈夫?」「大丈夫。有難う。実は今私夜花子の店の手伝いをしているの?花子には有難く思って働かせてもらっているの?そこに毎日の様に中学の同級生が集まり、歌ったり踊ったり毎日が楽しみ、そして花子が座長を遣って皆で旧姓田島君が養子に入った施設に慰問に行の?関君覚えて居る?彼は芸達者で、出て顔を見せるだけで大笑い。見においでよ田島君が施設の副院長をしているので気がねはしなくとも大丈夫。11時に花子の店に来れば良いの。軽く昼を食べて慰問に行き其のあと花子の店で打ち上げをするの是非来て皆が幸子を待って居る。」「有難う。皆に会いたい。そして昔話をしたいね」「だから来てよ?」「今答えが出ない、又都合の良い時に連絡入れる。花子にはくれぐれも宜しく言ってね。またね?」と言い電話を切った。

 翌日知恵が話を下。花子「連絡を待ちましょう。去る者は追わず来る者は拒まずで幸子の答えを待ちましょう。」知恵「幸子が花子にくれぐれも宜しくといっていた。」「幸子は来たいがご主人が外に出したがらない?分かるから尚更辛い。」「私も本当は別れたくは無かった。然しヤクザの道に入り3カ月たったころ目つきも顔つきも以前の主人ではなく別人に成って居ました。そこで子供の将来を考え離婚したの?子供がいなければ又違ったかもしれない?平凡な暮らしが何より良い」「平凡な暮らしが良いのは分かるがそれが中々難しいのよ。大抵は後で築くの?」「そうね。まさか銀行員から何もヤクザの道に行かなくともいいと思うに?人生の落とし穴に落ちて行った。」「前を向いて行きましょう。皆が応援している。幸せは前髪チャンスが来たら掴めばいい。前髪だから掴む事は可能。チャンスは3度あるそうです。後知恵には2度有ります。待ちましょう、真面目に働いて入ればきっといいことが有るはず。」「花子ってすごいね?」「いいえ。私はおばあちゃんに色々な事を教えて貰いました。両親が共働きで、小さい頃からおばあちゃんに育てられました。本を読むのが好きで、イソップ物語や日本昔ばなし、論語、ことわざ等を良く教えて暮れた。大好きでした。結婚式を見せてやりたかった」「きっと天国で見守っています」「そうだと思います。だから頑張れるのです。」その時に客が続々と入って来て店が賑やかになり、話をしている暇もなく、沢山のオーダーをこなしていった。

 それから数日後幸子から知恵に電話が入った。来られそうだ。知恵「私、当日オカリナを吹くの?故郷を吹くの?花子が歌うの。恐らく多くの人を誘って合唱するつもり、幸子何かやらない?」「下手でもいいなら、篠笛ならふけるけど?」「それ会うと思う。オカリナと篠笛とギター演奏。皆に話しておく。時間が有るときに練習をして置いて。皆が幸子に会いたがっているので、皆よろこぶは?」「11時に花子の店に行けばいいのね?分かった。何か有ったら又連絡するね?」と言い電話を切った。

 そのことを夜に成って話をすると皆が喜び、関が「美女と野獣でデュエットしょうかな?」鈴木「関は知恵さんと麦畑を遣るのだから、此処は俺が昭和枯れすすきでも歌おうかな?竹内幸子が歌って暮れたらの話だけど?」花子「先ずはプログラムを作らなくては?鈴木君作って下さい。」「良いですよ。」「最初に鈴木君が挨拶と司会をお願いします。そして一番バッターは遠藤君。出し物は決まった?」遠藤「タキシードを着て、知りたくないのを歌う。どう?」「いんじゃない。」「二番目は中村君の夜来香をチャイナドレスにラーメン丼を被り、デタラメの中国語で歌う。三番目にマスターが無法松の一生「度胸千両入りで」を歌う。四番目に関君と知恵の麦畑「美女と野獣」カップルで。五番目に浅岡君が帰り船。6番目に鈴木君。出し物は未定。7番目に私がI will Always Love you を黒塗りで歌います。八番目に関君がチマチョゴリの衣装でサランヘを歌い、次に歌いたい人に歌って貰い、最後に故郷を合唱して終わりにする。こんなプランでどうかしら?」「異議なし、賛成」と言い解散した。

  慰問当日

 11時前には皆が来ていた。最後に竹内幸子がどら焼きを差し入れに持って遣って来た。関「俺誰だか分かる?」「まさかの関君?本当に?変わりましたね?噂では聞いた事が有りますが?こんなに変わっているとは思いませんでした。」鈴木「二人が並ぶと親子みたいに歳の差が感じる。美しく過ぎる40代と賞味期限切れの40代。誰が見ても同級生とは思わない。」花子「良く来てくれて有難う。ご飯にしょう。今日は深川飯とギンダラ煮つけと家で漬けた千枚漬けとハタのアラ汁。帰って来たら刺身の盛り合わせを出すから?」菊池『有難いね?これだからやめられない。毎週でも構わないくらい嬉しいよ。持つべきものは花ちゃん。』花「お世辞は良いから、早く食べて行くわよ。準備が有るから、1時には皆さんがアッ待って居るから」「頂きます」と言い深川めしを食べた。

 食事が終えると直ぐに車に乗り込み、マスターが運転をして施設に向かった。表に浅岡が待って居て、準備を始めた。浅岡「竹内幸子さんですよね?変わりませんね?私以前は田島です。今は浅岡に成りました。此処で副院長を遣って居ます。これからも宜しくお願いします。」「そうなんですか?25年の月日は色々変わりましたね?亡くなった人も、自殺をした人も、ホームレスをしている人。変わるものなのですね?」「然し花子さんはすごい!人の為に努力している。感心します。」「確かに花子の生き方には感心されます。」「ではまた後で。」と言い準備を始めた。

 1時少し前に人は集まり、1時には開演に成る。副院長からの挨拶に続き鈴木が司会を務めショータイムが始まった。ショーは問題なくスムーズに流れた。中でも中村のチャイナドレスにラーメン丼を被りデタラメの中国語で歌った夜来香と関がチマチョゴリを着てサランヘは大いに沸いた。

 そして本日の見せ場。花子に寄るホイットニーヒューストンのI Will Always Love You をガングロにして歌った。照明を落としスポットライトを当て、花子の熱演。これには皆が圧倒された。特に知恵と幸子は涙を浮かべ花子の人として大きな器を感じ取れた。

歌が終わると盛大な拍手が有った。そして浅岡から花束が贈られた。そして最後に故郷がオカリナを知恵が吹き幸子が篠笛を吹いた。そして其のあとに皆が合唱で歌い終えた。そして拍手。鈴木が感謝の言葉を述べ、ショーは終えた。帰り際にそれぞれが「来月もよろしくお願いします。」とあちらこちらから聞こえた。そして花子の店に戻り打ち上げを始めた。最初にマスターがお礼の挨拶をして乾杯の音頭を取った。花子の母が料理を作り待機していた。それを花子と知恵と幸子が運び、大いに盛り上がる。すると鈴木が幸子の側に行きデュエットを申し込んだ。歌うは愛は傷つきやすくを歌った。これは鈴木が幼い頃に幸子に対しての純愛の気持ちが今離婚をして、初めて自分の心に素直な心に也、遠い昔の思いのたけを歌った。そして鈴木は幸子に「今日来てくれて本当に有難う」と言い。二人は会話を楽しんだ。

 関が知恵を誘い麦畑を歌おうと誘った。そして関のショータイムが始まった。麦わら帽子に可笑しな化粧をして出て来た。そして下手な歌に可笑しな振り付けの踊り、知恵とても可笑しくて歌えず、ただ横で涙を浮かべ笑っていた。幸子「関君って本当に面白い人ね。人生を楽しんで生きている。今日施設に行って分かりました?施設に入って居ても楽しく暮らしている人も居れば、人と距離を置き一人で片隅で寂しく生きている人。私を見てるようでした。花子はこれを見せたかったのだと感じました。花子に感謝しています。私も変わらなければいけないと思いました。」「花子も関も同じです。口に出さず行動で示す。持ち枚の明るさです。」花子「本日のメイン料理ハタの刺身と?タイの塩釜です。今塩を割ります。」と言い塩を割ると中から大きな鯛が焼けて良い匂で出て来た。浅岡「こんな料理初めて見た。来月早速決めなくてはいけませんね?」遠藤「そうだとも?他の施設からも来てくださいと言われているから早い方が良い。なんてね?」そして中島が乾杯を歌った。そしてお開き。知恵と幸子は残り女3人が久しぶりに顔合わせ話し合った。

 知恵「私も何度も悩み離婚。子供の将来に良くないと思い。嫌いではなく、むしろ好きでした。」幸子「内の人も悪い人では無いのですが?ただ窓際族に入れられ、それからは塞ぎごみうつに也、私を余り外に出したがらず、私もうつに也、共倒れ状態に。矢張り病は気からですね?それが施設で一人しょんぼりしていた人を見たときに、明日の私がそこにいた。これからは前向きに考える。離婚も考えていたが?今別れたら、あの人はどうなるか?矢張り私が確りして家を守って、息子に後を託す。立地条件は悪くない。下北駅から10分。静かでアクセスも良い。陽当りはまあまあかな?土地も30坪。建物は築25年過ぎ、下北で30坪は働いては買えない。なので息子を連れて出ても損。時間を掛けてまた来たいです。それと篠笛をもっと上手くなりたい。そして今日の花子の歌I Will Always Love You をサックスで吹きたいと思った。新しい希望が見えて来た。寂しい歳折には成りたくないと教えてもらった?花子有難う。」「私は何もしていません。ただ単に歌って楽しんでいるだけです。」知恵「花子の偉い所はそこなのよ。絶対に人より前に出ない。嫌味のない性格。貴方は凄い」花子「知恵には店の手伝いをして貰い、何時でも会える。幸子も時間が出来たら店の手伝いしてもらえるかな?直ぐでなくとも良い。何時でも歓迎している?」「有難う。本当に花子のショーには感動させられました。人に感動を与える事の素晴らしさを知りました。有難う」と言い二人は帰って行った。

   四十の手習い

 関は四十を過ぎてドラムを習いに行く。家にはサイレンドラムを買い、せっせと習始めた。そして通販で小さな木魚を買い、次の慰問先でアメイジンググレイスを歌い、木魚を叩くことにした。既に頭は坊主に成っているので、作務衣を着れば立派な坊主の出来上がり。アメイジンググレイスを英語で歌い、木魚を叩き演じる。考えているだけで笑えて来た。「これ受ける」と呟く。次に考えたのはブルーマンのショーを見に行き、自分でホームセンターに行き排水用塩ビパイプを買い枠を作り、パイプをドレミの音階に切り、組み立てキャスターを付け持ち運びに便利な動きにこしらえた。そしてブルーのパンストを被り演奏をすることにした。関作って居て楽しかった。関に取って人に笑って貰えることの楽しさが自分に取って幸せの時であった。其のころ中島はギター教室に通い腕を磨いた。次の出し物はギターで勝負と考え、ギターの名曲愛のロマンス「禁じられた遊びとアルハンブラの思い出」を特訓した。これらは迚難易度が高い曲だが中島は無心に也ギターに生きる喜びを教わる。花子も島津亜矢のショーを見たり、天童よしみのショーを見たりして楽しんで学んでいた。

 マスターは北島三郎のショーを見たり、鳥羽一郎を見たりそれぞれが自分好みを生かし励んでいた。

菊池はマジックと手妻を習い始めた。先ずは南京玉すだれを猛特訓し始めた。菊池は幼い時から父親に連れられ浅草の寄席に演芸を見に行っていたので、何の抵抗も無く習えた。

 それぞれが好きな事を披露する事が、見ている人にも飽きがこず、新鮮に思えた。

 ある日の事鈴木が屋形船で宴会をしないか?と提案した。すると多くの人が賛成したので、花ちゃんの店の休みに、古石場から船に乗り3時間船を貸切、飲み放題のコースを予約して40名が6時半に集まり船を出した。無論木場生まれの人が多いので、舟遊びには成れていた。然しお客の中には群馬、栃木の人もおり屋形船に乗るのが初めてという人も居た。その人たちには東京湾の夜景を見て、酒を酌み交わし、カラオケで歌う事が、迚新鮮で楽しい時間でした。

 最初にマスターが挨拶をしてから、遠藤がマドロススタイルで帰り船を歌った。次に群馬の人が海その愛を加山雄三の真似で歌う。実に似て居て拍手が有った。其のあとも海にちなんだ歌が、沢山歌われた。お台場で船を止め、刺身盛り合わせ、天ぷらなどがだされ、大いに盛り上がった。楽しい時間はあーと言う間に過ぎ、門仲に戻りカラオケボックス行き、更に盛り上がる。お酒飲む人花ならつぼみ今日もさけさけ明日もさけ。酒飲みは、やっこ豆腐にさも似たり、初め四角で後はぐずぐず。これが酒飲みの現状。

   東京の夜景

 次なる計画は高尾山の中腹から夜景を見ながら宴会を開く案に決まり、7時に京王高尾山口で集合。ケーブルカーで高尾山駅まで6分。降りて直ぐに広場が有り、トイレ、水道、レストランなどが有る。それぞれが高尾山口駅の側の売店で冷えた飲み物とつまみを買い込みケーブルカーで目的地に行くと、既に鈴木がテーブルを確保していた。此の男遊び事には良く気が付く男であった。幸いに雨上がりの東京の空は澄み切った空。夜景が映える。遠くに、新宿のビル群が綺麗に見、虫の鳴き声を聞き、涼やかな風を感じ冷えたビールを飲んだ。花子「海も良かったけれど、山も良いね?東京は海も山も有って便利で良い所ですね?東京の下町に生まれて最高です。」中島ギターを持って来ていたので歌い出す。歌は若者たちを歌った。すると他の者も歌い出した。次いで遠藤が山男の歌うたい出した。それを皆も歌い酒を酌み交わす。涼しい夜風に吹かれ歌い酒を飲み、楽しい時間を過ごす。知恵幸せを肌で感じていた。「花子?幸子も来られたら良かったのにね?下北からなら明大前で乗り換えれば直ぐなのにね?一番近いはず。山の上から東京を見たら狭い所に住んで小さなことに傷つき、ちまちま生きていた私が小さく見えます。広い所に来て広い東京を見たら気が晴れるのにね?自然って良いいね。またこようか?」「紅葉の時期にこようか?」「いいね。こようよ」と言いケーブルカーが動いているうちに下山下。

 帰りの電車で鈴木が「海、山と来たらこの次は川でバーベキューパーティーはどうでしょうかね?」「それに決めた。文句なし。帰りに温泉。良いね。決まり」「日曜日朝早くから、子供を連れて河原でバーベキューパーティー子供が喜ぶ」「夏休みに入ったら直ぐに行こう。」「何処に行か?」「名栗川渓谷、秋川渓谷、奥多摩渓谷何処にするかは今すぐでなくともいいのでは?」「面倒くさいからバス1台借りて免許を持ってる人に1日2万を払い食い物からキャンプ道具やら炭やら薪やら積んで行く。」花子「それなら家のマスターが大型二種の免許証が有るから?」「それって最高」「次は子供を連れて行きます。」「家も連れていくかも?」「子供たちとバーベキューパーティー子供喜ぶと思う。次回も楽しみ?」「楽しい事は良い事だ。」等と帰りの電車でも楽しいひと時でした。

   名栗川渓谷

 日曜日。一行は名栗川渓谷に遣って来た。子供達は水着に着替え水遊びを楽しんでいた。大人はバーベキューパーティーの支度に生を出す。テント張りや火起こし、飲み物を冷やし準備が細々と有った。子供達も川に慣れて来て、岩の上から飛びこんだりして遊んでいた。すると大将子供たちに「良いか?飛びこむときはこう飛び込むのだ。良く見とけ?」と言い頭からかっこよく飛び込んだ?だがしかし川は浅くオデコを岩にぶつけ血だらけに也上がって来た。それを見た子供達は大笑い。「叔父さん。ここの川浅いよ?」「今分かった。もっと深いかと思った。浅くてビックリ。やっぱり足から飛び込む方が良い。」と言い花子に手当をして貰う。花子「幾ら泳ぎに自身が有るからって、深さを知らずに飛び込むのはチャップリンの映画?笑っています。子供達が。」「笑って貰えて有難う。もう少し優しく治療して暮れ。痛い。」「痛いのは生きてる証拠」「このくらいの怪我では俺は死なない。バイクで横転して足の骨を折っても、現場仕事で高い所から落ちて、肋骨3本折っても生きている。然しあんなに浅いとは思わなかった。子供達に飛び込み方を教えてやろうと思いやったらこのありさま、でも子供が笑って暮れたので、これで十分良かった。」「私だって笑えた。かっこよく飛び込んだのは良いのだが?出てきたら血だらけ。チャップリンの映画を思い出して、笑ってしまった。」「何だ。門仲には二人チャップリンいるのか?なら関が元祖で俺が家元か?」そこに関が現れ「大丈夫ですか?かなり生きよく飛び込みましたけど?」「俺の頭より岩の方が固かった。目から星がみえた。」「帰りの運転大丈夫ですか?」「大丈夫。」「もし何でしたら私が運転します。二種免許は無いですが、大型免許は有ります。」「大丈夫。有難う。バーベキューパーティーだから大いに飲んで食べて、温泉入ってから帰りましょう。運転は俺の仕事」「落ち着いたら、子供達に釣りを教えてください。私も釣ります。釣り道具は何人かの竿が有りますので、交代で釣りを教えましょう」「良いね。でも渓流釣りは俺は初心者」「でも大丈夫です。そそかしい魚も居ます。」「海釣りなら自信があるけれども?」「子供は嬉しい物です。駄目なら管理釣り場でニジマスを釣れば、バカでも連れます。」「釣らせて、その場で焼いて食わせるか?」「喜びます。」「決まれば早い所バーベキューを食わせて釣りを遣らすか?」「そうしましょう」と言い肉を焼き始めた。大人も子供も笑顔で食べた。

 知恵と花子の会話「花子。今日は本当に有難う。私ではこんなに楽しい事を、息子にして挙げられない。大将と花子の御蔭で連れて来て貰えて本当に感謝しています。有難う。」「そんなつまらない事にいちいちこだわらないで。うちらも皆が来てくれて有難いのです。店が繁盛しているのも皆さんの御蔭です。両親も一緒に暮らせて貰い、売り上げで家のローンが払えて、大助かり。子供が二人いるから一つずつ分けて上げられる。有難い事です。都内に家が二軒持てた事は恵まれています。」「学校の成績がどうとか?名門校がどうとか?そんなことどうでもいい事。大人に成って一生懸命に真面目に働いて、家族の為に一生懸命働く男性が一番良いですね?家庭も明るく心身も健康で花子の旦那さん最高に良い人ですね?皆からも慕われ、面倒を見て上げる」「私が好きになったのも、若い時に散々馬鹿な事を遣り、親方に世話に成り、仕込まれ10年と言う月日を我慢して辛抱して、独立して若い衆に慕われ、今日に至り町会の防犯を任される。若い時は警察に何度か世話に成っていた人が、今は地域の防犯を任され、地元の不良グループとも上手く付き合い、不良グループも主人の言う事に良く聞いて暮れて、余り問題も起こさないようです。それも亡き親方の御蔭です。亡き親方は地元のヤクザも一目置いて居たので大した親方でした。其の親方にみっちり仕込まれて門仲では慕われています。親方の所で辛抱したおかげです。」「私も生まれ変われて迚楽しいです。皆とも会えるし、話を聞いて貰えるし」「一人だけで考えず人と話し合う事が良いのだと思います。そろそろ管理釣り場に行のかしら?此処では釣れないと思います。管理釣り場に行けば間違いなく連れます。余り連れ過ぎても困ります。子供は楽しいから沢山釣り上げますから?後の支払いが?」等と話をして居ると如何やら場所を管理釣り場に移す事に決まり、後かたずけに入り、終えた時点で車に乗り管理釣り場に行った。

管理釣り場に着くと、子供達に竿を一本ずつ持たせ、餌を貰い好きなポイントを探し釣り始めた。釣り堀屋さん沢山釣り上げて貰いたいから、魚には餌を与えず、入れ食い状態に成って居たので初心者でも釣りの醍醐味を知る事が出来たが、魚を釣り上げても魚に触る事の出来ない子もいた。

 その後は例の如く、塩焼きにして食べた。が食べきれず持って帰った。釣りの後は日帰り温泉に立ち寄り湯に入り、軽くハイオクをいただき帰路に着いた。

 家に着くなり、大将は大きなジョッキーに濃いめのハイボール一気に飲み干し、「喉が吸い取り紙の様に成っていた。」と言い続けて二杯を飲みほした。

  キュウリ祭り

 花子が家のプランターでキュウリの栽培をしていてキュウリを使い店の客に出した。プランターは大将がホームセンターに行き、板を大き目のプランターのサイズにカットしてもらい。花と野菜の培養土を買い、家で組み立て、土を入れキュウリ苗を植え水をたっぷり与え成長を待った。毎日観察をし、水と肥料与え消毒をして楽しみに待った。成長するにつれ支柱を立て成長を促進するために努力した結果、思っていない程沢山出来たので、キュウリ祭りとして、店の売り物にした。

そこに何時もの連中が集まり、「ママさんキュウリ祭りってなんなの?」と聞いた。「前から育てていたキュウリが食べられるサイズに也、料理しました。」「何が出来るの?」「出来ます物は、オイキムチ、ぬかずけ、もろきゅう、かっぱ巻き、酢の物などが出来ます。」「それでは全て二人前ずつ作って下さい。皆で食べますから。」「はい。直ぐにオイキムチとぬかずけをお持ちします」と言い、運んで来た。「これ取れたの?」「そうです。立派なキュウリでしょう。成長していくのを見て居て楽しかった。食べてて後の料理を作って来ます。」と言い下がり、もろきゅうと、酢の物、最後にかっぱ巻き6本巻いて出て来た。「これはかっぱ祭りにふさわしい。お見事良く出来ました。」鈴木「どうだろうか?来春皆の名前を使い貸し出しの農園に応募して、農園を借り皆で野菜作りをして、収穫祭を開き木場公園でバーベキューパーティーを開きませんか?夢の島区民農園、城東区民農園、辰巳区民農園などに手分けして応募して当たった所で野菜作りを設楽面白いかも?」「其れ面白そう。賛成」他の人も皆が賛成をしてくれた。「所でこのかっぱ巻き上手いね?後二人前出来ますか?」「ごめん他のお客様からも注文が有って、シャリが無いのです。こんなに受けるとは思いもしませんでした。」関「大将。鶏は嫌いですか?」「いや嫌いではないけど。昔中学生の時に喧嘩鳥の軍鶏を買っていたことが有る。喧嘩に負けると皆で焼いて食べて居た。」「そうですか?普通の鶏でなく烏骨鶏を皆で金を出し合い、卵をいただき、糞を肥料に使うのは如何ですか?」「そうだな?悪くはない話ですね。烏骨鶏の卵は一個500円はするし、糞は野菜の肥料にもなるし。それで俺に烏骨鶏を飼えと言うわけか?」「お察しの通り。流石大将。頭の切れが違う」「では面倒は見てやるから買って持って来な。それまでに鳥小屋を作っておくから。」「卵が産まれたら玉子ご飯を頂きましょう」兎に角遊ぶことの好きなタガの外れた男たち。暫くして秋も終わりに也、大将に友達が500万でクルーザーを買わないか?と聞いてきたので、大将考え一人50万で10人で500万。皆のクルーザーで海に出掛けマリンスポーツをしょうと話を持ち掛けると10人が直ぐに集まり、クルーザーを買い夢の島マリーナに船を置いた。先ずはスズキをルアーで試し釣り、朝6時11月に入り寒さが厳しく海の上は寒くスピードを上げると更に寒く震えた。ポイントに着き早速釣りだすがスズキまで行かずフッコサイズがヒット下。この日の成果は3匹。これを持ち帰り、花ちゃんに料理して貰う。考えた挙句スズキのムニエルを作った。すると皆がこれは行けると口々に言い出し、又行くことにした。

  年が明けて7月

 花子が隅田川花火大会を船から見ようよ?と言い出した。大将「初めての試み、それ決まり。然し人数が限られる。」花「隅田川花火と東京湾花火の二回に分けて遣れば良いのではないのかしら?」「そうだな?他にも江戸川の花火も有るし、柴又も有る。その他にも夜釣りでウナギも狙える。隅田川の上流で。今年は面白そうになりそうだ?」「彼岸過ぎたらハゼを釣り、天ぷらパーティーをしょう。」「忙しいね?慰問も有るし」「忙しい事は良い事だ。退屈はいけません。することが無いと詰まらない。次の日曜日は黒鯛狙いで船を出す。連れたら塩釜焼きにして皆で食べる。然し黒鯛釣りは難しい。一匹釣れれば吉。釣れなければスーパーで買ってくるか?」「それより先に親方の墓参りに行かなくては?お盆です。7月です。」「九月の秋の彼岸にハゼ釣って天ぷらにして墓にお供え物として持って行きたいね。親方ハゼの天ぷら大好物だから」「彼岸になったらハゼを皆で釣りに行って、釣れたら持って行き、ダメならまた後で持って行けば?」「冷凍のハゼ築地で買って来ても喜ばない。あくまでも江戸前のハゼでなければ、よそのハゼだと、旅の物か俺はいらねえよと言われそうだし。江戸っ子が売物だったからな。ガキの頃風呂屋で親方に合うと怖かった。湯が熱くて水を足すと、良く怒られた。ぬるい湯に入るのなら表の大川にでも入れ、と怒られ真冬寒い時湯が暑すぎて湯舟に入らず体を洗い寒いまま帰って来たことが有る。歳折の我慢比べだ。湯舟から出ると肌が真っ赤に也、刺青を見せたいのだ?それを見て俺が叔父さん何の絵が書いて有るの?と尋ねると唐獅子牡丹と言われ、そうなの?俺はてっきりブルドックがキャベツを加えている絵かと思って居ました。と答えたらそれ以来余り見せようとはしなかった。年を取ると肌がたるみ獅子がブルドックの様に見え、牡丹の花がキャベツの様に見えたから。そして見習いに行くとあの時のブルドックの叔父さんが、神棚の下に座り、そこに座れと言われ、明日からみっちり仕込むから、覚悟をしとけ。と言われたときに、今晩逃げだそうかと考えたが、お袋が頼み混んでの就職先。逃げるに逃げられず10年辛抱下。最初は怖くて、慣れてきたら何時か首絞めて遣ろうかなと思った事も有った。そのうちに段々と仕事が出来るようになって来た時、新入りが入って来た。親方に面倒を見て遣れと言われたので、教える側の立場に也教えると?親方が言っていたことを俺も同じことを言っていた。あれほど憎んでいた親方と同じ口調で叱っていた。

厳しく教えるのは怪我を恐れての愛情で有る事が後から分かって来た後輩を指導するときに、仕事の厳しさを何時の日か親方と同じことを言っていた。その時に親方の厳しくて優しさが分かった。」

 永遠の別れ

 花子朝食を済ませ、洗濯物を干しにベランダに行き干していると電話が也、電話に出ると電話の向こうですすり泣き幸子が「花子。今しがた夫が死にました。」「え。本当に。」「はい。これから法医学解剖をする為に夫を運びます」「一人で大丈夫ですか?」「耐えられそうもないのです」「私で良ければ行っても良いですけど?」「睡眠薬で自殺行為であるが、矢張り警察は私を疑って居るみたいで、解剖して調べるみたい。」「分かった。行った先から携帯に電話頂戴。行くから。それと知恵にも連絡入れとくから。」「お願い。」「一緒に行くと言われたら、連れて行くけど、いいね!」「私は良いけれど、知恵には迷惑かも?」「彼女が行くと言ったら。行くとは決まって居ません。」「分かった。後の事は花子にお願いする。色々な面倒な事もお願いすると思います。宜しくお願いします」「後の事は内に来る連中も手伝って暮れると思うよ」「有難う。また後で携帯に電話をするから?」と言い電話を切り残りの洗濯物を干し終えて、隆に電話を入れた。「分かった。何でもいいから手伝って遣れ。分からないなら電話しろ。仏さまが返してくれたらお坊さんを呼ぶ事。枕経を上げて貰う。恐らく気が動転しているから、何もかもパニック状態のはず。お前は親方の時に見て来ているのだから、少しは分かるはず。分からん時は電話しろ。」「分かった。」と言い身支度を整え、知恵に連絡を入れたが仕事が休めず、行けないとのこと。そこで鈴木君に電話を入れ、今晩店に来られる人に連絡を入れて貰い、相談をすることにした。

 暫くして幸子から電話が入り、後を追って出掛けた。幸子。花子を見た途端花子に近づき泣き崩れた。「幸子。泣きたいだけ泣いたらいい」と言い花子も泣いていた。花子「人の運命は分からないものですね?中学生の頃幸子と知恵は必ず幸せになると信じていたのに?」「私もうつ病に成って自殺するとは思って居なかった。編集長を遣って居た時には、自信に満ちてバリバリ仕事をこなし、良く酒を飲み、遊んでいて、明るく元気な人でしたが、活字離れの時代に、パソコン時代?若い世代について行けず、窓際族に也次第にうつ病に也時代に捨てられ最後は死に至った。もっと話を聞いて遣れば良かったと今は反省しています」「幸子が悪いのでは有りません。エリートの弱さかもしれませんね?内の人みたいな人はどんな時代が来ても生きぬく力と自信が有ります。いざとなればその辺の草を食べても生きられます。貧しい不良グループのリーダーはハングリー精神の塊。何でも相談したらいい。手伝って暮れます。義理人情に厚い人ですから。親方譲りの心意気が教えられています」「夫の姉に電話を入れたら仏が家に帰って来たら顔を出すと言われました。余り居利きが無く家にも来ませんでした。義理の兄とも余り気が合わず会話もしませんでした。義理の兄と姉はお盆、彼岸でも仏壇に線香を上げにもこず。夫は大きな出版社で編集長と言った肩書が有ったから羨ましく思って居たようです。」「話は変わるけどお寺は何処なの?」「京王線高尾駅に近い所です。」「お寺に電話を入れて、仏が家に着いたら直ぐに来てもらい、枕経を上げて借り通夜をしなくてはいけない。」「あらそうなの?花子が来てくれて助かりました。この後も知らない事は教えて?」「分かる事なら?その他にも多分中学の友達も来てくれると思うから、受付やら雑用をしてくれるはず。車の手配もしてくれると思う。皆中の良い人立ちだから骨を折って暮れると思う。」そして暫くして解剖の結果が出た。大量の睡眠薬による自殺と判明。霊柩車に乗せられ家に帰宅。花子は一旦家に戻り店の準備をして、皆が来るのを待ち、話し合い9時を過ぎた頃3名で仮通夜に出掛けた。

 家に着くと、葬儀屋が来ており、通夜、葬式の段取りにおわれていた。花子。幸子に「私がろうそくとお線香の番をして置くから、よく話し合って決めた方が良い。仏さまの事は私に任せて?」「有難う。お願い」鈴木「花子。お前は色々役に立つ人だな?俺の時には、葬儀委員長は花子に頼む。お願い。」「何バカな事を言ってんの?早く再婚して奥さんに遣って貰いなさい。」「再婚?むりむり。俺は結婚に向かない男。結婚して分かった。」そこに話を終えた幸子が遣って来て「花子。今日は朝から来て貰い。本当に有難う。明後日土曜日の6時から祭典でお通夜を行います。既に退職していたので、会社の方も来ないでしょう。それに自ら命を経ったのですから余り知らせたくは有りません。」鈴木「受付なら俺が遣ってもいいよ?」「有難う。お願いするは」関「その他の雑用は俺が臨機応変に遣るから負かしてくれ」「有難う。今ビールを持って来るから。それと鮨の出前を頼んだから、少し待って居てね?」「そんなに気を使わなくても良いのに?」「酒さえあれば供養に成ります」花子「何かわからないことがあれば葬儀屋さんに聞けばいい。納骨式も49日法要も聞いて日の良い日に遣れば?お寺は高尾駅から近くって聞いたけど?納骨式の日取りが決まったら教えて?高尾駅で会いましょう。行くから。」「花子には何から何まで世話に成りっぱなし、何のお返しもできません。」「やめてよ。御返し欲しさに遣って居るのでは有りません。」「だいぶ前に貰ったウイスキーとブランデーが有るのですが?まだ飲めるかしら?」関「うちらは何を飲んでも、食べても腹は壊しません。大丈夫です。」「飲んでもらえる」「有難く頂きます。」と言い栓を抜こうと設楽、コルクが弱っており中途半端な所で折れてしまい、仕方が無いので栓を押し込んだ。そして年代のウイスキーを頂いた。そこに出前が届き浅岡「死んだらこんなに旨い鮨が食べられない。天寿を全うして妻に礼を言ってから天国へ行って欲しかった?」関「小肌頂いて良いかな?俺光もの好きなんだ。」「光もんが光を食べる?余計に光るぞ。」「光ものは光った人の食べ物です」等と言い終電で帰って行った。

 そして無事にお通夜、お葬式を終え、初七日、49日法要を日曜日に執り行うが、遺骨をいざ墓に納める前に突然の大雨が降って来た。花子きっと一郎さんが大泣きして幸子に済まない。と大泣きして最後の別れを今言ったのだと花子は思って居た。其のあと料理屋に行き、49日法要を少ない人数で故人をしのんだ。

 三カ月後

 幸子からの電話で花子に相談が有ると言ってきた?その時に知恵にも聞いて欲しいと言ってきた。店が開店する前が良いと思い、3時に来て貰った。

話の内容は?姉が住んでる家を売って、半分よこせと言ってきたと言う。下北駅から徒歩10以内。土地面積30坪。売りに出せばすぐにでも売れる。私にも貰う権利が有る。と言ってきた。「あの土地は何年か前から住んでいるの?」「50年以上前からお父さんが群馬から出て来て買った土地です。」「50年前だとするとはっきりとは分からないが、多分20パーセントの税金が来ると思うから、例えば1000万円で売ったとしたら税金は200万。1億円なら2000万。それに解体費用が仮に200万掛かったら、後は土地の測量。信頼できる不動産屋さんに行き競売物件として売りに出したら。一番高く買って暮れたところに売れば?姉を連れて全てを見せて差っ引いたお金を半分に分けたら、知恵元銀行員何かいい案有りますか」「今の考えで相手が素直にハンを押して暮れれば良いのですが?」花「姉は私はこの家で生まれた。弟は死んでもうこの世には居ない。貴方はよそから嫁いで来た人。貴方には半分の取り分なんてないわ。と言いそうかもしれません。お通夜に来た時も家の中の金目の物を見ていたし、実の弟が死んでも泣くわけでもないし、生きているうちは行き来も無かったのでしょう。死んだらお金目当てで遣って来て、家を売ってお金をよこせは今は流行り」知恵「今の法律ではそれが当たり前。だから当然貰いに来ます。生きてるうちに遺言書を作って置かないと?」幸子「自殺するとは思わなかったし、それよりうつ病に掛かって居るのに遺言書を作ってとは言えない。そんなことを設楽早く死んでと言わんばかりに聞こえます」花子「最後は裁判に成っても幸子は勝てない。姉には貰う権利が有るから、恐らく半分分けしてすんなり解決するしかないと思う」知恵「区の相談窓口へ行き法律相談が有ると思うからそこへ行って見て話をしてみたら。下北に30坪の土地は遅かれ早かれ問題に成って当然なのかもしれない。下北は人気の町だから」お金の威力は大きく、神仏の気持ちまで動かす。これが現状。

 そして幸子と息子は一時実家に戻り家を解体撤去を済ませ、更地にして不動産屋に売り、税金を納め残ったお金を二等分して和解した。その後は二度と会う事は無かった。そして知恵と同様に昼間は事務職を遣り夜は花子の店で働いた。すると店は益々繁盛した。

男やもめに蛆がわき女やもめに花が咲く、の例え道理二人とも年の割にしては若く見え美人系で有った。

 幸子が花子の店で働くようになってからは、鈴木和男は毎日の様に店に早くから来て楽しんでいた。

 幸子と知恵が二人でユニットを組、ザ・ピーナッツの歌を得意として座を盛り上げた。これが叔父さん方には大いに受けた。特に恋のバカンスは二人の暗い過去を短い時間で有っても心は晴れた。恋のフーガ、ウナ・セラ・ディ東京、情熱の花、大阪の女、ふりむかないでなどがリクエスト曲に良く上がり、店に来るなり二人が揃うと、練習に励んだ。すると幸子の肌もつややかに也女を取り戻して来た。すると知恵も美に磨きがかかり、なお一層に女を磨いた。それを見て花子は何時の日か又再婚をして明るい家庭を築いて欲しかった。恐らく鈴木は時間を掛けて幸子にプロポーズするだろう。そして遠藤が知恵にプロポーズして二組のカップルが誕生することを焦らず待った。

  隅田川花火大会

 7月最終土曜日待ちに待ったクルーザーからの花火。船にはアルコール類と酒のおつまみを沢山持ち込み、早くから陣取りで船を出し近すぎず、遠すぎずよさそうな場所を選び船を止め酒盛りが始まる。知恵も子供を連れ、幸子も同じく子供を連れての参加。知恵も幸子も川風に当たり今までの悩み続けた事がまるでウソのような気がして、悩んでいた自分が馬鹿に見えた。人生を楽しく生きる花子に感化され自分たちの生きて来た日々を詰まらない事に築いた。

 鈴木が家からカラオケマイクを持って来て、幸子の子供のご機嫌取りをしていた。先ずは子供を手なずける事に専念した。すると知恵の子供に遠藤がご機嫌伺いをしていた。花子笑みを浮かべ離れた所から見守っていた。

 酒がまわり関が女装して女の港を歌った。これには子供達も大喜びで子供たちは関になついていった。それを見た鈴木と遠藤は子供達を自分に興味を持ってもらう事に頭を使った。

 鈴木直ぐに考え着いた事は「今度三人でディズニーランドに遊びに行かないか?学校の休みの日に?」「行きたいです。」「では行こう。後はおかあさんの都合を聞いて、都合のいい日を選んで行こう」「楽しみにしています。」と言い幸子を呼び「今和明君と話をしてディズニーランドに行くことに約束を下のですが?幸子さんの都合の良い日は何時ならいけますか?」「私たち二人を連れて行ってくれるのですか?」「はい。」「日曜日なら会社が休みで行けます。」「ではこの次の日曜日でいかがですか?」「私は構いませんけれど。」「では決まり。舞浜駅に9時で如何ですか?」「はい。分かりました」と言い話が着いた。それを見ていた遠藤が遅れを取ったと築き、知恵の息子茂雄に「富士急ハイランドにジェットコースター。FUJYAMA、ド・ドドンパ、に乗りに行かないか?叔父さんが連れていって上げる。車で行こう。」「本当に連れてってくれるの?」「富士急ハイランドなら混んでいなければ1時間半も有れば行ける。」「行きたい。」「なら行こう」「後はお母さん次第。お母さんの都合の良い日を聴いて来て」と言うと。茂雄お母さんに話を聞きに行くと知恵が遠藤の側に来て「富士急ハイランドに連れてってくれると息子から聞きました?本当に息子を連れていってくれるのですか」「はい。知恵さんも一緒に行きましょう。怖い乗り物には乗らなくとも、富士山を見てほうとうでも食べて、帰りに温泉でも入りのんびり帰って来ましょう」「花子ママに聞いて都合の良い日曜日にします。有難う」「茂雄君が喜ぶ顔が見たい。男の子はジェットコースターが好きだから?」「私は怖くてダメです。ベンチで見ています」「私も余り怖いジェットコースターは無理です。今はやりのジェットコースターは私も付いて行けません。ポップコーンでも食べて富士山でも見ていますか?」「はい。そうですね。」といい話が決まる。

 八代将軍徳川吉宗が両国で花火を上げたとする日本最古の花火大会が1978年に初回開催され毎年7月に隅田川近辺、浅草、向島、桜橋下流、言問橋上流、駒形橋下流、厩橋上流なので20000発の花火に火がついた。花火の美しさに、大きな音。これぞ夏祭り、山下清が書きたくなる気持ちが良く分かる。これぞ日本の花火美しく儚い光。暫くの間酒を飲むのを止め見とれていた。花火が小休止すると飲んで会話をして楽しんだ。マスターが「船を操縦しての花火初めてだけど良いもんだね?東京湾の花火大会、江戸川の花火大会全て行って見てやる。」「それは良い。一層の事熱海の花火大会にも行きませんか?」「バカな事言うな?熱海までの燃料費が高くつく。それに外海に出ると波が荒い。加山雄三の光進丸ぐらいなら外国でも大丈夫。中古のクルーザーではどこで故障するかもしれない。東京湾とか隅田川、江戸川、荒川当たりが妥当」「やぁぱり無理ですよね。」と関があいずちをした。

 19時から20時30分あっと言う間の1時間30分最後のフィナーレの続け玉の花火。息を飲む美しさ。子供達は大はしゃぎ。知恵の子も幸子の子もマスターに有難う。又来年もよろしくお願いします。と言い嬉しそうで有った。そして夢の島マリーナに戻り花ちゃんの店に戻り宴会が始まる。鈴木がマイクを持ち「これよりステージが変わり第二部先ずは中島の乾杯で始まりたいと思います。では中島保が歌います。どうぞ。」と言われ中島がギターを持って歌った。次に花子が荒井満の曲この街で歌う。そして皆で2番3番を合唱下。そして皆が拍手下。関「今日は楽しい一日でした。又来年も宜しく」と言いカミさんと帰って行った。知恵も幸子も花子とマスターにお礼を言い帰って行った。すると他の連中も解散して帰って行った。マスター花子に「あの二組決まると良いな?」「多分決まると思う。出来たら同じ日にこの店でパーティーが出来たらいいね。関くんの時みたく。」「それが良い。そしてさっき歌ったこの街で、を皆で合唱して終わりにする。それ良いと思う。知恵も幸子も幸せになれると良いな?」「子供の時から三人は何時も一緒にいたから家族みたいな感じがする。」「結婚なんかお互いに気楽に生きれば然程難しくないのにね?人間身の丈を知って、無理をせず。天に起動が有るがごとく、人それぞれの運命が有る。余り人と比較しない方が良い、自分は自分。己の人生を生きればいい事。難しく考えないでうちらみたいな極楽とんぼでも店は繁盛して皆が来てくれる。もうじき返済も終わる。有難い事だ。」「又バス借りて熱海でも一泊二日の旅行に行かない?」「良いかもね?早く結婚が決まるかもね?等と話風呂に入って寝た。

 舞浜駅にて

 9時30分前に鈴木は舞浜駅に来ていた。そして幸子と息子和明は10分前に遣って来た。幸子「待たせて済みません?」「いいえ。私も今来たところです。和明君?ランドとシーのどちらに行きたい?」「どちらでも良いです。」「和明君の行きたい方にいきます。」「ディズニーランドへは3回行っています。シーは一度です。」「では今日はシーにしますか?」「はい。」「叔父さんもシーが好きなんだ。」「お酒が飲めるからですね?」「当たり。そうなんだ!お昼にイタリアン料理屋はどうかな?」「僕。ピザが好きです。」「決まりですね。ではシーに行きましょう。」と言いシーへ行くことにした。中に入ると一番先にセンター・オブ・ジ・アースに行き、地底走行車で見たことのない地底世界を探検した。其のあとはレイジング スピリッツ、タワー・オブ・テラー、海底2万マイル等を乗り、昼に鈴木は幸子に良い所を見せようとして、リストランテ・ディ・カナレットに行。和明久し振りの外食で緊張していたがピザを食べると緊張が解れ、話し出す。「叔父さんはシーは何回来たの?」「叔父さんはビックバンドが好きで5回かな?今日入れて6回」「鈴木君はジャズが好きなの?」「ビックバンドの迫力ある演奏は大好きです。2004年に映画スウィグガールズ見ましたか?面白い映画でした。この後ビックバンド見に行きませんか?迫力有ります。ミッキーがドラムを叩きます。上手です。見る価値が有ります。」和明「見てみたい」「では食べ終えたら行きましょう。」と言い。食事を終わらせビックバンドビートにショーを見に行。

 然程待たずに中に入り、ショーの始まりを待った。愈々ショーの始まり。ミッキーが出て来てショーの始まり、ミッキーのぬいぐるみの中は恐らく小柄な女性が中に入って居るのだろうと誰しもが考える?そして着ぐるみを着て、ドラムを演奏をする。見て居ても感動が伝わる。和明「良くあのかっこうで激しいドラムを叩けますね?」「でしょね?かなりの汗が出るはず。迚ハードな仕事です。腕を見てごらん?あんなに細い腕をして居る?女性に間違いない。然し上手い。最後にシング・シング・シングで終わる。」「凄いね?」「また来たいなら連れて来て上げる」「有難う。また来たい」「何時でも良いよ」「本当に?」「叔父さんは嘘は言わない。」最後の演奏が始まる。シング・シング・シング・が始まり、和男は子供の頃に見た映画のベニイ・グッドマン物語を思い出して聞いて居た。映画の最後のシーンを鮮明に覚えて居た。最後のシーンは純愛物語そのものであり、和男が中学生の時からの幸子に対する気持ちが今も変わらぬ事に築き、そのことが離婚の原因で有った。ショーが終わりアクアトピア、レイジングスピリッツ、トイ・ストーリー・マニア、タワー・オブ・テラー等に乗り帰って行った。そして最後に家の近くのもんじゃ焼きに行き、もんじゃ焼きを食べた後家まで送り帰って行った。

 次の週の日曜日

 遠藤は朝早くに起きて、コンビニでサンドイッチをたくさん買い、飲み物も沢山仕入れ知恵の家に迎えに行。既に知恵の息子の茂雄は表で待って居た。

 遠藤「おはよう。お母さんは?」「今呼んできます。」と言い呼びに行く。「おはようございます。今日はお世話になります。」「準備は良いですか?」「カメラとここに有るものは持って行きます。」「何ですか?」「お弁当です。それにお茶とフルーツヨーグルトです。」「作ったのですか?朝早くに起きて?」「はい。作りました。」「それは大変でしたね。では行きますか。」と言い中央自動車道の高井戸を目指し走った。「茂雄くん。サンドイッチが有るから食べないか?飲み物も好きな物飲めば良い」「有難う。頂きます」と言いハムサンドを頂く。知恵さんも食べて下さい」「ありがとうございます。私は作っている時に味見をしていて今は結構です。後で頂きます」

 朝が早いので談合坂サービスエリアに1時間で着いた。トイレ休憩を取り遠藤が茂雄に談合坂の言われを聞く「何で談合坂と言うか分かりますか?食べる団子とは違います。色々な説が有るようで「戦国時代に北条氏と武田氏が談合したとされる事がバスガイドさんが言う説が一番有力な説かな?他にも3つ位の説が有るが?叔父さんは子供の頃坂を登って来て峠の茶店で団子を食べた事がダンゴ坂の言われだと思って居た。」「僕は初めて聞いたときに可笑しな地名だと思いました。」「もう少しで着くから先を急ごうか?」「はい。」と言い先を急いだ。

 大月JCT経由河口湖I.Cを降りて富士急ハイランドへ行き、最初に高飛車に茂雄は行くが、遠藤と知恵は乗らずに見ていた。

遠藤「今だから言える話を聞いて貰えますか?」「どんな話なのですか?」「聞いても気を悪くしないでください。」「はい」「私が伊藤知恵を始めて見たのは中学3年クラス替えをして、同じクラスに成った時。この学校にこんなに綺麗な人がいたのかとビックリしました。まるで掃き溜めに鶴と思いました。然し1年間同じクラスにいたのに一度も話をしたことが有りませんでした。ただ遠くから見ていただけで、でもそれでも楽しかったのです。男子全てが憧れの高嶺の花でした。でも今日この場で話せたことが幸せです。気を悪くしないでください。」「私は中学1年生の時から遠藤君の事は知って居ました。野球部で活躍している時から、2階の窓から見て居ました。遠藤君は学年1の女子からの人気者でしたから。体育の時間女子は女子、男子は男子に分かれて授業をしましたね?その時に体育教師の野平先生が誰が一番好きか?とアンケート結果遠藤君がダントツの人気でした。それは良く覚えて居ます。」「野平先生のアパートが私の家の近くでしたので、一つ上の先輩が野平先生のクラスに居たので一緒に先生の家に遊びに行った事が有ります。その時に先生に言われました。1年生女子に一番は遠藤君がダントツトップと言われました。」「ただ面白いからです。」「いいえ。席替えして遠藤君の近くに席が変わると皆が好きに成ってしまうようです。女子に迚優しく、会話が迚面白いと言ってます。」「誰とでも会話はしましたが、伊藤知恵さんとは話すことが出来なかった。レベルが違い過ぎました。」「私も遠藤君と話をしてみたかった?然し遠藤君の回りには何時も沢山の人がいて、男子からも女子からも何時も誰かが側にいて楽しそうに話をしていたのを良く覚えて居ます。」「ありがとうございます」と話が終わった時に茂雄が戻って来た。遠藤「楽しかったかい?」「物凄く怖かった。次はFUJYAMAが乗りたい。叔父さんは乗らないの?」「叔父さんは歳だから、迚無理です。浅草の花屋敷程度でないと無理です。ディズニーランドの乗り物で懲りた事が有ります。FUJYAMAは最高速度130Km最大落差70m迚歳折には無理です。一人で乗って来て」「はい。ドンドン乗って来ます」「沢山乗ってきな?」「はい」と言い乗りに行「子供は刺激の有るものが好きですから?俺も子供の頃は良く後楽園遊園地に行って乗って居ましたけれど?年を取るとめまいを起こします。」「今日は富士山が綺麗に見えますね?登った事が有りますか?」「はい。2度登りました。」「どうでしたか?」「夏の富士山なら中級クラスかな?真冬の富士山はとても無理。」「色々な事を遣りますね?」「はい。子供の時から遊ぶ事が大好きで、そのまま大人に成り、今でも遊ぶ事が大好きです。困ったジジイです。」「人生を楽しく生きた人の方が徳です。そろそろお昼食べません?」「知恵さんの手作り弁当を頂ける何って、中学生の時には想像もしなかった?生きて居て良かった。」「美味しくないかもしれません。」「そんなこと有りません。例え当たって死んでも幸せです。」「分かったわ?女子から好かれる分けが本当に話が面白いですね?」「いいえ。口下手で詰まらない男です。」「この根曲がり竹は母の親戚から送られてきたものです。食べて見て下さい。」「私は根曲がり竹、チシマザサが大好きなのです。孟宗竹よりも好きです。長野県の人は鯖缶と一緒に煮て食べるのが好きなんです。」「蕗も美味しい、煮卵も半熟で柔らかで美味しいです。そしてこのお結びのふりかけ自家製のふりかけですね。手間暇かけて作りましたね。有難うございます。迚美味しいです」「有難うございます」「此処を出たら吉田うどんかほうとうを食べに行くつもりです?茂雄君に決めて貰います。其のあと温泉に行くつもりです。河口湖の近くに日帰り温泉が何件か有るのです。富士から下山して来て温泉に入り、8時を過ぎると道が空いて入るので1時間半で着きます。」そこに茂雄が戻って来た。「茂雄君。吉田うどんとほうとう。どちらが食べたい。吉田うどんは迚硬いうどんと馬肉が入った物とほうとうはかぼちゃ、さといも、大根、ニンジン、長ネギの他にも色々な野菜を入れた山梨の郷土料理どちらが食べたい?」「馬肉は食べたことが無いのでうどんが食べて見たいです。」「分かった。まだ時間が有るのでもっと乗って来れば良い」「少しお腹が空いているのでフルーツサンドを食べてからにします。」「今度フルーツサンドの美味しい店知って居るから食べに行くか?」「行きたい」「ようし決まり。フルーツサンドとフルーツヨーグルトを食べに行こう」

 そのご吉田うどんを食べに行き、食べ終わって日帰り温泉に行き1時間風呂に入り8時を過ぎて帰路に着く。

  バス旅

そして10月秋。バスを借り湯西川温泉に一泊二日の温泉旅行に出かけた。ここ湯西川温泉は平家の落人が移り住んだと言われ、かつては鶏を飼うことは禁止で有った。

天気は最高。紅葉もベストシーズン見事な紅葉にバスの中まで真っ赤に移り、皆も見事な紅葉にうっとり。道の駅湯西川でバスを降り、湯西川ダックツアーに参加した。水陸両用車に乗り湯西川ダム湖を走る。子供達は大はしゃぎマスターご満悦又もや子供から「叔父さん凄いね?ボートの運転からバスの運転。そして水陸両用車の有るところまで連れて来て有難う。僕初めてで楽しい。」「叔父さんも初めて乗った。バスが水に浮くのだから凄いね。この後は古い家が建ち並ぶ所に行って茅葺屋根の古い家を見た後。宿に行き温泉に入ってから宴会。飲んで歌って大はしゃぎするんだよ。楽しいぞ?バカな叔父さんの集まり」「明日の予定は?」「明日は大内宿へ行って面白いお蕎麦を食べにいこう」

 水陸両用車から降りて落人の里に行き、茅葺屋根の家を見学した後。湯西川温泉共同浴場へ行く。此処は無料の温泉。川の側に有り良い風呂で有った。

宿に着き温泉に入り6時に宴会。ビールで乾杯した後はそれぞれが好きな飲み物を頂き、酔いが回って来た。菊池がマイクを持ち無情の夢を歌った。其のあとにマスターが男涙の子守唄を歌った。すると関に火が付いた。愈々かくし芸大会が始まる。関。女物の浴衣を着て風の盆恋歌を化粧して歌う。これが子供たちにお盛り上がり。それを見て中村どぎつい化粧をして女物の浴衣を着てすずめの涙を音痴に歌う。これまた子供に大うけ。知恵も幸子も歌い出す。歌うは恋のバカンス。そして花子愛燦燦を歌う。拍手喝采。歌はこの後も続いた。翌日朝食を済ませ、9時に宿を出て大内宿に向かう。途中で塔のへつりを見学した後。湯野上温泉駅に寄り写真を撮ってから大内宿へ行き、茅葺屋根の宿場を見学してからねぎそばが名物なのでねぎそばを頂く。蕎麦にネギが一本乗せられ出てくると、子供達は面食らった。茂雄「叔父さん。これどう食べるの?」マスター「ネギをはしの代わりに使い。ネギをかじり薬味にして食べる。」「叔父さん?この食べ方は子供にはいささかハードルが高過ぎる」「このネギはこの蕎麦を食べるために、わざと曲げて作って有る。手間がかかって居るのだ。」「ネギもかじると辛い。割りばし貰えますか?」「今貰って上げる」と言い子供には箸を貰った。そして蕎麦がきをいただく。そして国道118号線から289号線へ行き途中で甲子温泉に立ち寄り、深くて大きな湯船に入り、白川ICから東北自動車道に入り門仲に帰りバスをレンタカー会社に返し解散した。

 プレゼント

 知恵の息子の茂雄が少年野球の試合に遠藤を誘った。遠藤は子供の時から高校3年生まで野球部に所属しており、高3の夏の東京都の準決勝進出で敗戦したが、二塁打を打つが4対3で敗戦。その後は社会人に成り野球はしておらず、ゴルフに夢中に成りもっぱら打ちっ放し練習場に出掛けていた。然し茂雄からの誘い。待って居ましたと大喜びで出掛けた。茂雄ピッチャー1番。だがしかしボールは早いがコントロールがイマイチで有った。

 9回裏3対2で負けていた。2アウト2塁3塁。バッター茂雄2ストライク2ボール5球目茂雄ボールの芯をとらえ2塁打を打った。そして2打点を取り逆転サヨナラで試合に勝った。遠藤「良く打った。大したものだ。後でグローブをプレゼントしてあげる。好きなグローブを選びな」「本当に有難う。欲しいグローブが有ります。然し高いのです。」「いいとも、プレゼントしてあげるから」と言い一度家に帰り着替えてから、スポーツ店に出掛けグローブをプレゼントしてあげた。知恵「こんなに高いグローブを買って頂いて良いのですか。」「私には子供がいませんから。もしも私に男の子がいたら?きっと野球をやらせていたでしょう。私も甲子園球場へ行くのが夢でした。都大会で負けて以来野球は止めました。然し今日茂雄君が迚いい試合を見せて暮れました。青春時代を思い出しました。」「今日夕食家に来ませんか?大した物は無いのですが、茂雄も喜びます。予定が有りますか?」「いいえ。寂しい一人暮らし、何時も暇つぶしに苦労しています。」「では来てください。塩漬けの根曲がり竹が有ります。昨日から塩を抜いて有るので鯖缶でなくクジラ缶で煮ます。それにじゃが芋を茹でて塩辛を乗せて食べて見て下さい。」「北海道流ですか?」「はい。今金男爵イモで作ります。後肉じゃが、サラダ、じゃがいも焼酎も有ります。母の実家からのもらい物ですが?」「何時も外食で飽きているので有難いです。お邪魔しても良いのですか?」「はい。是非来てください。」と言われ手土産に鮨3人前を買って持って行った。その後二人の仲は急接近していった。

 其のころ原信夫も幸子に思いを募らせ、和明のご機嫌取りに懸命に努力をしていた。「和明君はゲイムが好きなんだろう?」「うん。」「だったら今度の日曜日。秋葉原にゲイムを買いに行かないか?叔父さん不労所得が入ったからゲイム買ってあげる。」「本当ですか?今欲しいゲイムが有るのです。友達は皆持っていて僕だけ持って居ないのです」「それは皆からバカにされる。今度の日曜日に店が開いたら直ぐに買いに行こう。」「はい。ありがとうございます。」「車で迎えに来るからね?」「待ち遠しいな?早く日曜日がこないかな?」等と和明のご機嫌取りに原信夫も幸子に夢中に成っていた。

 そして日曜日

 原。幸子の家に向かいに行き、3人で秋葉原に行き、和明が欲しがっていたゲイムを買い、其のあと淡路町の老舗の蕎麦屋に連れて行き、蕎麦を食べ、其のあと和スイーツの店に二人を案内した。「原君は色々な店を知って居るのですね?一人でスイーツの店に来るのですか?」「来たいのですが、男一人では入りずらくてきません。ですから今日お二人を誘ってきました。前からこの店は知ってはいましたが、男一人では無理です。前に有る鮟鱇の店には会社の同僚と冬に成ると鮟鱇鍋を食べに来ます。ここの栗あわぜんざい前から一度食べて見たかったのです。他にも行きたいスイーツの店が有るのです。今度又付き合って貰えますか?」「私でよければ何時でも付き合います。」「ありがとうございます。」と言いぜんざいを食べて家まで送ると、お茶でも飲んで行ってください。と誘われ二人は会話を楽しみ、和明はゲイムに夢中に成っていた。

 その後二組のカップルは順調に前に進んで行った。

そして1年が過ぎ花子に呼び出され、花子の店で二組同時の披露宴を執り行われた。

そこで花子が祝い酒を歌い、中島が乾杯を歌い、知恵と幸子が愛の賛歌を歌った。其のあとマスターが祝い船を歌った。

 マイクを持ち浅岡が「ステージは変わり第二部。歌うはこの方中村隆二。歌は浪曲子守唄どうぞ。」と言われキューピーの人形にミルク咥えさせ、背負いねんねこ版点を羽織、惨めな格好で出て来て歌った。これが大うけ。次に真打登場。関が女装して桂付け手ぬぐいを被り化け物みたいな化粧をして出て来た。すると子供たちが腹を抱え大笑い。歌は梅川を歌う。それが酷い音痴。それを聞いて尚更大喜びで笑う。歌が終わると浅岡が「流石真打。爆笑ですね?ステージは第3部歌うはこの人原信夫。歌は君こそわが命。」と言い原が歌う。次いで遠藤が君は我が運命を歌った。其のあともカラオケは続いた。

 そして最後に花子が「今日で二人には止めて貰います。今まで店を手伝って貰いありがとうございました。此れからは夫婦仲良く幸せに成って下さい。」と言い二人に花束渡した。

皆から盛大の拍手を頂く。

 それから3年長男が鳶職を、次男は3年京都で修業をして、居酒屋花を継いだ。すると隆と花子は二人して四国八十八箇所巡りの旅に出た。

    終わり

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女子3人それぞれの道 吾妻やすけ @Yesuke

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