第13話  招待状





 アラン殿下から本当に招待状が来た。

 寛大な心をお持ちで、何と6枚も入っていた。確かに片手では足りない恋をしたと言ったが……。

 彼氏を何人来ていただいても殺してやるってことなのだろうか。


「ということで、6人の彼氏を募集してるんですけど……。まあ別にカインとヨウだけでもやることには事足りるのですが」

「俺も行く」


 イブがはーいと名乗り出た。


「パーティーに行ったことない!」


 理由は至極シンプルだった。


「俺も行く」


 ハイドも手を挙げた。


「王家主催のパーティーは昔行ったことあるから、有事の際はヨウを連れて逃げる」


 何とも妥当な理由だった。


「俺もいきたい」


 最後に手を挙げたのはボスの孫であり、ヨウの養父のランだった。


「ヨウが途中で寝ないか心配だし」


 みんなそのメンツでいいんじゃないと言った様子だった。


「まあケビンがいた方が戦闘においては心強いだろうけど、それ以外の面は彼氏として圧倒的にメイの好みを疑われちゃうし」


 エリナは酒に酔ってソファで寝ているケビンを見ながらそう言った。

 別に6人全員を彼氏として紹介する気はないのだが。


「だね。それに比べてカインは元貴族だからマナーとかも大丈夫だろうし」


 みんなのリーダー、ギルは自身の指にはめた指輪を見ながらそう言った。ギルはよく指輪を見ている。おそらくあれは何らかの魔具なのだろう。

 確かにカインは所作も綺麗で、いつもどこを切り取っても絵になると思っていた。


「問題はチンピラなハイド、子供の中の子供であるヨウ、社会科見学のイブ、ボンボンのランだね」


 ギルの指摘に4人はムッとした表情を見せた。


「チンピラってなんだよ。マフィアはチンピラみたいなもんだろ」

「そこ肯定するとこじゃないと思います」


「子供……」

 ショックを受けてるヨウに私は、「魔力が強い子供は自分の意思を伝えるのが苦手な子が多いのよ。大きくなったらきっと大丈夫。大人っぽくなるわ」と言ったが、それは今は子供だと言っているものだと言った後に気づいた。

「他の同い年の子供より中身子供だよな。なんか幼いが過ぎる?」

 イブは悪意はなさそうだがそう言い放った。

「10歳は抱っこを求めない。10歳は1人で寝れる。10歳はわんちゃんにならない」

 ハイドはムスッとしたヨウを抱き抱えながらそう言った。

「最後のは余計だろ」

 ギルは続けて、「というかヨウが子供なのは養父が甘やかしすぎたからだ」とランを見ながらそう言った。

「いいか!くれぐれもパーティー会場で犬にならないように!!わかった!?」

 ギルはハイドに肩車されたヨウに強くそう言った。

「わん……」

 ヨウはちょっとムスッとした顔のままそう言った。

 わかってるのかな……。不安だ……。


「てか社会科見学のイブってなんだよ。そのままじゃん!!」

「実際そのままだしな」

「まあ戦闘要員だね」

 ハイドとカインはそう言った。イブは強いし、いてくれたら私も心強い。


「ボンボンって……俺いうほどボンボンじゃなくない?」

 ランは不満そうにそういうが、ギルは「いや、お前はボンボン」と、諦めて認めろと言う感じでランの肩に手を置く。

「しかも貴族じゃないから別にマナーとか礼儀とかはわかってないし」

「ただただじいちゃんに甘やかされて、ただただ裕福な家庭で育ってる」

「ザ・ボンボン」

 エリナとハイドとカインの三連撃に、ランは「悪かったなただの無能な箱入り息子で……」と不貞腐れてしまった。

 


 一ヶ月後のパーティー当日まで、私たちは特に戦闘や炎呪の攻撃などはなかったが、少しの緊張感が私の中にあった。



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