┣武器・蓮葉【二幕】

■《化け烏》

 洋の言葉にうなずくと、蓮葉はバッグから《化け烏》を取り出した。

 ジャキ、ジャキン……!

 二本のZ字パーツが伸長し、交差して大鋏おおはさみを組み上げる。

                 ──【前幕】畔 蓮葉 VS 八百万 浪馬 其の五


 三つある連結軸カシメの選択は中央。刃長はちょうは50センチの標準サイズ。柄も含めた全長は2メートル。それを水平に開き、舌を抜く閻魔えんまのように構えている。

 得物の長さは浪馬に分があるが、槍中央を握れば射程は半分程度だ。一方で蓮葉も柄を余しており、間合いは互角。そして双方ともに、一瞬で間合いを伸ばす技量を備えている。

                     ──【二幕】畔 蓮葉 VS 八百万 浪馬


■防刃レギンズ

「──防刃レギンズ」

 つぶやいたのは烏京である。

 山の民の彼は知っている。「戦後、女と靴下ストッキングは強くなった」という昭和のフレーズがあるが、畔のそれは強くなり過ぎた。ナノテクノロジーの粋を集めた《畔の靴下》は、極薄素材にあるまじき強度と潤滑性を備え、刃筋をずらすことで斬撃に耐える。本土のともがらには有名な品だが、部外者の反応はかくの通りだ。

 とはいえ、防刃レギンズは防弾ではない。弾丸と同質の攻撃である突きを防ぐには術者の体捌きが必須であり、そのための誘導もしている。

                 ──【二幕】畔 蓮葉 VS 八百万 浪馬 其の九

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