┣人間関係・洋【二幕】

🔳文殊

・初観戦の文殊を歓迎。解説・護衛役を買って出る。


「よう。来たな、文殊」

 呆然とする文殊に、洋が話しかけた。

「おまえを呼べたのは、浪馬のお手柄だよな。

 多分、今夜もすげぇ試合が見れると思うぜ。

 解説はオレがしてやるから、《天覧試合》を楽しんでってくれ」

                 ──【前幕】畔 蓮葉 VS 八百万 浪馬 其の五


 「護衛する」との宣言通り、洋は文殊の前に陣取っている。試合中の浪馬より、よほど頼もしい存在だ。移動も洋を追えば間違いない。

                 ──【二幕】畔 蓮葉 VS 八百万 浪馬 其の二


🔳浪馬

■蓮葉のキスを賭ける

「おっ、そうだ。豚兄貴に話があンだがヨ」

「誰が豚兄貴だ」

「オレが勝てたら、妹ちゃんとの交際を認めるッてのはどーヨ?」 

「世迷言はあの世で言え」

「じゃあキスだ。蓮葉ちゃんとのキスを認めろ。

 オメーもどーせ、オレが負けると思ってンだろ?

 なら何賭けようが、問題ねーじゃねーかヨ」

「あーもう……蓮葉がいいってんならな」  

「さッすが兄貴! 約束は絶対だゼ?」

                 ──【前幕】畔 蓮葉 VS 八百万 浪馬 其の五


🔳たつき

■コーディネイト勝負

「あんたにリベンジする気で用意したからさ」

「はあ? ぜんぜん話が見えないんだけど」 

「先週の開会式で、蓮葉を「ダサい」つったろ」 

 巫女の少女は顔に指をあて、天井を見上げる。

「……えー、言ったっけ?」

「言ったさ、ボソッと。こちとら地獄耳なんだよ」 

「あーまー、言ったかもね。

 しょーがないでしょ、事実なんだから。

 何なのよあのスーツ。コスプレかっつーの」 

「……あの服を選んだのは、オレだ」

                     ──【二幕】畔 蓮葉 VS 八百万 浪馬


🔳蓮葉

■絶叫

・武人としての立場を、兄の気持ちが上回る。


「蓮葉! 聞こえるか、蓮葉ァ!」

 床に膝をつき、必至でタイルを叩くさまは、完全に動転している。

 万事に鷹揚で|揺るぎない、普段の洋からは信じがたい姿である。  


「もういい、蓮葉! これ以上戦わなくていい。

 後はオレがやる……オレが《神風》になってやる!」  

 駆け寄った洋が、かつてない剣幕で言い放つ。

                 ──【二幕】畔 蓮葉 VS 八百万 浪馬 其の五


■心配と信頼

・《誉石切》を受け絶体絶命の蓮葉を、悩んだ末に続闘させる。


「……蓮葉が言うんだ。やらせるしかねぇだろ」

 不安のしこりは依然、消えていない。

 それでも信じるしかない。武人として、兄として。

                 ──【二幕】畔 蓮葉 VS 八百万 浪馬 其の六


🔳忍野

■難しい立会いに同情

 蓮葉の苦境にあれだけ取り乱した自分が、今は浪馬をことに心痛している。これぞシーソーゲームだ。立会う忍野の心労は如何ばかりか。

 とくにこの一戦は、双方ともに耐久力が常軌を逸している。《鯰法》による不死身は全貌がつかめず、蓮葉に至っては人間ではない。この二人の生死の境を見極めるなど、神ならぬ者には不可能だろう。《鮫貝》の出番は、おそらくない。

                 ──【二幕】畔 蓮葉 VS 八百万 浪馬 其の七





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