┣人物・洋【二幕】

■文殊も呆れる兄馬鹿

「あれが、おまえより強い言うてた妹か」

「蓮葉だ。色々変わっちゃいるが、可愛い妹さ」

「なんで泣いてんねん」

「スイーツ食うと泣くんだよ。理由はわからん」

「なんじゃそりゃ」

 予想外過ぎる《最高傑作》の素顔に、拍子が抜ける。

「お兄ちゃん、これ」

 ケーキを食べ終えた妹が、洋に空箱を手渡した。

「おまえ、口にクリームついてんぞ」「あい」

 膝を曲げ顔を突き出す蓮葉に、洋は手を伸ばし、指で口元を拭う。

「よし」「ありがと」

 にっこり笑う美女に脂下やにさがる洋を見て、思わずつぶやく。

「兄馬鹿かよ」

「別にいいだろ。

 蓮葉、こっちが文殊。オレのダチだ」

                 ──【前幕】畔 蓮葉 VS 八百万 浪馬 其の五


■蓮葉のコーディネート

・蓮葉の勝負服は洋が選んでいる。

 たつきに馬鹿にされて以来、研究に余念がない。


「確かに、オレは女の服なんざ詳しくねえ。

 あれも女の礼服がわからんまま買ったやつだ。

 とはいえ妹を笑われて、黙っちゃいられねえ。

 それがオレのせいなら、なおさらだ」

「ていうか、何であんた、妹の着替えしてんのよ。

 その時点で普通にキモいんだけど」

                     ──【二幕】畔 蓮葉 VS 八百万 浪馬


■実戦主義

「別にたいした理屈じゃねーさ。

 確かに相手を知るってのは重要だ。オレだって知りてえよ。

 けど、闘いの中で得られる情報なんざ限られる。

 原理なんざわからなくても、勝ち方を見つけて勝つしかねえ。

 それが実戦ってもんだ。オレらは科学者じゃねぇからな」

                 ──【二幕】畔 蓮葉 VS 八百万 浪馬 其の三



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