┣人物・洋【幕間】

🔳性格


■堂に入った兄馬鹿

「まあな。

 スイッチの入った蓮葉は、オレ以外には止められない。

 蓮葉のスイッチがオレに入ったら、誰が止めるんだって話になる。

 乳母に起きたのはそういう話だろ? 同情はするけどな」

「解決策があると思うかい?」

「オレは蓮葉を見捨てない──これで解決だろ」

 真顔の洋をまじまじと見たドロ婆が、ふいに吹き出した。

「烏京の顔でそれはやめてくれ」

「ひょっひょっひょっ、悪かったね。

 急ごしらえとは思えない、堂に入った兄馬鹿ぶりじゃないか。

 安心したよ。あたしの見込んだ通りだ」

                ──【幕間】魚々島 洋  ー千客万来ー 其の四


 《神風天覧試合》を機に出会った兄妹だが、たとえ試合が終わろうとも、二人の関係は続いていく。そして乳母の話が本当ならば、蓮葉からは永遠に離れられない。呪縛と言っても過言ではない関係が生涯続くのだ。

 けれど。

 その事実に、まるで危機感を覚えない自分がいる。

 それはそれでまあいいか。どこかでそう思っている。

「……なるほどな」

 洋は思わずほくそ笑んだ。これが兄馬鹿という奴か。

                ──【幕間】魚々島 洋  ー千客万来ー 其の四


■兄になりたい末っ子

「オレの何を見込んだんだよ」

「末っ子てのは兄になりたいものさ。違うかい?」

 洋は舌打ちした。確かに否定しきれない。

「強さじゃ蓮葉に遠く及ばない兄貴だけどな」

「強さは万能の尺じゃない。

 それを一番よく知ってるのは、坊のはずだよ」

                ──【幕間】魚々島 洋  ー千客万来ー 其の四


■魚々島への崇敬

 洋の根幹には魚々島への崇敬がある。《陸亀おかがめ》である自分を卑下するのも、本物の魚々島に対する憧れあらばこそだ。長い付き合いから、青沼はそれを知っている。

 そして、普段は大人びた洋が、そこを突かれると存外かたくなになることも。

 普段なら流せる話も、感情的に受け止めてしまう。いわば地雷だ。

                   ──【幕間】魚々島同盟  ー拇戦遊戯ー


■慎重にして柔軟

「──煮え切らん感想だな」

「いいんだよ、それで。

 敵を知ったつもりで油断する方が、よほど危険だ。

             ──【幕間】魚々島同盟  ー手札交換ー 其の三

 

 情報はありがてえが、頼りすぎると足元すくわれんぜ?」



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