塒(ねぐら)


🔳廃スタンド

・洋と蓮葉のアジト。

・一年前、文殊率いる暴走族を追い出して入手した。

・住所は大阪市此花区。淀川河川敷付近で、北港舞洲・夢洲も近く。


■全景

烏京の返事を待たず、洋は工事用フェンスを持ち上げ、隙間を作る。門のない廃スタンドにとっては、これが玄関だ。

 二人は無言で、スタンドの敷地に足を踏み入れた。

 油断なく、四方を窺う烏京。

 コンクリート床のフィールドは、正面を建物、三方をフェンス、頭上を平屋根キャノピーに遮られ、人目を気にする必要がない。フェンスと屋根の間は大きく開いており、朝日が差し込んでいる。その気になればいつでも逃げ出せる造りだ。

                ──【幕間】魚々島 洋  ー千客万来ー 其の五


■洋の自室

 布団で目を開けた洋は、のっそりと起き出した。

 洋の自室は四畳半である。四方を占める本棚はちょっとした書庫だ。品ぞろえは主に実用書と図鑑。漫画用の本棚も一つある。

                    ──【幕間】魚々島 洋  —千客万来—


■ガーデン・ブレックファスト

 すっかり朝を迎えた廃スタンドに、朝食が用意されていく。

 テーブルと椅子を持ち出した、庭ならぬフィールドでの食事である。

 メニューはホットサンド。それにコーヒーカップが湯気を立てている。

 もちろん洋がこしらえたものだ。断る烏京を引き留めたのも洋である。

                ──【幕間】魚々島 洋  ー千客万来ー 其の五


■カーテンとシャワー中のルール

 ガラス張りの壁は、真新しいカーテンに閉め切られ、不自然なほど完璧に隠蔽されている。奇妙なのはカーテンが内側でなく、外に付いていることだ。加えて、烏京と青沼の神妙に過ぎる顔。

 魚々島同盟を組むにあたり、洋は幾つかの規則ルールを定めた。

 中でも最大の項目、破れば同盟破棄という規則が、今まさに適用中なのだ。

 ──蓮葉の入浴中は、男全員、外で待機。 

 提唱者である洋も例外ではない、厳粛なルールである。

 男たちの名誉のため断言するが、非は彼らにはない。

 元凶は、入浴後に姿でうろつく蓮葉の方だ。

 兄の薫陶くんとうかドラマの影響か。少しづつ常識を知り始めた蓮葉だが、その忘却癖の故か、覚えないことはに覚えない。

 「風呂上がりに服を着る」というマナーも、その一つだった。

 元より露出に抵抗のない蓮葉だが、特に湯上りにはタオル一枚纏わず、ロビーで涼むのがお気に入りらしい。何度注意しても繰り返す妹に、兄の取った弥縫策びほうさくが特注のカーテンと、この規則だ。

 ひとしきり涼んだ後なら蓮葉は服を着る。それまでのひと時、男どもを隔離すればは起こらずに済む。カフェテラス風のテーブルセットは、このルールの副産物である。

                 ──【前幕】畔 蓮葉 VS 八百万 浪馬 其の二


■オメガの調査報告より

「魚々島 洋との合流後は情報収集が捗りましたが、戦闘力は依然、謎のままです。

 廃スタンドに向けたドローンは、全て魚々島 洋の《鮫貝》に破壊されました。

 さらには松羽 烏京も同盟に加わり、廃スタンドの調査は絶望的とのことです」

                 ──【前幕】畔 蓮葉 VS 八百万 浪馬 其の三


🔳???

・たつきの塒は、現時点(一幕)では大阪としかわかっていない。


「うーんでも遠いしなあ。やっぱいいよ」

「京都じゃないのか」

「うん、大阪。JRで来た」

                 ──【後幕】魚々島 洋 VS 松羽 烏京 其の三


🔳キャンピングカー

・荒楠、雁那のアジト。

 荒楠が暮らせる大型サイズ。PC設備も完備されている。


 眼前に駐車しているのは、一台のキャンピングカーである。バスと見紛う大型サイズに加え、巨躯の荒楠でも不便なく暮らせるよう、随所に改造を施している。移動だけで騒ぎになりかねない相棒を持つ以上、当然の施策だ。

                 ──【後幕】魚々島 洋 VS 松羽 烏京 其の四


🔳ヒルトン大阪

・浪馬のアジト(二幕)。

 ホテルなので気分で場所を変える。


 ヒルトン大阪32F、エグゼクティブルーム。

 浪馬を悦に入らせたのは、宝石箱のような梅田の夜景ではなく、ガラスに映る己が肉体美だった。

                 ──【前幕】畔 蓮葉 VS 八百万 浪馬 其の三


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