🔳┳術技・浪馬【幕間】


🔳バイク武者

■洋と烏京の考察

「勘当された浪馬くんは暴走族になり、やがてチームを作りました。

 近隣のチーム相手に抗争を繰り返す彼は、戦うこと修羅の如し。

 バイク上から槍を振るう、騎馬武者スタイルで恐れられました。

 九州制覇まで、ついに負け知らずだったとか」

「バイク武者、ねえ」  

「──バイク相手に戦ったことはあるか?」

「あるぜ。複数に囲まれたこともある。

 でも、ありゃあ乗ってる方も相当危険だからなあ。

 オレが相手したのは鉄パイプやバットだったが、攻撃は単調だった。

 当たりゃ終わるが、技なんてもんじゃない。振り回すだけだ。

 避けるのは簡単、バランス崩して勝手に落車する奴もいた。

 使える場所も限られるし、実用的とはちっと思えねえ。ただ──」

「──ただ?」

「ただそれは、素人の話だ。

 相手がその道の達人なら、違うかもしれねえ」

「フン──貴様にはそうだろうな。

 オレにとっては、何も違いはない。

 バイクの敵など──飛び道具の前には鴨も同然」

「あぁ、確かにそうかもな」

 高速で走るバイクは、石ころ一つでも致命傷になり得る。達人である烏京のつぶてなら、撃ち抜くのは容易いだろう。

 そうでなくても、バイクにはタイヤという弱点がある。防弾タイヤでもない限り、手裏剣一つで転倒は免れない。烏京の自信もうなずけるものがある。

               ──【幕間】魚々島同盟  ー手札交換ー 其の四


■数々の伝説

「他にも、魔法のライドテクとか、槍の一突きで車を止めたとか。

 暴走族に伝わる武勇伝は数知れずです。

 まあ素人目線ですから、誇張も多分に含まれそうですが。

 お二人の戦いの参考にしていただければ、と思います。

 私からは以上です」

               ──【幕間】魚々島同盟  ー手札交換ー 其の四


🔳その他の能力

■不死身?

「浪馬くんが生まれてすぐの話です。

 赤ん坊の彼は、看護師の目を盗み、何者かに連れ去られました。

 彼が運ばれた先は、病院の屋上。そこから投げ落とされたのです。

 真下は駐車場。木や障害物はなく、赤ん坊は固い地面に激突しました。

 ですが……見つかった赤ん坊には、傷一つなかったそうです。

 コンクリートの床が砕け、ひび割れていたにも関わらず、です」

               ──【幕間】魚々島同盟  ー手札交換ー 其の四


「浪馬のやつ、事故ったことはねえのか?」

「何度もあります。

 バイク同士が衝突したり、車で撥ねられたり。

 道路にピアノ線を張られたこともあるそうです」

「だろうなあ」

「ですが……いずれのケースでも

 バイクが壊れることはあっても、傷一つ負うことなく、戦い続ける。

 ついた渾名が、《不死騎王イモータル・キング》」

               ──【幕間】魚々島同盟  ー手札交換ー 其の四

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