┣容姿、服装、武器・浪馬【二幕】

🔳容姿

■ホテルでは全裸

不愉快を顔に貼り付けたまま、窓辺に向かうその姿は、一糸まとわぬ全裸である。ピンクの長髪を後ろで束ねた髪留め以外、何も身に着けていない。

 ヒルトン大阪32F、エグゼクティブルーム。

 浪馬を悦に入らせたのは、宝石箱のような梅田の夜景ではなく、ガラスに映る己が肉体美だった。

 細身の体躯に緻密に編み込まれた、しなやかな筋肉が脈動している。

 プロスポーツ選手を優に超える筋量が筋肉質マッチョに見えないのは、筋肉の配置バランスと抜群のプロポーション故だ。ボディビルダーのような衝撃インパクトはないが、弾性と剛性を兼ね備えたワイヤーの緊張テンションがある。

 ナルキッソスよろしく鏡像に魅入る姿の是非はともかく、このルックスで金に不自由しないのだから、女が群がるのも無理はない。

                 ──【前幕】畔 蓮葉 VS 八百万 浪馬 其の三


🔳武器

■槍

・浪馬の槍は複数種を使い分ける。得物に固執しないタイプ。


 丹色とは赤の古称で、魔除け、厄除けの意味を持つ。橋の欄干や鳥居、そして浪馬の振るう槍の色である。

 浪馬の槍は長さ2メートル強。槍として長い方ではないが、長さは強さを意味しない。槍ほど場所を選ぶ武器はないからだ。──すなわち刃の部分は真っ直ぐな形状で、長さは30センチばかり。素槍、直槍すぐやりと呼ばれる一般的な武器である。

                     ──【二幕】畔 蓮葉 VS 八百万 浪馬


 右手でアクセルをふかしながら、浪馬の左手がバイク後部を探る。

 孔雀もかくやという飾り羽根を引き抜き、一振りで伸長させる。

 予備武器だった。装飾に偽装したそれを、バイクに積んでいたのだ。

                 ──【二幕】畔 蓮葉 VS 八百万 浪馬 其の四


 浪馬がスペアとして用意した槍は、全て同じではない。場面に応じて使い分けられるよう、多様な種類を揃えている。その中でもっとも柔らかく、よくしなるのがこの槍だ。中国の槍と同じ白蝋が柄に使われている。唯一折れなかった理由もそれである。 

                 ──【二幕】畔 蓮葉 VS 八百万 浪馬 其の九


■バイク

・バイクに乗って戦う「機馬戦法」を得意とする。


 耳をろうする咆哮ほうこうが、曽根崎地下歩道を震わせた。

 生ある獣ではない。二灯式の眼と鋼の心臓を備えた、機械マシンのそれだ。

「あれが、八百万やおろずの奥の手ってことさ」

 遠吠えの本体は、浪馬のまたがる改造バイクだった。

                 ──【二幕】畔 蓮葉 VS 八百万 浪馬 其の四






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