🔳┳人間関係・忍野

人間関係。


🔳魚々島 洋

候補の中でも特別な存在。


 忍野は内心で舌を巻いた。選別してなお、あの釣果とは。

 洋に驚かされるのは、これで何度目だろうか。

 精力的に料理を作る姿も、激戦の後とは思われぬほどだ。武者の矜持で平常を保っている自分とはやはり違う。負けるべくして負けたと改めて思った。

 その妹が台所に現れたのは、野菜が煮え、鍋にアラを入れた頃合いだった。 

                         ──【序幕】選抜、畔 蓮葉

🔳畔 蓮葉

敵意を感じている。


 もう一度頷いた蓮葉が、忍野を一瞥する。 

 その視線に、忍野は三度目の気付きを得た。

 蓮葉の敵意は、兄を傷つけたが故か。

 当然といえば当然の感情だが、二人は出会って間もないはず。蓮葉の洋への思慕は、常軌を逸してはいないか。

 厨房に仲良く並ぶ兄妹に、忍野は言い知れぬ不安を覚えた。

                         ──【序幕】選抜、畔 蓮葉


■八海

妹。辟易している。


「実は、私にも妹がおります」

「へぇ。あんたに似て美人なんだろうな」

「身内ながら器量については申し分ないかと。多少変わり者ですが」

「うちのやつほどじゃないだろ」

「方向は異なれど、よい勝負かと思われます」

                  ──【序幕】魚々島 洋、畔 蓮葉と会遇する


■ドロ婆

選抜前に面識あり。忠告を受ける懇意な間柄。


「選抜に向け、《畔》宗家を訪ねた日のことです。

 《神風⦆候補に蓮葉殿を推挙された際、不可解な提言を受けました。

 曰く、『選抜試合には、必ず魚々島 洋を立ち会わせること』」

「……オレを?」

「私は《天覧試合》の立会人です。

 候補者を選ぶ立場であり、いかなる条件も受ける謂れはありません。

 ですがその方は、『おまえのために言うのだ』と譲られず。

 思案の末、洋殿の選抜を済ませた後、打ち明けた次第です」

「言ったのは、《ドロ婆》か?」

                     ──【序幕】選抜、畔 蓮葉 其の二

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