第37話 グリーロ川の会戦
それから3日後、夜明けと共にクレシー率いる冒険者の部隊と援軍のホルキス王国軍は大挙してホルキス王国領のカリーナから国境を越えて、グリンダム領内に侵入してきたのだった。
そしてそのままグリーロ川の手前まで進むと、グリーロ川に布陣をおこなったのだった。
そしてクレシーはグリーロ川周辺を一望できる高い丘に本陣を置いていた。
一方のグリーロ川の対岸にはすでにジャン達がすでに布陣を完了していたのだった。
クレシーはすぐに自分の取り巻きと作戦会議を始めたのだった。
クレシーが大声で取り巻き達に言った。
「ふむ、ジャン・リヒターがどんな命乞いをするか今から楽しみだな。はっはっは!!」
「大勇者クレシー様?本当に住民も冒険者も皆殺しでよろしいのですか?」
「当たり前だ。ジャン・リヒターなどに味方したグリンダムの住民も冒険者も一緒になぶり殺しにするのだ。分かったな!!」
「はっ!!心得ました。」
「失礼します。」
偵察に出ていたクレシーの配下が戻ってきたのだった。
「大勇者クレシー様、偵察より戻りました。状況を報告してもよろしいでしょうか?」
「さっさと報告を始めろ!!」
「グリンダムの冒険者達はグリーロ川の対岸に布陣しております。ジャン・リヒターもグリンダムの冒険者達と一緒に布陣しているようです。」
「そうか、それは良かった。それなら今日中にジャン・リヒターの無様な最期が見れそうだな!!」
するとクレシーが笑いながらグリーロ川の対岸に布陣しているグリンダムの冒険者達を指さしたのだった。
「あれを見ろ!!!たったあれだけでこの大勇者クレシー様の大軍と戦うつもりらしい。」
「あんな小勢ではすぐに戦いが終わってしまいますな。」
「大勇者クレシー様の勝利は揺るぎようがありません。」
「全くだ、これでは大勇者クレシー様の圧勝だ。少しぐらいは歯ごたえがなければつまらぬわ。はっはっは!!」
するとクレシーの元に部下が走ってきたのだった。
「大勇者クレシー様!!敵が仕掛けてきました。ジャン・リヒターが氷魔法の凍結帯(フローズンエリア)でグリーロ川の水を凍らせてこちら側に渡ってきた模様です。」
「なに?」
クレシーが立ち上がりグリーロ川の方を見て戦況を確認すると、ジャンがグリーロ川を氷魔法で凍結させてこちら側に渡ってきていたのだった。その後から続々とグリンダムの冒険者達が続いてグリーロ川を渡ってきていたのだった。
「敵に先手を取られてしまいましたな。」
クレシーが大声で命令を出す。
「ふん、ジャン・リヒターやあんな小勢など恐れるに足りぬわ!!冒険者共!!ただちに応戦しろ!!ジャン・リヒターと奴に味方した愚か者共を皆殺しにするのだ!!!」
グリーロ川を渡って仕掛けてきたジャン達にクレシー軍もすぐに応戦を開始したのだった。
だがジャンの攻撃はすさまじくすぐにクレシー軍の戦列の1列目と2列目が崩れてしまったのだった。
クレシーの本陣にはクレシー軍の苦戦を伝える伝令達が続々とやってきていた。
「ジャン・リヒターが想像以上に強く我が戦列の2列目も突破されてしまった模様です。」
「あまり戦況は良くありませんな。大勇者クレシー様?ジャン・リヒターをいかが致しますか?」
「ふん、そんな心配いらぬわ。いいかジャン・リヒターは竜にまたがるだけの無能なのだ。すぐに魔力が切れて無様に逃げ出すわ。」
「それもそうですな。」
「そうだ、ジャン・リヒターがこれ以上活躍する事などありえんのだ。奴には無様な戦いぶりこそがお似合いなのだ。」
クレシーはジャンがすぐに息切れをすると考えていたが、クレシーの予想は大きく裏切られたのだった。
ジャンの勢いは全く衰えずに、ジャンの勢いを止める事は誰にもできていなかったのだ。
ジャンが詠唱を行っていた。
「風達よここに集いて猛々しき嵐を巻き起こせ!!エアーストーム!!」
ジャンが威力を落とした風属性の上級魔法をエアーストームを前方にいるクレシー軍の冒険者達に放ったのだった。
威力を落としても、効果は絶大でたくさんの人間が吹き飛ばされていったのだった。
すぐにジャンは突破口を開いたのだった。
「よし、ジャン様が突破口を開かれた。ジャン様に続け!!」
ジャンは次々とクレシーの部下達を突き崩していき、あっという間にクレシー軍の10列の隊列のうちの7列まで突破していたのだった。
ジャンはすぐに息切れすると舐めていたクレシーはようやく慌て始めたのだった。
「第7列も突破されました。第8列目の隊列にジャン・リヒターが突っ込んできます!!」
「大勇者クレシー様??ジャン・リヒターの勢いは止まる様子が全然ございません。このままではジャン・リヒターがこの本陣に突っ込んでくるかもしれません?どうされますか?」
クレシーはかなり焦っていたのだった。
「ええい!!どういう事だ??なぜジャン・リヒターごとき無能がこんな働きをするというのだ??奴は竜にまたがるだけの無能なのだ!!こんな働きができるはずがない!!」
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