第30話 Aランククエスト

俺はナタリーやミーシャと共に冒険者ギルドにやってきたのだった。


冒険者ギルドの中ではソフィアがマリーヌや他の冒険者達と共に険しい顔をしていたのだった。


「なあソフィア?なにかあったのか?」


「あっ、ジャン様。はい、実はレイチェル達が行方不明になっているんです。」


「レイチェルは確かソフィアの知り合いの冒険者だったよな??行方不明ってどういう事だ。」


「実はレイチェル達にある場所の調査依頼をお願いしていたんですが、レイチェル達はその場所に向かったきり、連絡が途絶えてしまったんです。」


「レイチェルさん達はどこに行こうとしていたんだ?」


「レイチェル達はロスタル塔の調査に向かったんです。」


「そのロスタル塔というのは?」


「かつてグリンダムがまだ自治領時代に航海の連絡用の灯台として建てられた建物がロスタル塔です。魔法技術の発達によって今は灯台が必要がなくなってしまいましたが、少し前までは船の航海に必要不可欠な建物だったそうです。そしてしばらくの間は遺物としてグリンダム市が管理していましたが、魔物が多数住みつくようになってしまって、危険なので現在は冒険者ギルドが管理して中にも入れないようになっています。今回ロスタルの塔の中の状況を確認するBランククエストをレイチェルのパーティーが依頼を受けて数日前にロスタル塔の調査に向かったのですがそのまま連絡が取れなくなってしまったんです。」


「それで俺を呼んだって訳か?」


「はい、この状況をなんとかできるのはもうジャン様しかいないと思いましたので。今回の依頼はAランククエストになります。レイチェル達の救出をお願いします。」


「分かった。ただ俺はまだCランクだけどこの依頼受けて大丈夫なのか?」


「大丈夫ですよ、ジャン様のおかげでもう私がAランク冒険者になりましたから。私の名前でこのクエストを受けていますのでジャン様が私と同じパーティーでクエストをこなせば何の問題もありません。」


「あっそういえばジャンさん、私もジャンさんのおかげでBランクまで上がれました。本当にありがとうございます。」


「10日足らずでFランクからCランクまで駆け上がるなんてさすがジャン様です。この冒険者ギルドのランクアップ記録も軒並み更新していますよ。」


「それだったら少しでもはやくロスタル塔に向かった方がいいな。装備とアイテムの準備を済ませたらすぐに向かうとするか。」


「はい。ではジャン様今回もよろしくお願いします。」


「ジャンさん、今日もよろしくお願いします。」


「ああ、ソフィア、マリーヌ今日もよろしくな。」


俺達はラズバー大宮殿の魔物討伐のクエストを見事に達成した。


そしてその以降はソフィアとナタリーとミーシャとマリーヌに俺を加えたこの5人でよくクエストを受けてたくさんこなしていたのだった。


俺達はすぐに準備を済ませて出発したのだった。


俺達はそれからしばらくしてロスタル塔へとやってきたのだった。


ロスタル塔は石造りの高くて大きな灯台のようだったが、あちこちが草が生えて荒れ果てている様子が外からでも伺えたのだった。


俺達はロスタル塔の近くまでやってくるとソフィアが俺に言った。


「待ってください、ジャン様、一時的に結界を解除しますから。」


ソフィアはそう言うと緑色の魔法石をかざしたのだった。


だが特に何も起こらなかった。


ソフィアが不思議そうに言った。


「あれっ?何も反応がないなんて?」


俺はある事に気がついてそれをソフィアに言った。


「なあソフィア?一ついいか?」


するとソフィアが嬉しそうに俺に言った。


「はい、もちろんです。なんですかジャン様?」


「ここの結界たぶん壊されてるぞ。」


ソフィアが驚いた顔で言った。


「えっ?」


「さっきの魔法石で結界を壊したわけじゃないんだよな?」


「はい、このルビスの魔法石を結界の前でかざすと一時的に結界が無効になって出入りする事ができるんです。もちろん私達が通った後は結界は元通りに戻るはずです。」


「レイチェルさん達にはその魔法石は渡してるのか?」


「はい、渡してあります。これがないとこのロスタル塔への出入りがそもそもできませんからね。」


「となると、レイチェルさん達が来る前にここの結界を壊してロスタル塔へ侵入した奴がいたのかもしれないな。レイチェルさん達はそいつと鉢合わせになった可能性が高そうだな。」


「だとしたら大変だよ、すぐに塔の中に入ろうよ。」


俺達はナタリーの言う通りにすぐにロスタル塔の中へと入っていた。


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