第29話 王女の思い
すぐにテリーゼ姫の為に部屋が用意されたのだった。
テリーゼ姫はすぐにその部屋に移動したのだった。
そして俺はテリーゼ姫の護衛を受け持ったのだった。
最もここは竜騎士団の本部であったのでそこまで警戒する必要もなかったが、護衛の任を受けた以上その任をしっかり果たそうと思っていた。
すると中からテリーゼ姫に呼ばれたのだった。
「ジャンさん、ちょっといいですか?」
俺は扉越しにテリーゼ姫に尋ねた。
「はい、テリーゼ姫?なんでしょうか?」
「ちょっと中に入ってきてくれませんか?」
俺が扉越しにテリーゼ姫に尋ねた。
「テリーゼ姫?何かあったのですか?」
「ごめんなさい、ジャンさん、特に何かあったという訳ではないんですが、退屈なので少し私とお話してくれませんか?」
「俺と話してても退屈なだけですよ。」
「そんな事ありませんよ、ねえお願いです。ジャンさん?中に入ってきてくれませんか?」
俺はテリーゼ姫から何度も頼まれたので、部屋の中に入る事にした。
「テリーゼ姫、失礼します。」
テリーゼ姫が笑顔で俺に言った。
「いらっしゃいませ、ジャンさん。」
「テリーゼ姫?なんでお供に誰も連れてこなかったんですか?」
テリーゼ姫が俺の顔を見ながら得意げに言った。
「知りたいですか?ジャンさん?」
「はい。」
するとテリーゼ姫が顔を赤くしながら俺に言った。
「それはジャンさんと二人っきりになりたかったからです。ジャンさんとずっとお話したいと思って誰も連れてこなかったんです。私はジャンさんが大好きですから。」
俺は赤い顔をしたテリーゼ姫に言った。
「テリーゼ姫?あまり俺をからかわないでください。」
テリーゼ姫が俺に真剣な顔で言った。
「からかってませんよジャンさん。私は本気です。私はジャンさんが大好きです!!」
俺がテリーゼ姫に聞き返した。
「ほ、本気??」
テリーゼ姫はまっすぐ俺の目を見ながら俺に言った。
「お父様にジャンさんとの婚約を認めて欲しいとお願いしようと思っていたぐらいです?」
テリーゼ姫の顔はさらに赤くなっていた。
「俺は一介の騎士にすぎなかったんですよ。」
テリーゼ姫が顔を真っ赤にしていた。
むくれた顔でテリーゼ姫は俺に言った。
「そんなの関係ありませんよ。それにジャンさんいけないんですよ?ジャンさんが本当に素敵で頼もしいから?」
「俺はそこまで頼もしい人間じゃありません。」
するとテリーゼ姫が俺に抱きついてきたのだった。
「頼もしいですよ、本当に。」
俺は黙ってテリーゼ姫を抱いていた。
「ねえジャンさん?たまにでいいのでこうして私を抱いていてくれませんか?」
俺は返答に困ってしまった。
「すいません、どう返事をすればいいか分かりません。」
テリーゼ姫が抱きついたまま話しかけてきた。
「返事はすぐでなくても構いませんから?私はジャンさんさえ傍にいてくれるなら他になにもいりませんから。」
すると団長の声が後ろから響いてきた。
「姫様?ジャンに何をしておるんじゃ?」
テリーゼ姫が慌てて俺から離れた。
テリーゼ姫が後ろを振り向いて言った。
「レティシアいたの?」
「少し前からのう。」
「姫様?ジャンを抱き込もうとしておるのか?それなら姫様の護衛役からジャンを外すが、それでも良いのかのう。」
「ああ、怖い怖い、レティシアそんなに怒らないでよ。ジャンさんを抱き込もうなんてしてないから。」
「別に怒ってはおらんよ。優秀な部下の引き抜きをされては困るから言っておるだけじゃ。」
「ジャン?すまないが、すぐにナタリーとミーシャと共に冒険者ギルドに向かってくれ。」
「冒険者ギルドにですか?」
「少々気がかりな事が起こっておるようじゃ。」
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