思い出作り

僕らはそのあと1時間ほど登り汗だくになってサザンの頂上を迎えた。

バスの中で思っていたことを今話すべきだと思ったが、サムが先に話し始めた。

「もし、あなたが今、あたしのすることに対してしゃべろうと思うのなら、明日にしてほしい。それは今のあたしにとってとても大事なことなの。本当に大事だから。今ここで約束してほしい。」

「わかった。本当に勘が鋭くて怖いな」

サムはふふふと可愛らしく、あるいは感情を誤魔化すために笑った。

「ね。ここでの思い出づくりしましょ!」

「何する?」

「そうだなぁ。家を作りたい」

「それは無理」

「なんでだよー」

「そんなことしてたら下手すれば五年以上かかる」

「じゃあやっぱり、バンジージャンプの準備手伝ってくれる?」

僕は胸がちくちく痛んだが、約束したのでOKした。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る