登り
サザンは一見なだらかな山だった。いざ登ってみるとすごく急で、高い山だった。例えるならマスク詐欺だ。
「ねー。疲れた。」
「サムが連れてきたんだよ」
「あのさ、あたしも初めてきたんだからね」
「わかったよ、そんなことだと思った。」
僕はもしかしたら勘違いしていたのかもしれない。手を引っ張る役とついていく役ではなく、振り回す役と振り回される役だ。まぁ別にいいんだけど。
「一旦休憩!」本当にいつも急だ。
大きめの石というか岩に座り、サムがリュックから出した顔の大きさのクッキーを食べた。大きすぎたけどサムはまるまる一個食べてしまった。僕が残した分もサムが食べた。サムは食いしん坊なのだ。僕の3倍は余裕で食べられるだろう。
リュックから出したのはコンソメスープが二つの水筒にいっぱい入ったものだった。いろんな野菜がたくさんで、ほかにベーコンも入っていたりした。これはサムが持ってくる食べ物の中で一番美味しかった。サムはあんまり野菜が好きじゃないらしい。変な顔をしながら食べていた。
食べ終えて、また僕らは登り始めた。
僕はお腹いっぱいすぎていた。登り始めると吐きそうになり、草がたくさん生えているところに吐いてしまった。
「ランは本当に男らしくないわ。」
とサムは呆れていた。僕は自分の消化液が口に来ていて、とても気持ち悪かった。でも吐いたおかげで山登りの足取りは軽くなっていた。
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