移動手段

僕らは数多い中の少なめのバスに乗った。

「どこ行くの?」

「山の上だよ。」

「なんで?」

「秘密」

サムは悪戯っ子の顔をした。サムの顔は比較的美人系ではなく、かわいい系の顔だ。二つ重なるとと可愛い小悪魔のようだ。それはそうとなぜ山の上なんかにいくのだろう。これから山の上で暮らすのだろう。または、、

僕は嫌な予感がした。でも口に出してはいけない、もし出したら全て壊れてしまうだろう。僕はまだ生きたい。学校は行きたくないけど、死ぬことはしたくない。そう思った。

「ね。どうしたの?具合悪い?」

「ううん、あんまり昨日眠れなかったんだー。」

「そうなの。まだまだだけど大丈夫?」

「うん。全然気にしないで。」

「オッケー。話変わるけど、空はなんで青いか知ってる?」

「うーん。わからないけど、あんまり知りたくないかも。」

「奇遇ね。あたしもだわ。でも簡単な話よ。私が青色が好きなの。だから少しでも喜ばせたいのよ。でも別にあたしは晴れが好きなわけじゃない。だから意地悪しているのよ。」

「サムなりの答えだね。僕は信じていいの?」

「いいわ!当たり前じゃない!」

「サムはどの天気が好きなの?」

「雪」

「なんで」

「まだ体験したことないけど、世界が真っ白になったら嬉しいからよ。」

「でも青が好きなんでしょ?」

「それとこれは別なのよ。好きな色は青だけど雪は青色じゃない。それに見える景色が真っ青だったら気味が悪いわ。白だからいいのよ。あなたはどの天気が好き?」

「雨」

「そうなのね。なんで?」

「気分がいいから。」

「ふーん、あなたらしいわ」

「ねぇ、サム。なんで君はいつもそんな感じなの?」

「どういう感じ?」

「賢いのにとてもおバカさんみたいだ。例えようが無い動物みたいで絶滅危惧種みたいにあまりいない感じだ。」

「あたしはあたしよ。ありのままに生きてるだけ。人にいい顔をしないのよ。ただそれだけ。気分で生きてるわ。」

「僕は君みたいにはなれない。」

「当たり前じゃない。あたしとあなたじゃ別人だもの。でもあなたもあなたであなたらしいわ。それでいいじゃない。ラン、あなた今日どうしたの?頭のネジでも外れたの?」

「いいや。ただサムが羨ましく思えた。」

「そうなの。ありがとう」

「うん」

僕はやっぱりそうなりたかった。違うものでもそうなりたかった。消しゴムから鉛筆にはなれないことなんて、わかっていた。でもそうなりたかった。

「ね。お腹空いてない?」

「まぁまぁかな」

「あたしは腹ペコだわ。」

「でもバスの中は飲食禁止なんだよ?」

「知ってるわ。でも食べたい。あなたも巻き添いを食らってくれない?」

「わかった。」

僕らは比較的後ろの席だったし、山に登るバスなんてあまり人がいなかったためそれができた。サムはリュックからカツサンドを2切れ出した。サムは僕に1切れくれると美味しそうにこっそり食べ始めた。僕も同じく食べ始めたが、やっぱりあまり美味しくなかった。

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