第21話 想い合う気持ち

濃厚なクリスマスを過ごしてから、元彌は予定通り三日後に引っ越しを済ます。奏も30日毎に更新だったマンスリーをまだギリギリ更新してなかったからと一日ズレて引っ越しをした。元彌は元々予定にあったので業者に頼んでいたが、奏は依頼に間に合わず、そんなに無かった奏の荷物は半分郵送で、残りはYUU達が手伝ってくれたのでスムーズに引越しができた。

2人は仕事納めが終わった30日に朝から荷解きを始めた。2LDKのマンションは、一つは寝室、一つは2人の趣味の部屋にした。そこには大きな本棚を買い、元彌の漫画と、本好きな奏の本を並べた。中央には2人がけの大きなクッションと小さなテーブルだけを置き、互いの休日の日はここで本を読む予定だ。

本を全て入れ終え、休憩しようと奏が元彌に声をかける。

奏はリビングのソファーに腰を下ろし、元彌はキッチンからコーヒーが入ったお揃いのマグコップを運びテーブルに置く。そして、奏の隣に腰を下ろす。

奏はマグカップを手に取り、元彌に少しもたれ掛かりながらコーヒーを口にする。元彌も片手を奏の肩に置き、もう一つの手でコップを取り口へと運ぶ。

そう言えばと何かを思い出したかの様にコップを置いた奏は、元彌に話しかける。

「ねぇ、元彌」

眉を顰めながら元彌を見上げる奏に、元彌もコップを置いて奏を見つめる。

「不思議なんだよ」

「何が?」

「僕、あのモヤが見えなくなったんだ。元彌はほら、僕で卒業したから魔法が消えたのは知ってるけど、僕まで見えなくなるってあるのかな?まさか、急に周りがいい人になったわけじゃ無いでしょ?」

奏の言葉に元彌は目を潤ませる。奏は慌てて体を起こし、元彌の頬を両手で掴む。

「何で急に泣くの?」

「ごめん・・・嬉しくて・・・」

涙がポロポロと溢れる。奏は心配そうに元彌を見つめながら、そばにあったティッシュを取り、元彌の涙を拭く。

「何がそんなに嬉しいの?」

「奏・・・言ってなかったけど、俺、奏の魔法をどうにかして解けないかと方法を探してたんだ。そしたらRINが調べてくれて、確証がないけどゲイで受けの人でも心から想い合う人と結ばれれば解けるって言われてたんだ。俺は奏に嘘ついたりは絶対しないけど、奏が他の人とうまく付き合って行く為にはやっぱり解かなきゃダメだって、絶対俺が解いてやるって・・・」

言葉を詰まらせながら、元彌は言葉をつなげる。

「奏に言わなかったのは、何かそれの為に体をつなげたと思われなくなかったし、もし上手く行かなかったら落ち込むんじゃ無いかと思って・・・。でも、あの日、奏も俺と同じ気持ちでいてくれたんだな・・・それが本当に嬉しい」

「元彌・・・」

「奏・・・俺、幸せだ。奏にも俺と同じくらい幸せを味合わせてあげたい。奏、俺を好きになってくれてありがとう。愛してる」

元彌は奏を引き寄せ強く抱きしめる。奏は元彌の背中に手を回し、バカだなぁと呟く。

「僕はとっくに幸せだよ。小さい頃、元彌に会えた時から、元彌と再会できた時から僕はずっと幸せだよ。元彌、僕も愛してる」

「うん、うん。ありがとう、奏」

「僕達はきっと大丈夫だ。だってお互い側にいるだけで幸せになれるんだもん。だから無理して努力なんかせずに、ただただ寄り添っていよう」

奏は体を離し、元彌の目を見つめ微笑む。元彌も微笑み返し、奏にキスをする。

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