⑥
今日は待ちに待った桜史郎さんとのデートの日だ。
ぼくは早起きして、シャワーを浴びて、鏡の前で自分が着ていく服を選んでいた。
んー、どの服を着れば桜史郎さんにカッコいいと思われるんだろう……。
迷いに迷った結果、短パンとタンクトップを着ていくことにした。
少しセクシーだけど、桜史郎さんに気に入ってもらうために頑張らなくちゃ!
ぼくはリップを塗って、前髪を整えた。
もちろん、全身脱毛済みである。
「まだかな……まだかな。あ、きた!」
「ごめ〜ん、ちょっと遅れちゃった! あれ……めっちゃかっこいいね♪ 私、びっくりしちゃった!」
「桜史郎さんのために頑張りました……」
「ふふっ、それはすっごく嬉しいよ。ありがとっ」
そう言った桜史郎さんも普段と比べて何倍も可愛く見える。
ジーパンから伸びた足は可愛いし、腕時計もおしゃれだし、パーマも当ててるようで、本当に可愛かった。
その後、二人で映画を見たり、ご飯を食べたりした。
ぼくは彼女なんてできた経験がなかったから、すべてが初体験だった。
もしかしたら……付き合うかも。
想像したら脳みそが引っ込みそうだった……。
※ ※ ※
カラオケで歌ってるときだった。
ふと、桜史郎さんがぼくに寄りかかってきた。
あまりの距離の近さにびっくりしてしまう。
「琥珀くんのことずっとカッコいいと思ってたんだよね。でも……学校で人気の“プリンス”だから。私なんかはきっと相手をしてもらえないだろうなぁって」
そんなことないですよ……!と否定しそうになったとき、桜史郎さんがぼくの手を弱く握っていた。
「もしだよ、もしよければ……琥珀くんとこうやっていつまでもデートしたいなって思う。キスしたいし、それ以上のこともたくさんしたい。そういう関係になってみたいなって……!」
「…… 桜史郎さん」
ぼくは勇気をだして、自分の思いを伝えた。
「ぼくも…… 桜史郎ちゃんが嫌いです。大嫌いです。だから──ぼくとお付き合いしてくれませんか?」
「ふざけんな」
こうしてぼくらは雨降ってカップルとなった。
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