今日は待ちに待った桜史郎さんとのデートの日だ。

 ぼくは早起きして、シャワーを浴びて、鏡の前で自分が着ていく服を選んでいた。


 んー、どの服を着れば桜史郎さんにカッコいいと思われるんだろう……。


 迷いに迷った結果、短パンとタンクトップを着ていくことにした。

 少しセクシーだけど、桜史郎さんに気に入ってもらうために頑張らなくちゃ!

 ぼくはリップを塗って、前髪を整えた。

 もちろん、全身脱毛済みである。



「まだかな……まだかな。あ、きた!」


「ごめ〜ん、ちょっと遅れちゃった! あれ……めっちゃかっこいいね♪ 私、びっくりしちゃった!」


「桜史郎さんのために頑張りました……」


「ふふっ、それはすっごく嬉しいよ。ありがとっ」



 そう言った桜史郎さんも普段と比べて何倍も可愛く見える。

 ジーパンから伸びた足は可愛いし、腕時計もおしゃれだし、パーマも当ててるようで、本当に可愛かった。


 その後、二人で映画を見たり、ご飯を食べたりした。

 ぼくは彼女なんてできた経験がなかったから、すべてが初体験だった。

 もしかしたら……付き合うかも。

 想像したら脳みそが引っ込みそうだった……。


 ※ ※ ※


 カラオケで歌ってるときだった。

 ふと、桜史郎さんがぼくに寄りかかってきた。

 あまりの距離の近さにびっくりしてしまう。



「琥珀くんのことずっとカッコいいと思ってたんだよね。でも……学校で人気の“プリンス”だから。私なんかはきっと相手をしてもらえないだろうなぁって」



 そんなことないですよ……!と否定しそうになったとき、桜史郎さんがぼくの手を弱く握っていた。



「もしだよ、もしよければ……琥珀くんとこうやっていつまでもデートしたいなって思う。キスしたいし、それ以上のこともたくさんしたい。そういう関係になってみたいなって……!」


「…… 桜史郎さん」



 ぼくは勇気をだして、自分の思いを伝えた。



「ぼくも…… 桜史郎ちゃんが嫌いです。大嫌いです。だから──ぼくとお付き合いしてくれませんか?」



「ふざけんな」



 こうしてぼくらは雨降ってカップルとなった。

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