運命未遂
はじめて会った日のことなんて全然覚えていない。一目見た時に風が吹いたり、運命だと何かを感じたりなんてちっともしなかった。それでも何回かは私たち、会っていたみたいだよね。例えばほら、友だちがサークルに入ったとき、貴方の名前が何度か出ていたの。実際に友だちに連れられてあった時、私貴方のこと背の高い人だってことしか印象に残らなかった。
それから一年が経って、オンライン授業でまた出会ったとき(私、その時も貴方だって知らずに話していたけれど)、不思議な響きの名前ってことくらいしか印象を持たなかったのよ。お互いに、何度か掛け合わされそうになりながらも、結局はそのまま今日の今日まで運命が流れてしまった。……いや、逆に言えば、そうしてすれ違っていった人がいる中で、何とか私は貴方の記憶にとどまれる場所に行きつけたのね。それが本当にうれしかった。今も嬉しいまま、貴方だけが隣にいない。
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