レッドPhantom編

第12推活 花びら連続大回転ってコト?!

「寝かせてきたよ。ベッドついたら、フカフカだぁ〜っていいながら秒で入眠してたウケる。あ、お風呂借りてもいい?」


「よっぽど疲れてたのかもな。ああ、こっちだよ」


 俺は脱衣所に案内した。すでに脱げてるような格好で脱衣所の密室に2人きりでいると、何かがたぎってきてしまう。


「あーしにもお着替え貸してくれる?」


「うわ、ごめんなんで渡してなかったんだろ……すぐ用意する」


「見たいからくれないのかと思ってたぢゃん」


「そんなわけ! ……そんなわけあるのかな」


 下半身に心が奪われているのかもしれない。もっと自分を疑わないとダメだ。


「知らんて笑 朝にランジェリーはえぐいからヨロ。あ、彼シャツしてみたいから、シャツ一枚がいい!」


「わかった、シャツ用意してここに置いとく。ドライヤーはここね。バスタオルはここ」


「てか一緒に入る?」


「え?!」


「凛々と最上っちが寝てる間に一緒にお風呂入るって、ちょっとエッチぢゃん?」


 桃は俺の服に手をかけてきて、ゆっくり脱がせようとする。 

 ちょっとエッチじゃないよ!!!!

 メガトンエッチだよ!!!! 


「ダメダメ、最上さんからの信用を無駄にしたくないし」


「ちぇ〜〜。いつでも覗いていいからナ」


「覗きません! ちょっと外出てくるから楽にしてて」 


「はーい」


 俺は脱衣所の扉を閉めた。

 凛と反対の事言ってきたな。俺は覗かないでと言われても、覗いて良いと言われても、覗きたくなるもんなんだなと学んだ。

 ダメだと言われた方がしたくなるという法則は、あまり関係ないようだ。 


 よし、やっと自由になった。俺はダッシュで外に出て、近場のピンサロでフリー3回転してきた。

 ふう、これで当分は性獣に心を奪われなくて済む。


 しかし、コンビニに寄ってから家に戻ると桃がシャツを着てソファーで丸くなって寝ていた。 


 ッッッッッッッッッッエ!!!!!!! 


 おかしいぞ、服を着る事で逆にエッチになっている。折り畳まれた太ももの間にピンク色のパンツが見えている。無防備な格好で無防備に眠る桃の破壊力は凄まじかった。


 俺は静かに、もう一度外に出てピンサロに行った。フリー3回転で、と伝えると店員に笑われた。令和の性獣ってあだ名で呼ばれ始めるかもしれない。誉れだ。


 家に戻り、ソファーで二度寝をする桃を見ないようにして、風呂に向かった。

 凛の時とは違う、お菓子のような甘い匂いがした。なぜ匂いが変わるのか、科学的に検証するためにも深呼吸をしたいが、我慢だ。流石にもう一度ピンサロに行く勇気はない。 

 シャワーを浴びながら今後の作戦を考える。 

 着替えとドライヤーと化粧水を済ませてリビングに向かうと、皆起きていた。 


「あれ、まだ14時ですけど大丈夫ですか?」


「世界様のベッド、信じられない勢いで体力が回復して目覚めました。睡眠の質がここまで変わるとは……」


「事務所にも置こうよ、クイーンベッド」


「仕事机とソファーを捨てないと入らないですね」


「捨てよ」


「うーん悩めますね、仕事もベッドの上ですればなんとか」


 桃の冗談なのか本気なのかわからない話を、最上さんが真剣に検討している。


「仕事机は流石に捨てない方がいいと思いますよ。これからPhantomで稼いで、引っ越してからにしましょう」


「そうですね、それが良さそうです」


「あ、これ一応皆さんの歯ブラシ買っておきました。よければ」


「何から何まで、ありがとうございます」


 凛と桃も喜んでくれたようだ。

 皆で歯を磨いた。お泊まり会みたいでなんだか楽しい。さっきまでピンサロで大回転して荒ぶる性獣を鎮めていたとは誰も思うまい。


 テーブルに戻り、3人にソファーに座ってもらった。麦茶とコーンフレークにヨーグルトを混ぜたものを朝食の代わりに振る舞った。俺はキッチンの台に同じものを置き、食べながら話しかける。 


「一度事務所に寄って桃の着替えをしたら、また1階建ての塔に行きましょう。平日に俺抜きでも攻略できるようにしたいので、その想定訓練を行います」


「では事務所近くの塔を予約しておきます」


 最上さんがスマホを出して、ファントムレーダーを起動した。一階建ての塔は、誰かが攻略してもすぐに別の場所に出現する。なくなる心配や奪い合いになることはなさそうだ。


「3人で大丈夫でしょうか?」


 凛が不安そうに言った。 


「大丈夫っしょ、スライムだし」


「ええ、世界様に頼りっきりなのもよくないですし頑張りましょう」


「大丈夫じゃなさそうならまた考えるよ。とりあえずやってみよう」


「わかりました!」


 凛がグッと拳を握りしめて俺を見た。いちいち可愛くて、俺の寿命と鼻の下が伸びていく。


「桃に木の盾とナイフを託す。だけど、桃は基本的には戦闘に参加せず、守りに徹してくれ。俺みたいな囮になる動きも禁止で、必ず2人のそばにいること。木の盾は上側が直線になって、下側は尖っているから、逆さまに構えて、スライム戦では地面に当てながら弾くように防御するように」


「りょ」


「最上さんと凛はスライムの核を打ってください。3人で距離をとりながら戦うことを忘れずに。桃の防御はいざという時の保険です。もし怪我をしたら最上さんがもってる薬草をケチらず使って下さい」


「はい」


「畏まりました」


「アイテムは拾いますが、目的はレベル上げです。ステータスの変化が、Phantom内での運動能力にどういう変化を起こすのか確認しましょう」


「りょ。じゃあ早速向かお〜」


 ゲームのPhantomと同じだとすると、経験値はまずパーティ全員に均等分割される。さらにダメージボーナス、ラストキルボーナス、防御ボーナスなど、戦闘に関わる加点がつく形だ。


 事務所を経由し、ダンジョンに到着したので、まずは4人で内部に入る。

 俺は戦闘には参加せずに3人の連携を確認したが、指示通り問題なくこなせていた。

 次は入り口で待ち、3人を見送った。心配でならなかったが、時間はそこまでかからずに帰還してくれた。

 一階建ての塔は、スライムが出るまでの部屋には何もないこともわかったのでサクサク進み、20〜30分で攻略できるようになってきている。


 それを3回繰り返したところで、凛のレベルが上がったと報告があった。1人だけ、となるとやはりボーナスの計算式だろう。

 スライムは核への攻撃一撃で勝てるので、次は桃と凛の役割を交代し、美鶴か桃がキルを取るように伝え、ダンジョンに行ってもらうと、3人とも無事レベルアップできた。

 特にこれといった違いは感じないようだが、ステータスがあがっていくにつれて身体能力については違いが出てくるはずだ。 

 スキルを覚えるのも楽しみだな。 


 一度休息をとり、今日の締めに二階建ての塔を攻略してみることにした。


        ☆☆☆

 ご愛読ありがとうございます!

 君のためなら生きられる。です。

 ここまでで少しでも面白い、続きが気になる、書籍&アニメ化希望、来年のセンター試験国語に採用されるべき、ハリウッド実写映画化が見えた、友達に勧めたい、直木賞間近だ、直木賞は流石に無理だろ、カクヨムコン10万文字間に合うの?、人の金で焼肉を食べたい、牛丼は吉野家より松屋派、のどれかを思った方は、シオリと星を頂けると大変励みになります!

 2〜3話はストックしながら、ほぼリアルタイム執筆で毎日描き進めていますので、読者の皆様のリアクションを糧に筆を進めております。現状間に合ってません!!

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