第3推活 本物のPhantomと同じってコト?!
俺たちは、塔が出来た通知のあった住宅街にある広い一軒家の前に来ていた。
道中、最上さんがアプリ等をいれてくれた。
その名もファントムレーダー。そのまますぎる。発生している塔を国に申告するか、国が発見するとファントムレーダーに登録される。それをいつ調査するかを登録したユーザーがホストとなり、パーティを組んだ人と攻略に向かう形だ。
自身で登録することは、中で起きることは機密事項として口外してはいけない契約を結ぶことと、国に全情報を譲渡する契約と、Phantomのアカウントページを紐付けるだけだ。
「鈴木様こんにちは。先程ファントムレーダーを通して連絡しました、最上です」
「はいー、すぐいきます」
最上さんがインターホンを押すと、中から住人であろう50代の女性が出てきた。
「あらー、ありがとうございます。お庭に出来て邪魔だから困ってたのよ」
調査、と国は言っているが、もしPhantomと同じだとしたらそれは討伐だ。ダンジョン内にはモンスターも出るはず。
5階より高い塔へのアプリ内での調査登録は、現状できないらしい。
そして、調査に成功した場合、その塔は消えるらしい。
Phantomユーザーで既に入った人は
「詳しいことは契約上言えないけど、Phantomやってる人は絶対行ったほうがいい。楽しすぎてトブぞ」
とツイートしていた。死者が出たなどの報道もない。元々国家公務員でPhantomをプレイしていた人が最初に調査に入ったが、あまりの多さに手が追えず、我々民間にも依頼が来るようになったんだろう。
庭に出ると、そこには小さな煙突のような、塔と呼ぶにもおかしい小さな建物があった。
「ガンダム? って言うのかしら。私はゲームしてなかったから、中に入ろうとしても入れなくてね。お願いしますねー」
鈴木さんはそういうと、家事があるのか室内に戻っていった。
「じゃあ、やってみます」
3人が固唾を飲んで見守る中、塔にある入り口に立つ。すると、扉が開いた。どうやら認証されたようだ。
「おお、すげえ。入りましょう」
桃と凛がサイドから俺の手を繋ぎ、少し怖がりながらついてくる。もうこの時点で、俺は骨が折れても構わないと思った。
最上さんも桃が腕を掴んで引っ張っている。意外と怖がっているように見えた。
全員が中に入ると、扉が閉まった。と同時に、室内が明るくなった。
「なんだこれ」
「すごいです」
「え、やば。Phantomぢゃん! アガッてきた」
「皆さん、気をつけてくださいね」
「わかってるよ最上っち」
塔が閉まると、中は外からは考えられないほど広い空間に出て、右と左に別れる道が出来ていた。
塔の中はPhantomの洞窟ダンジョンとまったく同じ様子だった。
正面をみると、人数分のタッチパネルがあり手をかざすように書いてある。
「おー、なんだろ? せーのでかざそ〜!」
「そうだな」
桃の明るさが緊張感をほぐしてくれる。
俺たちはパネルの前に立った。
「せーの!」
桃の合図に合わせて、パネルに手を当てると、室内全体に幾何学模様の電気が走った。
パネルからは手が離せなくなり、その上にPhantomのユーザー名と、現状のステータスが表示される。
「な、なんだ!」
強い発光が室内を覆い尽くし、目を瞑った。
目を閉じても眩しいほどの光に包まれ、発光が収まり目を開けると……俺はPhantomの装備を身につけていた。
「しゅげー! ゲームで見てた世界っちの見た目ぢゃん! ブラッディポン酢たん!!」
桃を見ると、ネイルがないVtuberの立ち絵と同じ服装と見た目になっている。
つまり胸元のはだけた制服だ。
Phantomでは武器以外の装備は、見た目に反映するか自分で選択できるため、アバターの着せ替えも楽しめる仕様になっているのだ。
俺はアバターはどうせフルフェイス装備で見えないだろうと思い、認証の際写真でとった自分の顔にAIがよせたものになっている。
装備は見た目に反映する設定なので、この前討伐した古龍の全身装備になっている。
「こ、この格好は現実だと少し恥ずかしいのです」
凛はおへそが出ている制服姿にかなりのミニスカートだ。下ろしていたストレートヘアは、ポニーテールになっている。口調もVtuberの姿になったからなのか、なのです口調に変わっていた。スカートを抑えて恥ずかしかっている。
尊みが深すぎてブラジルに辿り着きそうだ。
「ブラッディポン酢呼びは辞めてよ、恥ずかしいからさ。最上さんは大丈夫でした? ……え?」
「ま、まずいのです!」
「やべ」
「ぬわわわ」
☆☆☆
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