25,リアル?ノー・リアル?

 このやり取りを見ていた勇者が静かに笑い出して、「なんだ。良い魔人じゃないか。 王は嘘を吐いたのか!」と言った。


「私が、この元いた世界に戻りたがっていることを見越して言ってくれたのか。 なーんだ」


 勇者、怖い。 一人でなにをブツブツと。


 するとコチラを振り向き、また笑い始めた。


 えぇ〜、なんかした?俺。


 待てよ? そう言えば、さっきこの勇者。スキル〔瞬足〕を使っていたような?


 ということは、この世界でも使えるという事か?


 ちなみにこの時、勇者はというと。


 さやに剣を納めて、何も言わずに立ち去った。否、転移して消えた。


 とにかく、善は急げだ。


「あぁ・・・。 なぁ、山村?」


 近くに来ていた山村に、声をかけた。


「は、はい」


「ここで見たことは、全部。先生との秘密な?」


「・・・え?」


 困惑している山村を置いて、俺は念じた〔万能兵器庫ユニバーサリー・アーセナル〕と。


 すると目の前に俺にしか見えていないガンラックが現れて、その時脳裏に浮かんだAK-47が4つの弾倉マガジンと共に出て来た。


 思わず驚いた。


「マジかよ・・・」


 AK-47を手に取り、本物なのか検査してみた。コッキング・ハンドルを開け閉めして金属音を確認したり、マガジンを実際に差し込んで実射してみたりした結果・・・。本物だった。


「うわぁ・・・」


 俺は驚いたが、山村は軽く引いていた。


 それはそうだ、いきなりなんにも無い空間から実銃が出て来たのだ。


 現実ではない世界の仕組みなのだから、一般人からすれば非常識だろう。


 俺はその後も同じように念じては、M416やM16A3、M24SWSなどを取り出しては、実射していった。


 ただ、一つ気になったことがある。日本は警察や自衛官以外基本銃を所持してはいけない為に、抵触しないか心配になった。


 なので、後日試してみた。


 わざと警官の目の前で、取り出したM5A1を見せてみた。しかし、怒られるどころか「エアガンを見せられても、実銃所持とは判断できません」と言われた。


 つまり、世間からすれば実銃リアルではなく玩具ノー・リアルになるらしい。


 なんか、悪いことをしている気分だ。

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