11,マジデスカ・・・

 赤煉瓦レンガで作られた倉庫群に来た俺は、先に来ていた咲耶さや義姉ねえの連れの部下達と共に1つの倉庫扉に張り付き気配を殺していた。


 従軍していた時に嫌という程、頭に叩き込まれたハンドサインを駆使して咲耶さや義姉ねえと密に連絡しあっていた。


【俺1人で突入するから、咲耶さや義姉ねえ達は出てくる人質と理事長の安全を最優先で護って?】


【ダメよ。それだと、あなたと引き換えでしょ? 絶対に許さないから】


【そんな事で・・・】


【そんな事でしょ? お義姉ちゃんを独りにする気?】


 泣く真似をし始めた時、中から怒号が聞こえた。


「このクソアマがぁ!」


 どうやら、中で何かあったらしい。声からして45歳くらいの男性か?それに靴音の数から最低でも5人程だな、うん・・・楽勝だな。


 俺が静かに立ち上がると、袖を引っ張って静かに首を横に振る咲耶さや義姉ねえ


 だが、それを払い小声で「I will be came back. (必ず戻ります)So don’t worry.(だから、心配しないで)」と言って壁を素早く登り窓を蹴破って中に突入した。


 ガラスが割れてコンクリの地面に落ち音が建物内に響き渡る中、派手な登場に驚いていたのは想定した人数通りの男どもだ。黒マスクに黒メガネ、いかにも犯人のような出立ちだ。


 それに、手には短剣ナイフ拳銃ハンドガンを装備している。


「だ、誰だ!?」


 主犯格と思われる大柄な男が、俺に刃先を向けて声を上げた。


「ん? 俺か?」


「他に誰が居る! テメェのことだ!」


ただの・・・非常勤講師さ」


 ざっと周りを一瞥すると、縄で括られて気を失っている山村やまむらを発見した。更に周りを見ると顔に青痣を付けられた森山もりやま理事長を見つけた。


「なんで、こんな事をしたのか。聞いても?」


「ハッ! ああ、良いぜ? 俺たちはな、被害者なのさ!そこの山村組の所為せいでな!!」


 山村組って、確か・・・ヤの付く組織じゃん!!!


 えー・・・、マジデスカ。

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