第92話 神の試練
視界が不思議に捻じれて気が付くと、僕は不思議な遺跡の中心に立っていた。
空はどこまでも続いている青い晴天の空。
地面は大理石で作られており、曇り一つなく真っ白な巨大柱がいくつも立っているが、本来柱が支えるはずの天井は存在しない。
柱は等間隔で立っていて、僕が立つ場所は遺跡の中心部のように見える。
僕が立つ広間は、ドーム程の広さがあって、広間内には何一つ存在しない。
ただただ広がっている空間に、放心状態になっていると、僕の前に小さな光が現れた。
「お前が挑戦者か!」
「うん? 光が喋った!?」
「そりゃ喋るだろ!」
少し乱暴な口調で答えが返ってくる。
よくよく見ると光ではなく、小さな妖精さんだ。
男の子のようで、金色の短髪、ラフな格好に背中には四枚の透明な羽根が生えている。
「僕、妖精さんなんて初めてみたよ」
「っ!? お前……僕の姿が見えるのか?」
「うん? 見えるよ~」
「…………ん? スキルなし!? は!?」
「あれ? もしかして、僕のスキルを覗いたの?」
呆気に取られた妖精は目を細めて僕を見つめてくる。
三分程見つめてきた妖精は「ああ! わかんねぇ!」と空中で両手両足をジタバタさせた。
「あはは……なんかよく分からなくさせてごめんね? でも大丈夫。ちゃんと〖精霊眼〗は持ってるから」
「本当か!? てか、持ってなかったらここに入れないだろうし、僕が見えるのは本当のことみたいだから、信じてやるよ」
「ありがとう。僕はユウマ。君は?」
「先に自分から名乗るのはよし! 僕はこの遺跡の案内妖精ティクルだ!」
「ティクルくんね。よろしく~」
「…………神の試練に来たというのに、緩いやつだな」
「あはは……」
一応どんな試練でも乗り越えるって覚悟は決めているよ?
「まあ、いいや。ではここから神の試練を受けてもらうかんな! 早速始めます。最初の相手はこれ」
ティクルくんがそう話すと、後ろに全身鎧姿の人間が一人現れた。
「戦えばいいのか?」
「さあ。それも含みで自分で考えな」
「ええええ!? それだけ?」
「そうだ! 神の試練舐めんな!」
すると全身鎧の人が剣を抜いて僕に斬り掛かって来た。
異空間収納に入れていた新生フランベルジュを取り出して跳ね返す。
ティクルくんは「ひゅ~」と口笛を鳴らした。
それから鎧人との戦いが始まった。
何度も何度も剣をぶつけ合うが、強さは正直にそう高いものではない。
これなら僕でもずっと耐え凌ぐのは難しくないし、勝とうと思えば、いつでも勝てるくらいだ。
ひとまず試してみるか……!
鎧人の隙を見つけて、急所を斬りつける。
鎧人は影のようになってて、血とかはでなかったけど、そのまま急所を斬られてその場に倒れ込んだ。
その時、僕の後ろに人影が一人現れる。
こちらに向かって殺気は感じない。
すると、鎧人が起き上がると――――二人に分裂した。
一人は右手に剣を、もう一人は両手に槍を持っている。
剣鎧人と槍鎧人はそれぞれ動き出した。
剣鎧人は僕に、槍鎧人は僕の後ろにいる少年のような影に向かって走り始めた。
少なくとも槍鎧人が影少年を攻撃しようとするのは見るからに明らかだ。
急いで槍鎧人を横から攻撃しようとした瞬間、さっきよりも強くなった剣鎧人が僕に体当たりしてきた。
それ程強くなかったのでダメージはないが、体勢を崩してしまって、槍鎧人の槍が影少年に届きそうになっていた。
「――――〖
槍鎧人と影少年の間に火の壁を作って妨害する。
が、魔法を無視して突破していった。
炎帝モードになって全速力で槍鎧人を吹き飛ばす。
すぐに追いついてきた剣鎧人も吹き飛ばした。
するとまた「ひゅ~」と口笛の声が聞こえる。
「君。中々やるね。でも……どこまで持つかな?」
次の瞬間、影少年が二人に、鎧人が四人に増えた。
「ねえねえ。どうして影少年を守るの?」
「神の試練の意味は分からないけど、影少年達を守らなければと思った。だから守る」
炎帝モードになれば、普段よりもずっと強くなれる。
おかげで鎧人に負けず、難なく倒すことができた。
しかし――――倒す度に影少年と鎧人が倍ずつどんどん増えていった。
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