第42話 最弱魔物はやっぱり弱い?
昼食を終えて、午後からの授業のためにセシルくんと一緒に教室に戻る。
「それにしてもユウマくんって凄いね……王子様と普通に話せるし、
「たまたまでね。ガイルくんたちは同じ寮で暮らしているからね。まさかみんなSクラスだと思わなくて、僕だけ違うクラスになっちゃったんだ」
「そっか…………僕は剣術はからっきしだから良く分からないけど、ユウマくんの剣術って凄いと思ったんだけど、やっぱり才能なしで入学って大変なのかも知れないね」
「そうみたいだね。でも才能なしでもちゃんと訓練を続ければ強くなれるから」
と言っても、僕だって両親や村人たちのスキルを複写しているけれど…………でも学園に入って思うのは、いくら才能でスキルを得ていてもそれをどう使うのが大事なのかを知った。
というのも、同じクラスでも強い才能を持っている生徒もいた。
でも碌に鍛錬を積んでいないのか、剣術が幼かったりと足りない部分が目に入る生徒が多かった。
午後からの授業は実技の授業となっている。
実戦に重みを置いているからこそだと思う。授業で魔物討伐とかにも行くという。
午後一番の実技授業は、魔物広場だった。
魔物広場というのは、魔物を従魔として契約している従魔師たちによって使役された魔物たちが飼われている場所だ。
というのも、最初から魔物に対峙するよりも、こうして身近な魔物で体験することでより恐怖を感じないで済むという方針だ。
魔物広場に集まると次々初めて見る魔物が現れた。
〖上級鑑定〗を発動してどんな魔物がいるのかなと眺めると、意外にも高くてCランク魔物で、他はDランクからEランク魔物ばかりだった。
以前戦ったBランク魔物もそうだったけど、どうしてか魔物ってパッと見は弱そうに見える。
ただ、あの時に戦った鹿角牛は急激に強くなった。
それから外の魔物は戦闘中に本気を出すと思われる。だからBランク魔物よりも低いけど、Cランク魔物でも油断してはいけない。
Eランク魔物はさすがに…………いや、油断して負けそうになったんだから、ちゃんと観察しないと…………!
それからデモンストレーションを行うということで、僕に『スキル0』というあだ名を付けたオリヴァーくんが相手になることになった。というのも、彼はCクラスで一番強い人らしくて、次のシーズンでBクラスに編入が一番近いと噂されていた。
オリヴァーくんとEランク魔物のデモンストレーションが始まった。
Eランク魔物の名前は『ディアー』という普通の鹿の見た目の魔物だ。
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個体名:ディアー
種 族:Eランク魔物
弱 点:火
筋力:F- 耐久:F-
速度:F 耐性:F-
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…………つ、強いのかな?
ステータスだけなら才能なしのレベル1よりも弱い気がするんだけど。
唯一速度だけがFで他は全部F-になっているけど……。
ステータスだけならまず負けるはずもないのだが、大丈夫だろうと思う。
「では、開始!」
従魔師の先生の合図で戦いが始まった。
従魔は基本的に攻撃しないので、それに向かって色んな攻撃を試みる。
オリヴァーくんは成績優秀というだけあって、素早さも早くすぐにディアーに次々木剣で何度も叩き続けた。
それを避けようと思っても避けられず、数回叩かれて大きく吹き飛んだ。
「そこまで!」
見守っていた回復魔法が使える先生がディアーを回復し始めた。
やっぱりEランク魔物は弱いのかな?
いや……やっぱりオリヴァーくんが強すぎるのかも知れない。
魔物広場体験授業が終わりを迎えて、次の場所に移動する。
次の場所は魔法系統が主軸で、魔法が使えない人は自習錬とのことで、グラウンドを走ったり、筋トレしたり、手合わせする人がいた。
「…………ユウマくんだったかな?」
「はいっ」
「君はたしか才能がなかったはずだが……」
「えっと……才能がないと聞いちゃダメですか?」
「いや、聞くだけなら問題ないが、時間は有効活用した方がいいと思うが……まあ、好きにしてくれて構わない」
先生の許可もおりたので、授業を眺める。
魔法の基本の説明があったり、魔法の使い方の説明が続いた。
入学している時点で使える人が大半なのであまり簡潔に説明が終わり、今度は実際に魔法の使い方についての授業が始まった。
普段考えも付かなかった魔法の使い方の説明など、より実践を重要視した授業が非常にためになった。
そんな学園生活の日々を繰り返し一週目が終わった。
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