第14話 家族の絆

 マリ姉ちゃんと絆が最大値となり、手に入れたスキルもかなり多い。


 スキル〖水魔法・超絶〗〖風魔法・上級〗〖雷魔法・上級〗〖詠唱破棄・中級〗と、レジェンドスキル〖豊かな自然〗を貰えた。


 こう見ると少ないように見えるんだけど、実は殆どのスキルは既に持っているというか、母さんと父さんが持つスキルと被っている。


 その中から新たに覚えたスキルはこの五つだ。


 雷魔法って水魔法と風魔法の上位属性となっていて、水魔法と風魔法が両方使える人だけが覚えられる属性魔法となっている。


 そして〖詠唱破棄・中級〗というのは魔法に限ってはどの属性の魔法も中級までなら詠唱を破棄する代わりに、威力半減で撃てる優れものだ。


 威力が半減しても、このスキルを所有している時点で魔力が高くて便利なスキルとの事だ。


 …………僕は魔力D-なんだけどね。


 そんな事は置いておいて、水撒きができるので果樹園のお仕事は色々手伝いやすくなった。


 更にマリ姉ちゃんが持つレジェンドスキル〖豊かな自然〗は、指定した場所の周囲の作物を豊かにするというスキル。


 つまり、村にいるだけで村で育てた作物が巨大になるし、大量に実るし、美味しいらしい。


 今まで美味しい食材を食べられたのはマリ姉ちゃんのおかげだったりする。


「今日はマリちゃんと一緒かえ~」


 帰り道、サリ婆さんが声を掛けてくれる。


「サリ婆さんもそろそろ終わりにしないの?」


「じいやが頑張っておるからね~それにしても本当の姉弟みたいだの~」


 目を細めて優しい表情を浮かべるサリ婆さん。


「もちろんだよ~マリ姉ちゃんとは本当の姉弟みたいなもんだから! ねっ! マリ姉ちゃん」


「そうね。はあ……私の名前もバレちゃったし」


「!?」


「サリばあ。ごめんなさい。私の事、ユウマにバレてしまったわ」


「そ、それは……」


「サリ婆さん。大丈夫。僕は誰にも言わないし、両親にも言わないよ。マリ姉ちゃんとも約束したんだから。約束はちゃんと守る!」


 驚いた表情でマリ姉ちゃんを見つめると、マリ姉ちゃんは笑顔で頷いてくれて、サリ婆さんも納得したように安堵の息を吐いた。


 マル爺さんとサリ婆さんにも話すつもりはなかったけど、マリ姉ちゃんが話したのならいいと思う。


 家に戻ると、母さんが満面の笑顔で出迎えてくれる。


 今日頑張った仕事の事を母さんに話すと楽しそうに聞いてくれた。


 ふと、兄が僕に向かって色々話してくれていた時の事を思い出す。


 あの時の僕と、今の母さんは似てる気がする。


 きっと母さんも元気になると信じている。それまで、僕と父さんでちゃんと支えていきたい。




 その日の夜。


 外で暖かいミルクを父さんと二人で飲みながら、明るい月を眺める。


「父さん。父さんは僕が村の外に出る事に反対する?」


「…………ああ。反対だ」


「理由を聞いてもいい?」


「外には強い魔物も沢山いるんだ。才能もスキルもないユウマが外に出る事が心配なんだ。それなら村で安らかに暮らして欲しいと思う」


「そっか。なら戦う力があるなら反対しない?」


「そ、それは…………」


 言葉を濁す父さん。きっと父さんも出て欲しくはないんだと思う。


「父さん。僕はどうしても兄さんを追いかけたい。だから、強くなるよ」


 ゆっくりとコップを置いて、広い庭に出た。


「――――〖炎帝〗発動」


「なっ!?」


 僕の全身が炎で包まれる。


「これって父さんの力なんでしょう?」


「な、なっ!? どうしてユウマがスキルを!? しかも、そのスキルは…………」


 母さんにバレないように最弱で使っているので、僕の体を綺麗に覆う炎だけだが、暗い夜空の下、赤く光る炎の光はまるで希望の光のようだ。


「父さん。見えないかも知れないけど、僕にはちゃんと力がある。もちろん父さん母さんのように強くはないけど、これから強くなりたい。だから――――お願いします! 母さんが良くなったら、一緒に説得して欲しい! そして、僕にもっと強くなる術を教えてください!」


 深々と頭を下げる。


 体を覆っていた炎が消え、また暗い夜空に染まっていく。


 しかし、雲に隠れていた月が少しずつ姿を現し、美しい青色の光が暗かった世界を照らした。


「…………そうか。ユウマには俺達でも知らない特別な力があったんだな。――――――――分かった。ユウマの頼み。しかと承った。ただし、母さんがちゃんと立ち直ってからだ」


「うん!」


 その日から父さんは僕にとって最高の理解者となってくれた。


 それに母さんを明るくしたいという目的が一緒の――――仲間でもある。




 そして、日々は通り過ぎ、半年が経過した。




 その日もいつも通り農業を頑張っている。


 ただ一つだけ違う点があるなら、スキル〖探知〗で確認した母さんが窓際から僕を見守っていたのが、無くなったという点だ。


 やっと母さんも立ち直った気がする。ゆっくりと時間を掛けて少しずつ信頼を積み重ねたからこそ、今の母さんの笑顔は心の奥から出た昔のような無邪気な笑顔だった。


 その日の夜、父さんは知っていたが、改めて両親に僕が持つ才能について伝えた。


 深い愛情に繋がった相手のスキルを貰える才能である事。


 深い愛情は僕が生まれて間もない頃に二人と繋がった事。


 母さんは――――――嬉し涙を流した。




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 名 前:ユウマ・ウォーカー

 才 能:絆を紡ぐ者

 レベル:10/20


 体 力HP:D-  魔 素MP:D-


 筋 力:D-  耐 久:D-

 速 度:D-  器 用:D-

 魔 力:D-  知 力:D-

 耐 性:D-  運  :D


 レジェンドスキル:

〖炎帝〗〖天使降臨〗〖精霊眼〗

〖経験値獲得率上昇・上級〗〖上級鑑定〗

〖限界突破・下級〗〖豊かな自然〗


 スキル:

〖身体能力上昇・超級〗〖運気上昇・極級〗

〖魔力能力上昇・超級〗〖反応力上昇・超級〗

〖魔素消費軽減・超級〗〖二重詠唱〗

〖詠唱速度上昇・超級〗〖高速詠唱〗

〖詠唱破棄・中級〗

〖全属性耐性・中級〗〖光属性耐性・超級〗

〖闇属性耐性・極級〗〖能力低下耐性〗

〖毒耐性〗〖麻痺耐性〗〖石化耐性〗

〖睡眠耐性〗〖沈黙耐性〗〖減速耐性〗

〖魅了耐性〗〖恐怖耐性〗〖幻惑耐性〗

〖即死耐性〗〖遠見〗〖暗視〗〖探知〗

〖隠密〗〖聞き耳〗


 マスタリー:

〖剣術・超級〗〖武術・超級〗

〖武器・超級〗〖鎧・超級〗

〖聖物・超級〗〖料理・上級〗

〖火魔法・上級〗〖水魔法・超級〗

〖風魔法・上級〗〖雷魔法・上級〗

〖光魔法・極級〗〖無魔法・上級〗

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