5話 フラれた男子は相談する

 葵音に告れだと!?


 何を馬鹿なことを言っているのだこの男は。


 もう一回フラれたし。


 しかもあんなこともあったし、、


 ここは、もう過去のことを彼には伝えた方がよさそうだ。


 「いや、実はさ、、俺、、、、」


 過去のことを洗いざらい話した。


 

「は???嘘だろ????」


 かなり驚いているようだ。


 そりゃそうだ。こんなこと、どこのラブコメ展開だろう。


 「で、そんな運命的な出会いをしたのにも関わらず、今最悪最低の状況だ、と」


 俺は聞いてみた。


 

 「どうすればいいと思う?」



 彼しかいないのだ。俺が相談できる相手が。


 しかも彼は人付き合いに慣れてそうなのでちょうどいい。

 

 「ふっふっふっ、そうくると思ってました!そういうことはこの白波大輝にお任せあれ!

 

 要するにどうやったら石川さんと仲直りできるかってことだろ?」


 俺は頷く。


 「じゃあ、とっておきの解決法をお前に教えてやるよ!」


 彼は続ける。


 「まあ、謝るのが一番なんだけど、会話を拒まれてるから、それはちょっと関係が良好になってからにしよう


一番大事なのはこっからだ よく聞いとけよー


 

 "変わった自分を見てもらう"



 これが一番だと思うわ」


 

 至極当たり前のこと。


 俺も分かっている。


 しかし、当たり前ではあるが、かなりの難題である。


 人はそう簡単には変わらない。


 変わらないから、今こういう状況になっているのだ。


 「どうすれば、変われる?」


 と、聞くと


 「まず、お前は直すべきところが多すぎるから


 そーだなー、やっぱまずは喋り方かな?


 ほんと童貞なんだよなお前の口調


 

 人ってそう簡単に変わらねーってことはもちろん俺だって分かってるよ


 だから、まず喋り方とか、あと他にも、、、ほら、その猫背をなおして、姿勢良くするとか


 直しやすいとっから直していこーぜ」


 優しいなと思った。


 ここまで言ってくれるなんて。


 本当に感謝の気持ちでいっぱいだ。


 すると、彼がそれを見透かしたように


 「今俺から言うのも何だけどよ


 今お前、俺に感謝の気持ちを持ってんだろ?


 それを人に伝えるって事が大事よ


 思ってるだけじゃ伝わんねーんだ


 別に俺に言えって言ってるわけじゃなくて


 石川さんも絃羽のこういうとこも直してほしいんじゃねーかな?」


 ぐうの音も出ない程の正論である。


 確かに、転校してからの俺は自分の気持ちを葵音に伝えることをしていなかった。


 だからまず、俺は素直に


 「ありがとう 俺のために色々アドバイスしてくれて ほ、ほんと感謝してる!!!」


 目の前の人に感謝を伝える。


 「お、そうだそうだ 

  

 じゃあ、その見返りとして、俺からも一つお願い事だ


 俺と友達になってくれ


 今のクラス喋れるのお前しかいないんだよ」


 断る理由もなく


 「う、うん もちろん こんな俺でよければ」


 俺と大輝は友達になった。


 「おっと、そろそろ授業だぜ 急ぐぞー!」


 「う、うん!」


 こうして、俺は自分を変えるための第一歩を踏み出した。

 


 


 

 

 

 

 

 


 

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