3話 白波大輝

 うちのクラスに転校生が来た。


 2人。城山絃羽っていう男子と、石川葵音っていう女子だ。


 このクラスは、この高校の中でも成績が上位の生徒が集められる。


 転校生でこのクラスに入ってくるってことは、この2人、相当頭がいいのだろう。


 俺が一年生のときに仲良くしていた奴らは、全員勉強が得意ではない。


 てなわけで、このクラスに俺の友達は誰1人いない。


 俺にとって、絃羽という存在はかなりありがたかった。


 お互い友達がゼロだからだ。


 初日から俺は絃羽に積極的に話しかけに行った。休み時間はずっと絃羽の側にいた。


 でも残念なことに、どうも絃羽は心を開いてくれない。初日だから仕方ない。



 そしてその日の放課後、俺は見てしまった。


 絃羽と石川さんが裏門で2人で話しているところを。

 

 告白?転校生同士で?いや流石に無いか?


 気になるので物陰に隠れて会話を聞いてみようとしたが、全く聞き取る事ができない。


 そして数分した後、石川さんが帰って行った。

 

 この短さ、絃羽が告って失敗しちゃった感じか?


 いやでも絃羽はそんな出会った初日に告白するようなガツガツタイプでは無い


 ただの用事か?いやそうでもなさそう


 とにかく何の話かは全く分からなかった。


 しかしながら、俺には一つだけ分かったことがある。


 

 "絃羽は石川さんのことが好きだ"



 遠くからでも分かった、あの顔の赤らめ方。

あのきょどり方。あの目の逸らし方。


 完全に恋に落ちている。


 そっかー 絃羽は一目惚れタイプかー

 

 絃羽がこちらの方向に向かってくる。


 やっべバレる、俺も帰ろう。


 流石に意図的に覗き見してたことをバレるのは良くない。あくまで偶然を装って。


 

 よっし、これが仲良くなるチャンスだ。


 

 

 

 


 

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