1話 フラれた男子は救われる
「はい、じゃあ自己紹介をしてもらいましょうか!まずは城山君からお願いできる?」
先生は俺に死刑宣告したらしい。
自己紹介、それは地獄のひととき。
こんな大して紹介するようなこともないモブの紹介などやる必要がないし、むしろ誰も必要としていないので、こんなものなくしてしまえばいいと思っている。
さらに、俺は人前で話すことに慣れていない。一対一でもまともに人と話せないのに、一体どうやって人前で話すことができるだろうか(いやできない)。
しかし、ここで「嫌です」なんて言えるはずもなく。
「、、、、」
まずい。何も言葉が出てこない。沈黙が長引いていくにつれ、クラスの雰囲気の悪さは増していく。
あーやばいやばい。そう焦っていると,
「先生、私からしてもいいですか?」
隣にいる一緒に転校してきた女子がそう言った。
「そ、そうね!じゃあお願いします!」
「私の名前は
拍手喝采。
俺は情けないところを見せてしまった挙句、さらにフォローまでしてもらった。
最悪の気分である。
隣を見ると、葵音が少し頬を膨らませて不満げにこちらを見ている。
「ありがとう!じゃあ城山君、もう一度お願いします!」
一呼吸おいて
「ぼ、僕の名前は
拍手が疎らにとぶ。
そんな感じで葵音のフォローもあり、なんとか自己紹介を終えた。
転校生ということもあり、席は後ろらしい。
葵音と隣。なんという気まずい状況。
「はい、じゃあ転校生の紹介も済んだところで、これでHRを終わります!」
挨拶が済むと、周りのクラスメイト達が
「待って、石川さんちょーかわいくない!?」「めっちゃタイプなんだけど」「話しかけ行こうかな?」などなど、、、
俺に興味はないのか!?
ただこればかりはしょうがない。あんな最悪の自己紹介をしたわけだ。当然のことだ。こんなモブに誰が興味を持つだろうか(いや持たない)
みんなが噂するように葵音はかわいい。
髪型はポニーテルだ。非常に艶やかで目を奪われる。歩くときその束ねた髪がかわいらしくぴょんぴょんはねる。
ぱっちり二重で涙袋がくっきりみえる完璧な目の奥の瞳はシリウスのような輝きを放っている。
肌荒れを知らない白い肌は毎日スキンケアを欠かしていないであろう努力が伝わる。
スタイルは、ぽっちゃりでもなく、かといってガリガリではない健康体だ。程よい肉付きで、ほかの人より少しばかりくらいの大きさの胸が、男の理性を崩壊させていく。
俺のポケットに入れていたスマホに通知があった。
すぐ隣にいる葵音からのメールである。
「「今日の五時半、裏門集合」」
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