転校先で再会したフラれた男子とフッた女子

紙ト六五

プロローグ フラれた男子は奇跡を起こす

 高校生の転校は難しい。


 高校生で転校するとなると、学校を選ぶなんて贅沢なことはできない。

 欠員が出ている高校にしか転校できないのだ。そしてさらに、その高校の転入試験に合格する必要がある。転入試験は狭き門だ。


 しかし、俺はたまたま自分の学力にあった高校の転入試験に合格し、晴れて志望校に転校することが決まった。奇跡以外の何物でもない。


 そこから春休みを経て、ついに始業式を迎えた。

 転校生は教室に行くのではなく、いったん別室でいろいろと説明を受けてから教室に向かうらしい。


 その部屋に着くと付き添いの先生から、「もう一人くるからそこで待ってて」と言われたので指定された席に座った。


 このことは事前に聞かされていたが、名前、性別など詳しいことは知らなかった。

 唯一聞かされていたのは、同じクラスだということだけだ。

 できれば人当たりのいい人が来てほしい。人見知りの俺にも優しく話しかけてくれるような。とにかく自分に害のない人がいい。


 そう考えていると、突然ドアが開く。目を向ける。


 「あ、葵音あおぉぉ!?」

 

 俺は彼女を見た瞬間、そう叫んでいた。

 俺が叫ぶと彼女は不思議そうに俺のほうを見て


 「い、絃羽いとはぁぁ!?」

 

 これが2人の転校先での奇跡すぎる再会だった。


 


 





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