第7話 家族会議

 そこまで読み進めた時、玄関で声がした。ただいま、というその声は、いつも通りのパパだった。私は階段を駆け下りて、まだ靴を脱ぎ終わっていないパパに問いかけた。

「ねえパパ、自分の親が死んじゃったのに地元に帰らないのはどうしてなの!? どうして普通にしていられるの? 悲しくないの? 人としておかしいよ!」

 どうしたんだ、と言いかけたパパは、だけど、私の言葉を理解したのか、その場で固まってしまった。

「この質問は、プログラムされてなかったの?」

 パパが目を大きく見開いた。私があのアカウントを見たことに気がついたのだろう。

真海まみの聞きたいことにちゃんと答えるから、着替えさせてくれ」

「……分かった」


 パパが部屋に消えていったそのタイミングで、また玄関の扉が開いた。ママが帰ってきたのだ。

「ちょうど良いタイミングで帰ってきたね。パパのこと、聞いたよ。ママも後で話して。リビングで待ってる」

 ママはいつもの笑顔のまま、分かった、と言って部屋に消えていった。

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