寮生活開始!

とりあえず馬車を降り、クラリスと二人で寮の玄関まで向かった。

この学校の寮は大きく3つあり、アイリス寮、ステラ寮、トル寮の3つに分かれている。

その中でも王族・上位貴族、下位貴族、平民の3フロアに分かれる。

なのでクラリスと同じ寮になったとしても一緒に生活することはできないが、寮対抗のイベントなどがあるため同じになれる方が良い。

「ネアリ!寮同じよ!!」

クラリスはとても嬉しそうに言った。

「クラリス様本当ですか?」

「本当よ、ここを見て!!」

そうクラリスが指を指した方を見ると、確かにクラリスと同じアイリス寮になっていた。

「アイリス寮に入れるなんて運がいいわね!」

「えっと、どういうことですか?」

「あら、ネアリは知らないのね。アイリス寮は一つ上の学年に人間の王子のライト様がいらっしゃるのよ。ライト様は世代的に500年のあの年に被ってしまうから王にはなれないけれど次代の王は彼の子供になるでしょうね。併せ持つものはその本人が優秀なだけで子供に優秀さは受け継がれないからもう一度王族の統治に戻りますし。」

全く知らなかった。でも確かにこの寮に入るとライト様にお近づきになれる可能性がある。

将来城に勤めたい私としてもライト様に近づいて損はないが、そこまで上昇志向がある訳ではないので運よく仲良くなれたらいいなとだけ思った。

「クラリス様はライト様と面識があるのですか?」

「まあ親同士が仲が良いのでそれなりに仲がいいとは思うわ。関係性で言うと悪友に近いかもしれませんね。ライト様と私とお兄様の3人で悪戯ばかりしていたので……今思うととても申し訳ないことをしていたなと思いますわ…」

「ま、まあ小さい頃は色々やらかすことも多いですから仕方ありませんよ。私もよく孤児院の部屋の入り口にいろんな罠を作って孤児院の人たちを困らせていましたし…」

「やはり小さい頃と言うのは皆そうですのね。安心しましたわ!」

いや、安心するものではないと思う。

もうそろそろ人が増えてきたので、

「ではクラリス様、もうそろそろそれぞれの部屋に向かいませんか?フロアは違いますけど後でまた会えるでしょうし。」

「そうねネアリ。また後で会いましょう!!ひと段落ついたら私の部屋に来ても良いわ!」

「ええ、後で向かわさせていただきます。」

そうしてクラリスと別れ、自分の部屋へ向かった。

平民は相部屋だ。階段を上がりながらどんな子が同室なのか楽しみだなと考えていたら自分の部屋の前に来た。ドアの横の札には「ネアリ、ライラ」と書いてある。同室の子はライラと言う子らしい。ライラがいい子だといいなと期待に胸を膨らませドアを開けたのだった。

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