第31話 空気?俺は読まないね。窒素、酸素(ry


やっぱり宝蔵寺家ほうぞうじけの娘がボクに絡んできたのは、聖女関連か…


ある程度の察しはついていたが…釘も刺したし、特に支障はないかな。


宝蔵寺ほうぞうじが評判の精神科を成田※主人公に紹介され、キレ散らかしている中、勿論だが碧唯あおいたちは違う学食で昼食をとっていた。いつもボッチ飯を食べている成田一応主人公の名前と違いこちらは大人数。


各々が好きなようにしゃべるため、とても賑やかであった。


「今日のご飯何にする?」

「私はお金ないから、カレーかな~」

「じゃあ、私はプルダックポッキュンミョン」

「プルダックポッキュンミョン!?」

「おばちゃん、焼きそば一つ!」

「はいよ~!自家製カレーね」

「お前ら会話へたくそか?」


無意識に彼を探す視線がどことなく宙に消えていく。

学食内も、大人数が食べることが出来るため、活気に満ちていた。会話に混ざりながら、時々笑い声も聞こえてくる。


「はぁ…」


各々の生徒たちが、楽しそうに会話を交わしており賑やかな雰囲気が漂っていた。だというのにお目当てのモノは見つからず、少しがっかりだ。


最近は、クラス内で親睦を深めるために、皆で食事をすることが多く、今回もそれを目的としたものなのだ。


チラホラと何人かは参加しないのだが、それでもクラスの多くは皆と仲良くしようとする人は多い。


あ、もちろん主人公の名前はクラスの雰囲気なんぞ関係なしに少数派で行動している。


空気系ではない。空気系なのだ。(ドヤッ)


碧唯あおいのいる学食は、安くて量もそこそこ多いため、多くの生徒で溢れかえることとなる。


大きな石をひっくり返したときにいる虫のようにウジャウジャといる人間に編入組は慣れないようだ。


「どうしたの、碧唯ちゃん?元気がないみたいだけど」


昼ご飯が載ったトレイをテーブルの上に置きながら、碧唯あおいの隣に座る優実ゆうみ


「ああ、あまりに人が多すぎてね。少し参ってしまったんだよ」

「確かに、ここの学食は安くて多いから人が多いんだろうね~」

「そうだね」

「私も食べ過ぎには注意しなきゃ」


にゃははと笑う彼女は男女ともに人気が出るであろう爛漫らんまんな笑顔を向けてくる。


「優実は巫女みこ…だとあまり動かないか」

「そうなんだよね…動かないのに、食事の量が変わってないから体重とか心配だよ」


固有術式の変換効率へんかんこうりつが特段高い人間全般を指す巫女みこ


夏帆かほとかとも同じのを受けているだろ?どうだい?彼女は?」

「夏帆ちゃんはすごい…その一言に尽きるよ!」

「だろう?―ッ…痛いじゃないか夏帆かほ!」


ドやっていると、いきなり後ろから殴られるものだから、驚き振り向く。

当然そこには犯人がいるわけで。


「すみません、碧唯ちゃんのしたり顔がムカつい―碧虐あおぎゃくをしたくなりました」

「この…」

「あ!夏帆ちゃん!」

「ども…です」


優実のキラキラした目をむけられることに居心地が悪くなった夏帆かほは、不愛想に返事をし、碧唯の隣で黙々と食べ始める。


「アハハ…夏帆かほちゃんは、もうこの人混みに慣れた?」

「いえ、そもそも学食を使うのが指で数えられるほどしかないので、慣れませんね……」

「へぇ~、あれ?夏帆ちゃんはいつもお弁当だっけ?」

「何言ってるんだ?優実。夏帆は昼休みになると先生に課題の徴収で職員室に連れていかれてるじゃないか。だから必然的に昼ご飯を食べれないんだよ。で?今日はなんでここに居るんだい?」

「今回は先生の追撃ついげきをかわすことに成功しました」

「なるほど要するに逃げてきたと…ボクは知らないよ。後でどうなっても」


まるで勝利の美酒に酔いしれるかのように、優雅に昼ご飯を食べる夏帆。

今日の午後の授業は浅見先生の共通科目の授業だったはず。

ということは夏帆かほはいつも以上にしごかれるんだろう…


「アハハ…じゃあ二人とも慣れてないんだね」

「…ん?二人とも?この女も慣れてないんですか?力士でも胃もたれしそうなほどの量を食べている図々しい女が?」

「ん~そうだね。ボクは人が多いのは得意なわけじゃないしね」


その言葉が意外であったようだ。驚きの表情を見せる。それは優実ゆみや、夏帆かほだけではないようで、


「水野ちゃんって意外と可愛いいかわいいところがあるんだね!!」


女子三人の会話に割り込んできたのは、調子モノの前田聖一まえだせいいち。彼も編入組の一人だ。


「そういう前田まえだ君は慣れた?私は全然慣れないよー」

「まあな!こんなの全然余裕よ」

「アハハ、すごいね~」

「だって俺は―」


堀内優実ほりうちゆみの苦笑いにも気づかずに話し続ける。


会話は双方向のキャチボールで成り立つものなのだが・・・よく話しかけるなこの男。


こいつの入学当初の目的…彼女を作りたいとか言ってたっけ?


一方的に優美ゆみに話を続ける聖一せいいち。その様子を見ても、ふぉえー、ガンバレーと気が抜けたような感想しか思い浮かばない。


恋愛に本気で取り組むことに対してバカにするわけではないのだが、興味は1ピコ10^-12も湧かない。


恋とか愛とか関係なしに、自身が手に入れることが出来ればこちらの勝ちであるのだから。


「そういえば、堀内と水野って彼氏とかいるの?」

「……」

「アハハ…今はいないかなー。この学校にきたばっかりだし、まだそんな余裕はないよ」


無視を決め込む碧唯あおいと違い、優実ゆうみ聖一せいいちのいきなりの踏み込んだ質問に律儀に返す。


聞かなくてもある程度は予想つくであろう無難な回答。


「水野は!?」

「ボクもいないね~残念ながら」


二人の返答に、「シャ!」とガッツポーズをする前田まえだ

その事実に色めき立つ男子。


クラスのマドンナ的ポジションに居座る2人がフリーである事実を知って色めき立つのは何も前田だけではなかった。


多分この情報は瞬く間に広がり明日には皆に知れ渡っているんだろうなと想像つき、思わずため気が付く。


最近はただでさえ、在学組に告白される回数が増えたのだ…

これに編入組へんにゅうぐみも加わるとなると少しばかりメンドクサイ。


ボクは物語のヒロインのような、清いきよい性格は持ち合わせていないのだ。


それでも、ハリボテの仮面で自分をきれいに着飾っているのは、こんな有象無象の羽虫の目を引くためじゃない。


たかってきたむしを叩き落とすのは怠いしだるい、気持ち悪い。


いっそ殺虫スプレーでもまき散らしてやろう彼氏がいると嘘ついてやろう


こいつ等ならいい感じに苦しんでくれそうだ。


そんな物騒な考え事をしている碧唯あおいに気付くことなく、能天気に話し続ける。


「そうだ俺も刀を使うことにしたんだ!水野ちゃんと一緒の太刀」

「あーね」

「え?前田君、もう使う武器決めたの?急ぎ過ぎじゃない?」


完全に聞き流している碧唯あおいに代わって優美が思わず声を上げて聞き返す。


在学組の中には、人生の中で初めて武器に触る人も多い。そのため、入学してから数か月は、自分に適した武器を探すのが通例であるのだが・・・


少しばかり性急な気がすると、優実ゆうみ聖一せいいちを心配するも、


「いいや、俺には太刀があっていると確信したんだ!」


と、謎の自信を見せる。

別に、自信を持つことは構わないし、適度な自信は物事をよい方向に傾けることも全然ある。


だが…過剰な自信は破滅が伴う気づいているのだろうか?

いや、その様子じゃ気付いていないだろうね…


「何か剣術でも習っていたのかい?」

「いや、初めてなんだよ。だから、刀の使い方を教えてくれ、このとおりだ」


メンドクサ…


「その前に、基礎的なことからやった方がいいとボクは思うけど」

「基礎なら、大丈夫!俺は応用的なことをやりたいんだ!!」


手を頭の上で合わせて、深く頭を下げる。

前田の頼みに、碧唯は数瞬考える。

断り続ける方が怠いだるいなと判断し、表面上は受け入れることにした。


「そうだね、時間が合えばその時は」

「マジかありがとう!!!!」


碧唯の言葉に大喜びする聖一せいいち。あまりにも喜ぶものだから、必然的に周りの目を引き付けるわけで。


喜びの絶頂に達している聖一に三浦智樹みうらともきが話しかける。


「聖一君どうしたんだい?」

「ああ、三浦か。水野ちゃんから刀の使い方を教えてもらうんだ!」


そう、ドヤ顔で智樹ともきに説明する。それは明らかなマウント。


だがそんなことを気にもせず、智樹ともきは爽やかに返す。


「それは羨ましいよ。僕にも教えて欲しいくらいだ」

「あ˝ぁ!?」

「三浦くんはボクの教えなんて必要ないだろう?大丈夫さ」

「残念。水野さんの強さの秘密を知れるチャンスと思たんだけど…」

「そ、そうだよ。三浦はただでさえ強いんだから、必要ないだろ!」


強引に迫られる碧唯あおいを気にかけて、助け舟を出すほど気が回る。


これぞ、クラスの人気者が人気者たる所以である。ようするに気が利くのである。


三浦みうら君と対称的にクラスの皆にさっそくマウントを取り始めた前田まえだ君の様子を眺めながらぽつりとつぶやく。




「            」




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問題:最後の空欄にあうセリフをコメントに(書きなさい)書いてお兄ちゃん♡

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