第30話 聖女の失踪
「その第一候補が
ここまでは大体物語の通りだな。
言われてみれば、
ストーリーとして読んでいる際は流してしまうような情報でも、現実世界として生きていく人間にとっては、ああそうですかとは流せない。
だから、
ナルホド……
確かに筋は通っいる……通っているが…
「それで
「宝蔵寺はぁ(笑)、碧唯に?慈悲とかぁ、なんかそういうサムシングを感じたわけ?(笑)」
「うざいわね…あれが演技である可能性もあるじゃない!」
無いな。
「何よ、なんか言いたげね」
「別に?ただ見る目がないなと思っただけ」
「いちいち気に障る言い方ね‥まあいいわ。それでここまで来たなら分かるわよね。聖女の捜索に協力しなさい」
「……」
俺に向けて出された手。
此方を見上げながら
思わず、その手を取ってしまいそうになるくらいには…
「協力と言ったって、何をすればいいんだ?」
「聖女の特徴である
「青色の瞳に、白髪ねぇ」
輝く金色の
「碧唯は
「バカね。呪具とか色々あるでしょ?髪を染めている可能性だってあるわ」
「あ~ね。ていうか、宝蔵寺は聖女様の顔とか覚えてないのか?顔を見ればすぐに聖女か否か分かるんじゃない?」
「…無いわよ」
「え?」
「会ったことが無いのよ。幸浄家で聖女が生まれた時には秘匿されて、姿形を知っているのは
「ていうことは、
「分かるわけないじゃない」
「詰んでるな~」
さてどうしたものか、原作である程度事情を知っている身からすれば、ここでヤスヤスと身請けしても、いいことはあまりない。
でも協力すれば、
原作のストーリーを改変させるデメリットっとストーリーを操ることのできるメリット。
その2つを天秤に掛けながら思案して…
「…分かった。その調査に協――うん?」
ポケットからメッセージが届いたことを知らせる通知音。端末の画面を開いてみれば、
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あおい:わかっているだろうね?
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何やらご機嫌斜めのご様子。どうしたんだろ?(すっとぼけ)
まあいい、気を取り直して
「…分かった。その調査に――……」
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あおい:無視するな
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「その―」
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あおい:コラ☆またワカラセラレタイノカナ?
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「すまない、その調査に協力すことが出来ない。ご縁が無かったということで、これからの貴女の益々のご活躍を心の底よりお祈り申し上げます」
「
「え、ちょ!俺の端末!!!」
不敬ぞ!!!
「もしもし?アンタ一体どういうつもりよ!!」
『一体何だい?ボクは今ご飯を―』
「とぼけないで…この話が漏れているし、この際はっきりさせなさい!アンタが…貴女が
『……さあ、ボクの名前は
「そう……」
『ボクが
あ~あ。原作ストーリがこ~われちゃたよ~。
現実の無常さ打ちひしがれながらも、頭の片隅でこれからどうしようかと考えていたところ、宝蔵寺に取り上げられてきた端末が返ってきた。
『あとそれと君は、今後一切隠し事ができないと思っておいてくれたまえ』
「なんでここでの会話の内容がきこえてるんだよ。盗聴器か?」
キッショ。
『まあそんなわけだから、じゃあね』
「………」
「……まあ、そういうことでして」
「………」
「いや、多分今ここでバレてなくてもいつの日かバレていたと思うぞ?」
「………」
「これは碧唯がヤバかったってわけで俺や
「………」
「だから…その…元気だしてこ?」
「……ぃして見せる…」
「へぇ?」
「証明して見せるわ!あいつが聖女だって証明して見せる」
何だコイツ最強か?今までに会話は何だったんだ?
「大丈夫?気でも狂った?さっき碧唯が聖女じゃないって言ってたよな?」
「いや、きっとあれは嘘に違いないわ!!!」
「huh?」
「だから、絶対にアイツの嘘を暴いてやるわ!」
「huh?」
だめだコイツ…早く何とかしないと…
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